最終部7章「姉の矜恃」7話 「勝利と敗北」
「それは私がお姉ちゃんだからよ!」
響き渡る私の声に周囲が固まる・・・何でよ? 敵も味方も動かないなんて! あっ、きっと
「それは私が・・・」
「マリアさん、もう良いから」
きっとよく聞こえなくて悲しんでいるのだと、戦場だから仕方が無いわねともう1回言ってあげようとしたらアランに止められたわ。この世最後ぐらい慈悲を上げても良いと思うわよ?
「ムゥ・・・」
「可愛く拗ねても駄目だぞ・・・でも」
アランが私の方を見ているのを隙と思ったのか、飛びかかってきたさらに数体をアランが振り向きざまに斬り捨てる。本当、そういう所はリュウト君そっくりだわ
「こうやって、まだ残っている愚か者をなぎ払う役には立ったかな?」
失礼な言い草ね。でも、こっそり追加されたのか、それとも数が多すぎて飛びかかる隙間がなかったのかまだ安易に飛びかかってくるのがいたみたい、それでも
「残っているのはそこそこ厄介な敵って事かしら?」
「どうだろうね? でも、それは関係があるかい?」
ふふっ、本当によく似ているわ。そして、関係はないわね。だって
「ギギッ、ドウイウ・・・」
「「少々厄介でも倒すことに変わりは無いからよ(さ)!」」
私にリュウト君の真似は出来なくても彼と同じように風を操り、残った敵の動きを阻害するぐらいは出来るわ。ついでに何匹かはきっちり関節技を決めて脱落して貰いましょう
「二人合わせて一人分、いや半人分と言うところは少々情けないけどな!」
そしてアランがそいつらを切り裂いていく。リュウト君はこれを1人でやっていくのよね、もっと高水準で、彼を比較対象にするのが間違いなのでしょうけど
「ギギッ、ダガコノカズヲ」
「この程度のダメージが与えられたから何だというのよ!」
あの子はもっととんでもない負傷をしても戦ったわ。二人合わせてもあの子一人分の耐久力にも満たないかも知れないけど、分散している分そこそこに持つわよ? 私達でも・・・そして
「後は・・・」
「あなた一人ね?」
「ギギッ、ナ、ナゼ・・・」
彼とするように合体技と言うにはバラバラで、コンビネーションと言えるほど洗練されていなくて、圧勝というにはボロボロで、華麗とは言えないほどに無様に倒れているけれど
「中々格好良かったわよ、あなたも」
「そう言うマリアさんも俺が・・・」
その先は言わせないとデコピン1つ。私はやっぱり彼の姉で、そして恋人なのよ
「ふっ、勝てないな、どうにも」
「いいじゃない。この場の勝負は勝ちよ、私達のね」
何に勝ち、何に負けたのか、勝者は誰なのか、そんな事はお互い口に出さない。これが大人の恋なのか子供の我が儘なのか、それともただの憧れなのか、それもまたどうでも良くて
「あと少しか・・・」
「ん・・・?」
「俺が師匠として見守るのも、そして君が・・・」
その先は絶対に言わせないと今度はビンタ1つ
「私はずっとお姉ちゃんで恋人よ?」
「ははっ、一応この場を助けに来たヒーローにこれはないんじゃないかい? 結構瀕死だと思うんだけどな、死んでるけど」
いいじゃない、最初も最後もビンタで終わるのもあなたらしいわよ、きっとね。だって・・・あなたとの出会いだってそうだったでしょう?
と言うことで今回でマリア編はおしまいです
マリア「納得いかないわ!」
えっ!? いえ、そう言われても大体他の人も同じぐらいの話数で・・・
マリア「そっちじゃないわよ! 冒頭の私がお姉ちゃんだからって言う真理が伝わらない事よ!!」
・・・それが最優先なんだ
マリア「当然じゃない。別にリュウト君とアランの似ている箇所とかどうでも良いわ。1部似ているところがあるからなんだって言うのよ? そんなこと言ったら誰にだって何かしら似ている所ってあるものでしょ? 性別とか手足の数とか目の数とか他にも色々」
そんなレベルから比べられたら何かしらそりゃ似ているでしょうけど・・・哀れアラン。しかしアランは最初も最後のビンタだったけどマリアは最初から最後までお姉ちゃんで終わってしまった
マリア「当然でしょ!」
最早何も言うまいですね。と言うところで次回予告をお願いします
マリア「釈然としないけどわかったわ『さらに先に進むリュウトたちの前に立ち塞がる次なる敵は? そして意外?にもこいつの出番が早くに来た? 次章竜神伝説最終部8章「修羅の優しさ」お姉ちゃんの優しさはもう知っているわよね!』 ・・・修羅の優しさってどう言う意味かしら? 苦しまずに殺してやる的な?」
さて、そこら辺は次章のお楽しみに~




