最終部8章「修羅の優しさ」3話 「本物」
見た目に反してと言うべきか、それとも使われている材料からして当然と言うべきか、それなりの耐久力はあるようだが1匹当たり宇宙1つと同程度の耐久力ではオレの相手は不可能だろう・・・多少は楽しませた褒美として、痛みを長引かせるために一撃で即死させぬレベルに力加減をするのが面倒なだけだ
だが、数だけは多く次々に転移で補充されていく集団もその補充速度が落ちてきている。ならば、そろそろ打ち止めか? 前座としてはオレの体を温める程度の役に立てたのは十分すぎるだろう。そして
「お、恐れるな! 奴とて疲労が・・・!?」
「ふん、話す口があったのは意外だが、この程度で疲れるはずがなかろう?」
意味の無い指示をしていたこの場におけるリーダーも瀕死にし、その頭を踏みつける。オレを疲労させたかったら半年は全力戦闘を継続させてみせるのだな
「お見事。いやぁ、もう少しは良い戦いが出来るかと期待していたんだけど、残念だなぁ」
そんな言葉と拍手と共に現われたのは人間の男。以前、遠い昔にもあったことがある名は確かトワメルと言ったか。人間ならば通常は生きてはおれん時間だが・・・アイのような例外もいるから考えるだけ無駄か
「尻に火がついて飛び出てきた獣とは思えぬ言い草だ」
「火? 僕の尻にそんな物はついていないさ。ああ、安心して欲しい。この体は偽物じゃない・・・正真正銘の僕の本体さ」
以前、この男は偽物の体を通して話してきた。感じた気配の強さからいって本物だろうと当たりを付けていたが正しかったか。リュウトたちはこいつがやっていたことにかなり強く憤っていたが、悪魔であるオレからすればあんなものはどうでも良い。オレやリュウトの細胞を使ってあの程度というのは気に入らんが、もっと胸くそ悪いものなど呆れるほどに見てきたものだ。つまり
「ククク、クハハハハハ! ならば! このオレを! 存分楽しませてくれると言うことだな!!!」
オレたちの細胞を使い、作り出した数多の駒と偽物で身を守っていた臆病者が表に出てくるとき・・・それは負けない自信があるときに他ならん。それは楽しい戦いが約束されていると言うことだ! 他の誰にもくれてやるわけにはいかん。特にレミーにはな
「そうさ! 君には存分に栄光をあげよう! この僕の研究の集大成の実験台になるという栄誉をね!」
その言葉と共に異形の姿へと変形していくトワメル。いまさら姿が変わる程度では驚くには当らん。自身の体さえも改造するその執念と研究目的もどうでも良い。オレが知りたいのはただ1つ
「さぁ見せてみろ! その体がどれだけオレを楽しめさせてくれるのかを!」
「良いだろう! 見せてあげよう・・・キミも! 竜神君も! 遙かに超えた本物の怪物の力って奴を!」
100m、オレたちにとっては人型とすれば多少は大きいが、大型というのは小さすぎるその異形の拳はオレをその拳ごとを軽々と吹き飛ばした
さぁ久々にお目見え、狂気の科学者トワメルです
ママナ「うわ~、流石アシュラ。私達が苦労した敵よりも凄い敵たちを一人で軽々と倒している」
えっと、前回のマリアに引き続き今度はママナなのかとか、せっかくお姉ちゃんズから解放されたのにまた姉かとか、言いたいことは色々ありますが、まず言うことは指摘するのは最後の出来事ではなくそこですか?
コーリン「アシュラ様が負けるはずがありませんので」
・・・まぁ、コーリンさんならばそう言うだろうなぁ。元々は強さに服従し、その後に忠臣になったのだし
ママナ「でもこれでいよいよトワメルも最後だね。リュウトをバラバラに解剖したり恨みを持っている人が多いから直接見れないのは残念だけど」
えっとですね、その当たり前のようにアシュラが勝つと断言しないでいただけると
コーリン「それはアシュラ様が負けるかも知れないと言っているのでしょうか? アシュラ様を侮辱する人はちょっとあちらに行きましょうか?」
あっ、これは虎の尾よりも怖いものを踏んだかも・・・前回同様生きていたらまた次回是非会いましょう。では今回はここまでです。次回もヒッ・・・あ、あのせめて最後まで言い終えてから・・・




