最終部9章「天使たちが願うもの」7話 「母の覚悟、娘の思い」
『滅ぼしましょう』その一言が理解されたとき、目の前の連中がいきり立つのが分ったわ。生みの親とは言え、レオンのような存在に忠誠を誓い、命を捨てることもいとわないような連中でも滅ぼしましょうの言葉は腹が立つのね。それともレオンの不利益になるから? わたしだったら母さんやレーチェルのために? ・・・ないわね。まぁ、ちょっとくらいは怒ってあげなくも無いけど
「ふふ、有象無象が怒ったところで恐ろしくはありませんよ。むしろ、動きが読みやすくなるだけです。そして、害虫は滅ぼすのが神の僕として当然です」
「わたし、神の僕なんかになった覚えはないわ。それに神ってレーチェル?」
「・・・いえ、レーチェルちゃんはちょっと」
あっ、母さんから見てもレーチェルは神としてちょっとなのね。うん、今度そう言ってレーチェルをからかうネタが・・・止めておきましょう、あいつをからかうのは流石に命がけだわ。やるならアシュラが側にいるとき限定ね
「ま、またしても我らを無視するだと・・・!?」
「無視される程度の存在だからでしょう・・・あっ、無視と虫を掛けたわけじゃないですよ!?」
ピューっと冷たい風が吹き抜けた気がしたわ。そんな下手な洒落の言い訳のようなことを・・・大体掛けたとしたら先に無視とか言い出した奴らの方ね。ほら、心なしか顔が赤くなっているわ
「殺せ、徹底的にだ!」
リーダであろう奴の号令で突撃するもの、遠距離攻撃してくるもの、色々いるけど
「下郎な害虫はどこまで行っても下等ですね」
母さんの周囲を覆った光に攻撃が反射した? あれってククルが使っている反射と同じ? レーチェルがアレを見てククルに教えた? ・・・いえ
「覚えておきなさい。中々役に立ちますよ・・・使わないに越したことはありませんが」
母さんが光に覆われる前、そして光が剥がれた直後に一瞬ぶれた気がする。わたしの切り札である世界改変でもない。あれは竜神剣、今の存在の剣がレオンも使えないように封じている以上は母さんと言えども使えるはずがない。だったら何?
「堕天使レミー」
「っ! わかっているわ!」
母さんではなく、わたしを狙って撃たれたいくつかの攻撃を回避して逆に攻撃する。まるで慌てた様子もなくこっちに一言で注意するなんて冷静すぎて嫌になるわね
『ねぇもう1人のわたし、なんかお母さん薄くなった?』
「・・・薄く?」
ピクンと母さんが震えた気がする。薄く? どういうこと? 今の母さんは死者・幽霊・魂・・・まさか
「レリュー・・・お母様、下がっていなさい」
またこの下りで揉めるのは流石に嫌だから呼び名を変える
「あらあら、背伸びしちゃって可愛いわ。でも、まだそれは早いわよ」
「いいえ、むしろ遅すぎたわ。その力、無条件に使えるのならば何故お母様はわたしやコクトを置いて死んだのかしら? そして・・・」
わたしたちにはニコニコとした顔しか見せなかったその顔が苦虫を噛みつぶしたように少し歪む。これだけの力を持ちながら何で死んだのか、さっきの冷静な声は本当に冷静だったのか、そして今度はどうなるのか
「母親が魂ごと消えてしまったら悲しむわ・・・レミーがね」
だから、もう遅いかも知れないけど・・・今度はわたしたちが守るわ
詳細は分らないけど、おおまかには分る・・・きっとそんな回だっただろう今回です
レリューナ「しばらく見ない間に娘も成長するのですね」
しばらく・・・天使の時間感覚は恐ろしいと思いますが、天使の感覚でも成人するぐらいの年月はたっているような?
レリューナ「・・・母にとってはいくつになっても娘は娘なのです」
それはそうでしょうけど・・・あっ、そうか娘が成長するって事は母も歳を
レリューナ「そんな戯れ言を言う作者は『滅ぼしましょう』」
って! 作者まで滅ぼそうとしないで!!? えっ? ちょっと! 本当に・・・
レリューナ「作者は少々お話しできなくなりましたので今回はここまでです。次回も私の娘の活躍を見に来て下さい。そうでないと私があなたたちを滅ぼしてに行きますよ? ・・・しかし、あれで少し話せなくなるだけとは作者とは何者なのでしょうね?」




