最終部9章「天使たちが願うもの」4話 「読めない理由」
「いっくよ~!」
わたしが持っている弓、神魔弓アルステートは威力が高いだけの弓ではなくて色んな能力がある・・・ってもう1人のわたしが言っていた
(レミー、このまま連射しなさい!)
「ファントムレインだよ~」
(はぁ、気が抜けるわね)
なんかもう1人のわたしはため息をつくけど幻の矢は次々に敵を打ち抜いていく。この矢の方向を好きに動かせるのも神魔弓アルステートの能力の1つ・・・なんだって
「くっ! だがこの程度で!」
(油断しちゃ駄目よ! こいつらは数矢で倒せるほどもろくはないわ!)
そんなもう1人のわたしの声が聞こえてすぐにまたわたしに攻撃が・・・ムムッ、また結界で
(駄目っ!?)
「うきゃっ!?」
あ、あれ? 結界を貫いて? わたし、結界張り忘れた?
「この結界は先ほど見せて貰った。『消滅』の前で結界など何度も見せるものではないな」
消滅? ・・・って何?
(余計な事考えていないで飛ぶ!)
もう1人のわたしも声で慌てて飛び上がって・・・あっ、そうか。わたしって飛べたっけ
「ヌッ!? まだ飛べるほどの余力があったか」
もう1人のわたしに言われて飛び上がったらギリギリ迫っていた剣を避けることが出来た。わ、わたしって結構危なかった? でもレミーちゃんは中々丈夫だってリュー君もよく言うんだよ~
(・・・回復だけは無意識にやっているからね。いえ、あなたの場合は考えた方が駄目だから無自覚が最強ね)
えへへ、最強だってもう1りのわたしに褒めてもらえたよ~。とにかくドンドン行くよ~!
「っ!? は、速い!?」
とにかく撃つ、ドンドン撃つ、よくみんなが褒めてくれるわたしの特技だよ。めーちゃん(※メイ)やくーちゃん(※ククル)にもよく1番怖いって言われるぐらい
(ホント、何も考えないってある意味強力よね。狙いなんて誰にも読めないし、考えていないからとにかく速いわ。レミー、そのまま行きなさい。何も考えずにね)
ム~!? ひっどいよ! わたしだって何も考えていないわけじゃないよ~。ほら、』あそこに浮かんでいる雲綺麗だなとか早く帰っておやつ食べたいなとかアーくんたち大丈夫かなとか色々考えているもん・・・
「な、何をしている! はやく我らにあやつの思考を・・・!」
(へ~、あの中の誰かに心が読める奴がいるのかしらね? ・・・視線からしてあいつか。でも無駄ね)
「だ、駄目だ! やつは・・・何も考えていない!」
「・・・はっ?」
(ふふっ。普通はそう思うわよね。本当に何も考えず、いえ思考があっちこっちに飛びながら予備動作も思考もなく弓を連射しているなんて思わないわ。連射するだけだってある程度の方向とかタイミングとか撃つ数とか時間とか多少は考えるものよね、普通は)
ム~?よく分らないけど、レミーちゃんは凄いって事でいいのかな? えっ、うん、わかった
「あ、相手がないも考えていないなら・・・奴はどこも狙っていない! 突っ込・・・!?」
「残念だけど、わたしはちゃんと考えているのよぉ」
吃驚している人たちの間を縫うように、後ろにいた1人を正確に射貫いた矢。わたしはそんな様子を舞い散る『黒い』羽と一緒に見ていたんだ
心が読める者が同行している相手の最大の対策は何も考えないこと・・・普通、出来ないんですけどね
レミー「つまりレミーちゃんは最強!」
彼女を制御することは誰にも出来ないという意味ではそうなんでしょうねぇ。まさにメイの天敵
メイ「本当にですよ。ここまで先を読むと言うことが難しい人はいません」
・・・メイが出てきてもレミーがいると中和されるのか。あっ、いえあとがきに常駐させようとか思っていませんので鞭は出さないで下さい
メイ「はぁ、彼女がいるとどうにも調子が出ませんね。ですが、表がアレだからこそ」
ええ、裏の堕天使がとてつもなく生きるんですよね。別にメイやククルほどの策士ではありませんが、彼女もそれなりに考えるタイプですし
堕天使レミー「ええ、これまでは視点やセリフだけだったけど次回からはわたしの出番よ。期待しておきなさい」
あっ、あまりハードルを上げないでいて下さると・・・と、とにかく今回はここまでです。次回もまたよろしくお願いいたします




