最終部7章「姉の矜恃」1話 「死ねない理由」
「・・・来たわね」
「ちっ、忌々しい奴さね」
あのコクトくんが残ってから少し、ここまで黙って着いてきていただけのルーンとリリィが口を開いたわ。そしてその内容は
「後方・・・と言うことですね」
メイちゃんの言葉に少しだけど二人から驚いた気配がする。だけど私が後ろに感じた違和感、気のせいではなかったみたいね
「中々鋭いじゃないさね」
「いえ、感知したのではないのでしょう?」
リリィは驚いたように言うけど、ルーンはメイちゃんを見越したようで
「ええ、レオンの性格ならばそろそろやってくるかと」
この状況を理解したのならば納得も行くけど、これを先読みしていたというメイちゃんにはゾッとするものがあるわね。味方だからこのぐらいですむけど
「ム~? どういうこと? めーちゃん」
うん、分かっていない子もいるんだけど。ねぇ、リュウト君? 一応あなたこの子の兄を名乗っているんでしょう? わ、私も確かに姉かも知れないけど
「はぁ、後ろって当たりが最高に嫌らしいわね。全然変わっていないわ!」
前世? 前々世? とにかく凄く前から因縁があるらしいリデアちゃんは呆れているのか怒っているのか微妙な反応をしているわ。でも本当にそうよね
つまりこれはわざと後方に転移させた。そして、何時でも前方や包囲する形で転移させることも出来るということ。はっきりと言えば、誰か1人以上をここに残ってゲームの駒になれってことね。これを拒んだ瞬間にもっと大群の包囲でリュウト君の体力を削りにかかってくるんでしょう。こっちがやりたいことを理解して遊んでいる、確かに最高に性格が悪いわ。だからこそ、私達はただ弄ばれるネズミではなく、油断したらその首をかみちぎれるのだと示さないと行けない
「リュウト君、ここは私が残らせて貰うわ」
本当はリーダーであるリュウト君が『ここは○○に任せた!』って言わなければ行けない所なんだけど、優しすぎる彼にそれは出来ない。それがリーダー失格だと言われればその通りなのだけど、残念なことに彼意以外にリーダーが出来る人なんていないのよね。私達はみんな彼のそんな優しさとかに惹かれて集まってきた者たちなんだから
「姉さん、それは・・・」
「ふふっ、お姉ちゃんに頼ってくれるのは嬉しいけど、お姉ちゃんはここまでよ。その代わり、ここはきっちり守ってあげるわ」
私は人間よ、幽霊になって色んな事が出来るようになったし、あの女神様のコピーだったりもするけど、それでも元人間。きっと本来の力は同じ人間のアイちゃんよりもずっと弱くて・・・この先までずっとくっついているよりはここで
「・・・2度」
「えっ?」
「2度失うのは認めないからな・・・あんなのはもう1回で十分だ」
「リュウト君・・・」
血を吐くように、そんな経験ならば何度もしているはずのリュウト君が本当に苦しそうに吐き出した言葉。その短い言葉にどれだけの苦悶や後悔、他にも色んな感情が含まれているのか想像は出来ても知るにはほど遠いのだと思う。だからこそ
「当然よ、私だってまだリュウト君を放っておくのは怖いわ」
「子供扱いは止めて欲しいんだがな」
強がりでも微笑む。リュウト君もそう分かっているはずだけど微笑んでくれた
「大丈夫よ、私はまだあなたの姉なんだから」
「ああ、これからも・・・な」
ありがとう、その言葉をそっと去って行くあなたの背中に贈る。あなたを守れるのならばそれでいいと思っていたのに、死ねない・・・もう死んでしまっている幽霊の私だから消滅できないって言うべきかしら? そんな理由が出来てしまったから
「さぁ来なさい! リュウト=アルブレスが姉、マリア=ストルが相手になってあげるわ!」
と言うことでこの章はマリアの章です
マリア「最強にして無敵のお姉ちゃんの出番よ~~!」
何というかわりかしギャグより属性なのに時々シリアスやるんですよね、このポンコツ姉
マリア「レミーちゃん扱いはしない欲しいわ」
あそこまで振り切れてはいないけど分類としては同じタイプなんじゃ・・・あのギブアップします。だからこの関節技を・・・
マリア「ん~~? もう少しお姉ちゃんを敬う心が身につくまでは駄目ね。大丈夫よ、リュウト君にも何度もやっているから」
だ~~~! リュウトの基準を一般に当てはめるな~~~!! こ、今回はここまでにします! 次回もまたよろしくお願い致します! は、早く幕下りて・・・ドワ~~~~~!!?




