最終部6章「守り手の意地」5話 「親の思い」
はぁ、こいつは一体誰に似たのだろうな。俺たちが生きていた頃からシスコンの気はあったが、ここまでではなかったと思うんだが・・・やはり俺たちがいなくなったことによる負担が大きいのだろうか?
天界が、天使や神の連中がレオンに狙われていたのはわかっていた。だが、神や天使は言うなれば表舞台に立ち続けなければいけない宿命・・・そんなところに我が子やレーチェルを放置することは出来ないというのは俺もレリューナも同じ考えだった。それでレオンに挑んで負けちまったら意味がねぇんだけどよぉ
「コクト」
「・・・なんだ?」
そうやって苦労かけちまったのは俺たち。どんな理由があろうとも結果がそうである以上は何を言っても言い訳にしかならねぇ。まして子に親の思惑を理解して結果がどうであろうとも受け入れろなんてあまりに悪魔として情けなさ過ぎて言えねぇ
「お前は地の力を守りだけだと思っているだろ。確かに守りに秀でている。だが守りしか出来ねぇわけじゃねぇ」
属性って奴は遺伝しねぇ。あえて言えば光と闇は種族に大きく影響を受けるが、それも絶対ではねぇ。とは言ってもレミーの本来の属性である無は悪魔である俺と天使のレリューナの娘であることが大きく影響していると言って良いだろうな。まぁつまりはだ、俺は地属性じゃねぇから自分の実体験は語ってやれねぇが、こいつよりも長く生きた先達としてアドバイスぐれぇはしてやるべきだろう。俺とて地属性の知り合いがいねぇわけではねぇからな
「仲間と共にいるのならば守りに専念するのもまた1つの手だ。強固な守りは仲間も自分も生存率を跳ね上げることだろうさ。だが、それは単独で戦うときには適用されねぇ」
「・・・」
「いいか、守りが堅いからこそ出来る攻めがある。守りを固めて安全なときだけ攻撃するばかりが能じゃねぇんだよ」
「・・・父さん」
おっ、呼び捨てから父さん呼びには復活しやがったか。ま、まぁ、俺は偉大なお父様だからな、その程度の敬意は持って貰っても良いだろう・・・生きて守ってやれていたらな
「あなたに言われるまでもない。俺は・・・俺は自分の力で道を切り開いてきた!」
そうだろう。そうせざるを得なかったのは俺たちのせいだ。そこは大いに恨む権利がお前にはある。だが、そうであるからこそ守りに入るな。誰かが敵を切り伏せるまで守るのではなくな。それはレーチェルも、あの小娘・・・小さく可愛らしかったあの娘も同じ思いだろう。だからこそあの剣をあいつに渡した
「おう、それでいい。それとな・・・誰かに守られる経験って言うのもたまにはしておけ!」
コクトの背後から隠密を使って近寄ってきた奴を俺は切り伏せる。なかなか悪くない隠密だったが、悪魔の将軍を欺けるほどの精度じゃねぇな
「チッ、余計なことを」
おう、子供に余計なことと思われることをしてやるのが親ってもんだろ?
子の心親知らず、同時に親の心子知らず・・・っていうかこの親子は互いに口下手すぎますね!
コザルトス「悪魔にそんなもんを求めるな」
いや、口先で丸め込むとか悪魔の得意分野でしょう、それ。あっ、騙すのは出来ても本音は・・・
コザルトス「それ以上口を開いたら・・・小娘の所に放り込むぞ」
だ、黙らせていただきます!
コザルトス「・・・あいつ、どこまで怖がられているんだ? 昔はあんなに可愛かったのにな」
レーチェルの可愛かった頃というのは作者ですらまったく想像が出来な・・・
コザルトス「・・・俺が放り込まなくてもあいつが呼び寄せやがったか。ま、どこで誰が聞いているか分らねぇから気をつけろよ~って所だな。そういうわけで作者がいねぇから今回はここまで。次回も見てやってくれた」




