最終部10章「雪鏡に映るもの」1話 「妹たちの旅立ち」
俺を前に進めるために残る仲間が増えるたびに空気もまた重くなっていく。だが、今のこの空気はまた1人ここにいる仲間が減ったと言うだけでなく、その仲間が人1倍賑やかなあのレミーだったというのが大きいのかも知れない
「ふん、あんな奴でも賑やかしにはなっていたのね」
そう言うリデアの何時もの言葉も随分と元気がない。勿論、俺たちはレミーにも他の戦ってくれている仲間たちも必ずまた会えると信じてはいるが、レミーのようなタイプはいなくなるとその存在の大きさが分るタイプなんだな。そして
「・・・リュウトさん」
この沈黙も長く続くことはなく、当然のように敵は待ってくれるはずもなく、こうして新たに仲間が戦場に残ることになる。今回残ると名乗り出たのは
「ククルちゃん?」
「今回は私の番です。ちゃんと送り出してくれますよね?」
そう問うククルちゃんは分っているのだろう。俺が彼女に感じている感情は恋人になってもまだ保護する相手という感覚が抜け切れていないことに
「それとも私はまだあの雪原で立ち尽くしていた幼子のままですか?」
違うという思いとそうだという思いがせめぎ合う。彼女は、確かに俺のせいでこんな戦いに身を置くことになった被害者なのだ。それは他の誰にも言えるかも知れないが、彼女は特にその側面が強い。それに
「だが君は・・・」
俺の懸念、それを言わせまいとするように
「それも承知の上です。それにこの戦いは勝たなくても良いのです、私にとっては」
彼女の最大の弱点、それは自ら攻撃する手段がほとんど無いこと。彼女の反射攻撃は極めて強力な攻防併せ持ったスキルだが、攻撃されなければダメージを与えられない。以前にもその弱点は危惧し、それを克服する戦いも見せて貰った。それでも、能動的な攻撃手段に乏しいことには変わらない
それでも彼女は言う。この戦い、つまり彼女の戦いは勝てなくても良い。俺が、他のみんなが勝利するまで延々と戦い続けても良いのだと・・・あの、凍った時間の中で延々と過ごしたあの時のように
「あの、だったら私が一緒にの残っちゃ駄目ですか?」
「えっ?」
そう聞いてきたのはユキ。確かに今までは基本的に1人ずつ、アイは3人1組なところが元からあるし、ママナとコーリンさんは親子から気がつかなかったが・・・別に複数人で当っても良いんだよな? とレーチェルやルーンの方を見ると頷きと笑みが返った。どっちがどっちかは言わないが
「わかった。頼むぞ、2人とも・・・いや3人だったな」
「はいです!」
「妹・・・」
俺の言葉にユキは嬉しそうにし、ククルちゃんはちょっとだけ拗ねたような顔をした
「リュウト君、分っていると思うけど彼女たちは何時までもあなたの被保護者じゃないわ。立派に1人立ちした、大人の女、恋人で仲間として接してあげるのも必要よ」
ユキはともかくククルちゃんに関しては巻き込んだ元凶の1人がよく言うとは思うが、よく見ているとしか思えないレーチェルの言葉に前を向く。俺が出来るのは彼女たちを、大切な恋人で妹のようなあの3人を信じるだけなのだから
と言うことで今回残るのは複数ですね
ユキ(表)「お兄ちゃんのために頑張るのです!」
うん、リュウトが彼女たちを妹と認識する最大の理由はここでしょうね。他にもレミーや実の妹もいますが
ククル「私は出会ったときは本当に小さかったので言いたいことは多々ありますが飲み込みますが」
ん?
ユキ(裏)「・・・私まで妹というのはどういう事?」
あっ、えっと、今回は出番が無かったわけですし
ユキ(裏)「リュウトは3人と言っていた・・・私が含まれていると思うわよね? このむしろ姉とでも呼ぶべきな恋人を!」
姉ってそれは表のユキに対してでリュウトにそんなことはないような? それとそこで実は真っ赤になる当たりが裏のユキの可愛いところなのですが
ユキ(裏)「な、何を言うのかしら? ・・・凍り付いて頭を冷やしなさい!」
あ、姉を名乗ると危険になるジンクスでもあるのだろうか、ガクッ
ユキ(表)「さ、作者さん?」
ククル「はいはい、どうせ次回には復活しているから放っておきましょう。では皆様、次回もまたよろしくお願い致しますね」




