最終部7章「姉の矜恃」3話 「ヒーローは」
「どうしたのかしら? さっさと仕掛けてこないと日が暮れるわよ?」
私は中々出てこないあいつに疑問を感じつつも挑発する。まぁ、あいつはさっさと出てきて欲しいけど、敵の方は本当は襲ってこないのならば来ない方が良い。時間を稼げば稼ぐほど私の目的の1つは達成するし、リュウト君のためにも死ねない・消滅できないって言うのも達成の目が大きくなるわ・・・本当に日が暮れてくれたら幽霊の私にとってはホームグランドみたいなものだしね
「ギギギ・・・」
それでさっきと同じか1匹ずつ攻めてきてくれたら楽なのだけど、そこまでお馬鹿ではなかったみたい。幽霊の私には物理攻撃はエネルギーがこもっていても効きにくいけど、数で押し切られると危険だから本能のままに襲ってくるのが一番危険な敵。でも、こうやって迂闊に私の間合いに少数で飛び込んできてくれない相手はその次ぐらいに厄介ね
「来ないのならば・・・こっちが行くわよ」
私のスタイルはカウンター型。つまり私から攻撃するよりもカウンターしやすい攻撃を仕掛けてくれる方が百倍ありがたい。これが少数の敵だったら明らかにカウンター狙いの攻撃待ちですって格好で千日手をやっても良いんだけど、この数だとそんな姿勢を見せればある程度の頭と犠牲を強要できる指導力か勝利のためならば命を捨てられるようなのがそれなりの数いれば負けるのは私。だからくさびを打つ意味でも一歩前に出る・・・はぁ、どうするのよリュウト君。あなたが余計なことを言ったら私もリュウト君が無事ならば命なんていらないって言えなくなってしまったじゃないの
「・・・ッ!?」
「ギ!? マテ、ハヤマルナ!」
私が一歩前に出たことに過敏に反応して飛びかかってきたのが10ほど。ちょっとだけ大変と言えば大変だけど、この数だったらなんとかなるわ。ジッとしていても徐々に敵の援軍が到着する状況だから、少しでも数は減らしておきたいのよね
「乙女の柔肌を傷つけた罪は重いわよ~」
最初に飛びかかってきた5体、いえ6体はきっちりと関節部分を痛めつけて放り投げた。今までの相手と同じで戦闘不能まで追い込んだかは不明だけど戦力ダウンは確実にしているわね! でも7体目の攻撃が僅かに私の頬をかすって切りつける。ただの物理攻撃だったら透過できるけど、このクラスの攻撃が本当の意味で何もこもっていない物理攻撃なんて事はあり得ない事は分かっていた。治るのは間違いないけど、リュウト君の前に次に顔を出すときにあまり酷い見た目はさらしたくないわ
「えっ・・・」
7体目も首を捻りながら投げて残り3体・・・いるはずの3体が見つからない。そして
「あっ・・・」
きっとママナちゃんやコーリンさんと同じタイプ、急に目の前に現れた3体の狙いは私の心臓? 幽霊な私だけど、生前の重要器官に当る場所へのダメージはリュウト君と違って致命傷になる。そしてこれは避けられない?
「おっと、それは流石に邪魔させて貰うよ」
だからこそ、そんな軽い口調で介入してきたこの男に腹が立って
「・・・どういうつもり?」
「ヒーローはピンチの時に・・・いたっ!?」
返事はビンタで良いわよね? 女の子が戦っているところをピンチになるまで見ているヒーローがどこにいるのよ!! だいたい、ヒーローはリュウト君であなたじゃないわ! アラン!!
と言うことで登場と同時にダメージを負っています、アラン
アラン「いや、ダメージを負わせたのは助けに来たはずの味方のマリアさんなんだけど」
・・・マリアが言っていますが、近くにいたのに出てこなかったのが悪いのでは?
アラン「いやいやいや!? せっかく相手が気がついていないんだよ!? こんなチャンス、俺がただ出ていって無下にするよりも稼げる時間は稼いでおいで不意の一撃なりマリアさんを助けるために使うべきだろう!!?」
まぁ、メイならばそう言うのでしょうね。レーチェルとかも・・・他の奴らは多分早く出てこい一択かと
アラン「の、脳筋ばかり? 俺が教えたはずのリュウト君まで?」
朱に交わればですかね? 逆方向のメイには中々染まらないメンバーですが・・・特大の朱であるレミーがいるからでしょうか? とまぁ、こんなところで今回はお開きです。では次回もまたよろしくお願いしますね~




