最終部8章「修羅の優しさ」7話 「狂気を呼ぶ狂気」
「クハハハハ! どうした? もっとだ! もっとオレを楽しませろ!」
かわし、当て、砕き、もぎ取る。拳同士がぶつかり、砕け、骨が粉砕される。全身に響く甘美なる痛みという音楽を感じながら、再生した腕で再び殴り砕く
「く、狂っている! こんなのおかしい! 僕はこんな物は知らない!!」
「何を言う? お前の前にいるのは悪魔だ! 修羅だ!! 机の前で紙を相手にしているだけでは知らなかったか? これが命をチップに楽しむ戦場という物だ!!」
口の中に溜まっていた血を吐き出す。リュウトがこいつがやっていた数々の実験に怒りを覚えていたのは知っている。使い捨てられる数々の実験体にレミーが悲しみを覚えていたことも知っている。そしてそれらを理解できないわけではない。だが、そんな物は今! この戦場に立っている上でオレには関係がない。オレにとって重要な物はただ1つ!
「さぁ、オレはまだ生きている。貴様もまだ生きている。ならばこの楽しみを、死合を止める理由などない。こんな楽しき死合はそうはないぞ? もっと笑え! もっと高ぶれ! もっと力を見せろ! さぁオレをもっと楽しませろ!!」
血が見たいわけではない。悲鳴が聞きたいわけでもない。勝利の美酒も歓喜もいらん。オレが戦いに望むはただ1つ! そう、この戦っているという事実! お互いが命を賭けているこの場が全てだ!!
「・・・狂っていると、そう狂っていると言われ続けた。僕の目的を果たすためにはいかなる犠牲も戸惑わないと、狂気の科学者で良いのだとそう割り切っていた。だが、僕は知らなかったみたいだね、本当の狂気というものを・・・ならば僕も狂おう。さぁ、君の力を僕に見せてくれ。僕の最高傑作たるこの体を殺しうるのかどうか! そして僕はそれさえも研究してさらに超えてみせる!!」
クハハハハ! 奴の狂気の源などどうでも良い。奴の目的など知ったことではない。必要なことは奴がオレの敵であり、そして奴との戦いがオレを楽しませるに値すると言うことのみ!
今まで闇雲にその身体能力だけに頼った攻撃してきたトワメル。だが今の動き、いや行動は・・・
「クハハ! 今更搦め手を使ってくるか!」
「当然さ! 僕の目的は戦いじゃない! もっと研究を! もっと成果を!!」
「フハハハ! いいだろう! オレを楽しませることが出来るのならばな!」
これだけの力を持ちながら戦うことに楽しみを覚えぬのは解せんが、この気迫はさらに戦いを面白くしよう。リュウトの奴が勝利するまでひたすら削り続けるだけの作業などではつまらん。戦いとは生きるか死ぬかでなければ面白くない!
それからどれだけ殴り合っていたか。ふむ、少々腕の動きが悪くなってきたか、奴も再生速度が落ちてきている・・・決着が近いとは言わんが、見えては来たというところ。ククッ、この限界を! 死力をせめぎ合うのもまた一興というもの
「ふむ、情けなき戦いをしていたら活を入れてやろうと思ったが、まだ余が介入するほどではなかったようだな」
少々邪魔者はやって来たようだが・・・良いだろう、それが見学にとどまるうちはな!
新年明けましておめでとうございます・・・いや~、新年一発目にしては血なまぐさい話しで恐縮です
アシュラ「良き年明けというものではないか」
去年の最後も言ったけど、それはアシュラだけなので。さて、分野も方向も違っていてもどちらも狂いし者の戦いはさらなる狂気を呼び込むようです。まぁ、僕らとしてはアシュラの狂気の方がずっとまともなのですが
アシュラ「ふん、これは修羅ならば当然だ」
そう言われてしまうと凄く嫌な感じになるのでどうしてなのでしょうね? やっぱりこの作品に常識人は・・・とか言うと特に非常識人たちが乗り込んできそうなので止めておきましょう。あとは最後の乱入者は忘れられているかもですが
アシュラ「忘れられているようなものなどどうでも良いのではないか」
僕はそれでいいとは言えないのですが!?
アシュラ「ほう? そのような余裕があるとは面白い」
・・・へっ?
マリア「ねぇ非常識人って」
レーチェル「一体」
メイ「誰のことでしょうか?」
・・・言わなかったはずなのに!? っていうかここに乗り込んでいる時点で自覚があるんじゃ!!?
マリア・レーチェル・メイ「「「それが最後の1言かしら(でしょうか)」」」
新年最初から最後にしないで!? っていうか今年は最初から拷問スタートなの~~~~~!?




