最終部6章「守り手の意地」7話 「親子の会話」
神魔剣バラトルナ、その力の一端に気がついたとは言え、それなりの実力の敵が圧倒的多数で攻めてきているという事実は何も変わらず、そして油断が出来る状況でもない
そんな状況を時に果敢に、時に守りを固めて、そして・・・
「おい、生きているだろうな馬鹿息子」
「・・・当たり前だ、馬鹿親父」
一瞬あんたこそと言おうとして言葉を変える。こうやって共に戦い会話を交わしているとつい忘れてしまいそうになるが、この人はとっくの昔に死んでいる死者なんだ
「へへっ、そんだけ減らず口を叩けるのなら上出来だ」
地を覆い隠すほどの怪物たちの死体たちを踏みつけてそう笑う父は確かに悪魔なのだろう。だが、同時に大地に大の字で倒れている俺に手を差し出す姿に優しさも感じる・・・この人は純粋な悪魔のはずなんだがな
「どうした? 立てねぇなんて情けねぇことは言わねぇよな」
「・・・あ、当たり前だ」
この人にこう言われては意地でも立たないわけにはいかない。折れた足も切れた靱も無視して立ち上がる
「ケッ、最後ぐれぇ『助けてお父様』とか言えねぇのかね」
「・・・万が一言ったらどうなる?」
俺がその立場だったら、そんなことを思っていると父コザルトスはニヤリと笑って
「決まっている。気色悪ぃと蹴り飛ばす」
「誰が言うか」
だが俺もそう言うだろうと思うと無性におかしい。どうしようもないほどに些細な事だ。俺とレミーが味わった過去に比べてあまりにも小さい。だが、声を上げて二人で笑ったこの瞬間が何かを溶かしたようなそんな気がする
「回復は自分でやっておけよ。俺はそっちは専門外だ」
「ああ・・・」
俺も回復は専門外だが出来ないというわけではない。回復はまったく出来ないのはアキさんぐらいなものだからな
そして多少なりとも回復をしておく必要がある。おそらくこの戦場、レオン的にはこのステージはゲームクリアと言うところなのだろうが、奴のゲームのステージはここだけではない。それに
「レミーはこの先にいる」
レミーが戦うタイミングが何時になるのかは分らない。だが、この先の何処かで必ずレミーが戦う場面があるはずだ。なぜならば、この戦いの全てを操っているのは絶対者であるレオンなのだから
「レミーのところにはレリューナが救援に行っている。あいつが一緒ならばそうめったなことにはならねぇと思うが」
「ああ、それでも助けに行く。俺はあいつの兄だからな」
自分の番は終わったなんて言ってここで休んでいるつもりはない。この先に俺の道をただしてくれた仲間たちが、レミーがレーチェル様がリュウトが戦っている
「それでこそだ。さぁ、行こうぜ。レオンの奴に俺たちの力を見せつけにな」
そう笑うコザルトスは確かに俺の父なのだと納得させられた気がした
や、やっと帰って来れた。後書きルームが懐かしい
コクト「・・・随分とやつれているが、自分の仕事はやってくれ」
なんかコクトが優しく感じます。えっと、おわかりかも知れませんが、今回でこの章は終わりです。なので次は誰の番かというと
コクト「そこで俺の予告というわけだな。『徐々に減っていく仲間たち、そこに彼女は何を感じる? 消して強くはない彼女だけれども・・・竜神伝説最終部7章「姉の矜恃」』ふっ、俺が兄であるように彼女は姉なのだな」




