最終部6章「守り手の意地」6話 「子の意地」
「チッ、余計なことを」
そうつい口に出るが、確かに父コザルトスの援護はありがたい
俺の属性である地は攻撃には向かんが防御に優れる。そうであっても昔の俺は全てを自分で切り開いてきたはずだ。今とは違って誰も頼らずに・・・そう思い出させてくれた本人が頼っても良いというのは矛盾しているようだが
「口下手だな」
いや、それは俺もか。こんな所に血のつながりを感じてしまうのもどうかと思うが。本来悪魔というのは口が上手いものではないだろうかとも思ったが、アシュラの奴も俺と同類・・・ふっ、変わり者のところには変わり者が集まるのだろう
とにかく、昔は全て自分だけでやっていた俺に仲間を守ることを、仲間に頼ることを教えたのはレーチェル様だった。きっとレーチェル様もリュウトも仲間を頼る、信頼することを覚えた俺を昔よりも強くなったと評するのだろう。だが
「この場にいない仲間に、時間さえ稼げば援軍がやってくると、自分の出来ることの全てを出さずに頼るのは・・・違う!」
戦場がここだけならば、敵がこいつらだけならば必ず仲間が来ると耐え忍ぶのも良いだろう。だが今の状況はそうではない
「ちまちま守るだけの奴らが!」
「おいおい、俺までこいつと一緒にするなよ」
俺の守りに業を煮やした敵の一匹が無謀な突撃をしコザルトスに切り伏せられる。本来ならばこれでいいはずだ、俺が守りコザルトスが攻め・撃墜する。だが
「貴様こそ俺を守りだけだと思うな、コザルトス!」
これが共に戦うのがリュウトだったら、レミーだったら俺は何の迷いもなく守りに徹していただろう。だがコザルトスの、父の前ではそんな姿を見せたくはなかった・・・この感情になんと名前を付ければ良いのかは俺にもわからないが
「お前に隠された力があるというのならば今ここで! その一端ぐらいは示して見せろ! バラトルナ!!」
神魔剣バラトルナ、そう名付けられたこの剣。あのレーチェル様があんな場面でわざわざ俺に託したこの剣がただの切れ味の良いだけの剣でないことぐらい俺とて分っていたさ。この剣が応えないのは俺にその力を使うに足る何かがないのだとも
だが、今ここで! 最後の戦いである今、その力を使えないでどうする!? どんな力か分らない? ぶっつけ本番? それがどう何した、俺もリュウトほどでなくても戦士として力を示しておかないとな!
「グラン・・・プロージョン!」
力を、属性を剣に込めてみて理解する。これは地の力に他の属性を上乗せする剣なのだと。だから込めた、地の弾丸に風の鋭さと火の熱を。風と火が起こす爆風によって飛ばしながら
「属性まで相性が良いのだな、あの二人は」
風、そして火。その二つの属性から思い出すのはあの二人。吹き飛ばされた弾丸が敵の大部分を打ち倒したのを見てあの二人に助けられたような、お似合いさを感じた
す、素敵な女神様の元から無事に生還致しました(前回の後書き参考)
レーチェル「あら? そんなに感激しているのならばもっとお相手しましょうか?」
・・・な、何故ここに!?
レーチェル「ここに返してあげたのは私なのだけど? やっぱりお話し合いが足りなかったかしら?」
ノー! ノーでありますサー
レーチェル「・・・私は女神で何処かの軍曹ではないのだけど」
き、厳しさではその上なんじゃ(いくらなんでも軍曹は首落とした後に再生×数億とかはやらんだろう)
レーチェル「そうね、やっぱり初級編じゃ作者君には物足りないわね・・・超上級編にいってみましょう。大丈夫よ、まだ上に百個ぐらいコースあるから♪」
それのどこに安心の要素が!? って言うか今回の後書き話じゃ・・・
レーチェル「さ、作者君は喜びの涙と共に先に逝ったから、今回はここまでかしら? ふう、コザルトスが余計なことを言わなければねぇ。本編でも怪しいけど・・・ま、あの親子の会話があるのは私にとっても嬉しいことだわ・・・これでも感謝しているのよ、彼にはね。ってところで本当に終わりよ。作者君は三途の川の途中ぐらいで数京回強制送還させてからこっちに送り届けるから次回までには復活しているはずよ、じゃあね」




