最終部8章「修羅の優しさ」9話 「狂気の行く末」
「ふざ・・・けるなぁ!!」
空中に叩きつけたトワメルを修羅烈風斬の要領で追いかけるが、トワメルも反撃をしてくる
「ククク、そうでなくては面白くない!」
衝撃と雷を再び同時に喰らったことでボロボロに崩れていくトワメルの体。だがオレの体も反動でそれなりのダメージは受けている
空中で交わされる拳、お互いに空に地に叩きつける衝撃。そうだ、これが! これこそが死闘だ!!
「最初の戦いでこれだけの死闘が出来る幸運を噛みしめるのだな。もっとも、この後があるならば最初に最高を味わったことは不幸やもしれんが」
「っ・・・貴様のような悪魔を相手にして何が幸運だと」
「さてな、それは自分で噛みしめろ」
お互いに吐き出す血反吐も少なくなっていき、奴の再生もおぼつかなくなっていく。ふっ、楽しきときもそろそろ終わりというものか
「ば、馬鹿な・・・何故?」
「あの世への土産だ、受け取っておけ」
砕けたからだがさらにボロボロに砕け散り、すっかり小さくなったトワメルにオレはとどめとばかりに
「修羅・・・雷孤舞陣!」
今の体力でオレが貴様にくれてやる最大の技。その一撃は奴の体を1m程度まで砕いた
「あ、あり得ない。この体は最高の・・・」
それでもまだ生きている当たりは中々しぶとい。だが、放置していても、奴の再生力をもってしても、そう長い命でないことは明白。残りの数分、あるいは数秒は最初にして最後となった最高の死闘の余韻に浸らせてやる程度の慈悲を見せてやっても良いだろう
「僕の研究を上回る化け物など・・・り、竜神もこんな化け物だったのか・・・?」
足下で禄に動くことも、声を出すことも出来ないトワメルを見下ろして
「ふん、貴様の言うとおりオレは悪魔であり化け物だ。だが・・・リュウトの奴は違う」
何故だろうな、やつは今となっては本気で戦うのならば、オレ相手にその本気を見せられるのならばオレよりも強い。だが、それでも化け物という単語をあいつには・・・使いたくはない
「死ねない、僕はまだ・・・」
無駄なこと、だが奴の目はオレを見ていない?
「まだ、あの子の、僕の娘の体を・・・元気な・・・生命維持装置の中でもない・・・人と変わらぬ見た目・・・走れる体を・・・死ぬことも・・・誰かに傷つけられることも・・・恐れることの・・・ない」
前触れもなく奴の体が完全に砕け散り、後に残ったのは静寂だけ
「・・・くだらん」
一瞬、浮かんだ下らん言葉。狂気の仮面の下にあったもの、狂気の原動力。もしも本当に手段を選んでいなかったのならば、自分の研究だけにこだわっていなかったら
レミーやレーチェル、コピー能力で体を作れるリュウトに頼っていたならば、リュウトならば傷つけられん体ではなく・・・本当に下らん考えだ
「貴様には・・・狂気も・・・力もいらなかったのやも知れんな」
流石に力を使いすぎたのか意識が少々薄くなる。そんなオレのぼやけた視界で
「中々悪くないものを見せて貰った。褒美だ、しばし眠っておれ。起きるまでの安全ぐらい担保してやろう・・・余の命に賭けてもな」
そんな魔神の声を最後にして
とまぁ、アシュラらしいともらしくもないとも言える優しさでした
アシュラ「ふん・・・下らん」
とこ言うところがアシュラらしいツンデレですね・・・いえ、睨まないでください
アシュラ「まぁよい、最後の戦いとしては悪くない。場合によってはレオンとの戦いも・・・いや、あるまい。戦うのがリュウトならばな」
最初から最後まで主人公のライバルとしての立ち位置にずっといるキャラと言うのも意外と少ないのかなと思いますがアシュラの物語は一旦終わりとして・・・次回予告です
アシュラ「今は気分は良い。やってやろう『最大の戦力を放出しながらもレオンの元へと急ぐリュウトたち。次なる戦いに残るのは・・・次章竜神伝説最終部9章「天使たちが願うもの」』・・・まだ寝ているわけにはいかなそうだな」




