最終部9章「天使たちが願うもの」8話 「2人で1つの」
「母親が魂ごと消えてしまったら悲しむわ・・・レミーがね」
そう言ってもう1人のわたしはお母さんの前に立つ。下がっていてなんてお願いされてお母さんもあたふたしていた。わたしは、わたしは難しいことは分らない。でも、わたしはもう1人のわたしが言うようにお母さんがいなくなってしまうのは悲しい。それに
『もう1人のわたしも嫌だよね?』
「な、何を言うのよ。わ、わたしは別に何も・・・」
もう1人のわたしはそう言うけど、ずっと一緒だったわたしにはわかるよ。もう1人のわたしが何かに気がついた時にすごく怒ったことが。それってお母さんがまた自分の前からいなくなることが嫌だったんだって
「堕天使レミー、私は・・・」
「お母様の言い訳は聞かないわ。わたしたちはもうあなたに自身を犠牲にして助けて貰うほど弱くはないわ!」
もう1人のわたしはお母さんの方を見ようともせずにそう言う。うん、わたしは、わたしたちは守れるだけの弱いわたしたちじゃもうないよ。だから
「はぁ、わかったわ。やってみなさい・・・でも1つだけ、あなたたちは1人ではなく2人、同時に2人ではなく1人。生かしなさい、あなたたちの特性を」
「ええ・・・やるわよ、レミー」
お母さんが、もう1人のわたしが、何をしたいのかは分らない。でも、それでもわたしがやることはわかる
『うん、やろう!』
黒い羽が白く変わる。白い羽が黒く変わる。それを何度か繰り返して、灰色の羽に変化する
「行こう、もう1人のわたし」
「行くわよ、レミー」
両方の言葉が1つの口から出る。わたしたちは今、2人で1つの体を動かしている。それが出来るのは新しいあーちゃん(※神魔弓アルステート)のおかげ
「・・・それだけじゃないわ。レーチェルの期待に応えなくちゃっていうのはわたしらしくはないわねぇ」
もう1人のわたしが笑う理由は知らない。でも、わたしたちは戦える
「我らをトコトン無視しおって」
そんな何か怒っている敵たちに
「シャイニングアロー」
「シャドーアロー」
白と黒、2つの矢が1つの灰色の矢に変わる。それは敵を貫き、または近くを横切り、それでも止まらずに突き進む
「な、に?」
当った存在が倒れる横で当らなかった人も苦しむ。光の矢でもあり、闇の矢でもあるそれは幻影の矢でもある。当ったかどうかなんて関係が無い
「う、撃て! 攻めろ!! 奴に何もさせるな!!!」
残った人たちが一斉にわたしたちに攻撃を仕掛けて
「レミー」
「うん」
そしてわたしたちは羽を広げて空に行く。そんなわたしたちを追いかけてくるいくつかの攻撃。それに追加で撃たれた攻撃も
「突っ込むわよ、痛いのは覚悟しなさい」
「大丈夫、レーチェル様で慣れているよ」
色んな攻撃の雨。あれ? 雨って下から上じゃないよね? えっと、とにかく色んな攻撃の中をわたしたちは下へ下へと飛ぶ。途中で炎が腕を焼き、風の刃が片側の羽の1つを切り落としたけど、それでも速度は落とさない
「いっくよ~」
「受けてみなさい」
わたしともう1人のわたしの力を合わせて
「カオスファントムアロー!」
「え~っと、なんか凄い攻撃!」
光と闇と爆発と、そう言うのがなくなったときにはそこには何もいなくて
「レミー、いくら何でもあのネーミングセンスはないわ」
ってもう1人のわたしに文句を言われた
真面目にしっかりバトル・・・のはずなんですが、どうにも締まらないのは何故?
レミー「ム~? 何でだろう?」
ここで『おい、元凶!』と言えたらどんなに楽か
堕天使レミー「言っているわよ・・・これに関しては分らなくはないけど」
まさか堕天使レミ-に癒やされることになるとは。ところであの2人で1人モードは
レミー「スーパーレミーちゃんモード?」
堕天使レミー「・・・聖魔天使レミーとでも呼んどいて」
ま、まぁ、人格はしっかり中に2人いますから呼び名は何でも良いんですが(レミー案は論外として)、アレって何をやって
レミー「ム~? あーちゃん使って高速グルグル?」
堕天使レミー「魂の封入、それも半分だけとか出来る神魔弓アルステートを利用して体と神魔弓アルステート間を高速で魂の移動をしているのよ・・・それなりに精神的に疲れるわね」
・・・堕天使レミーが通訳に来てくれて良かった
堕天使レミー「通訳に来たわけじゃないわよ!」
ともかくレミーの物語もあと少し、次回も是非よろしくお願い致しますね~




