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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
10部11章~ラストまで
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最終部6章「守り手の意地」2話 「勝利条件」

 投げた土の塊は前方に陣取った敵の中に突っ込み、そして消えていく。突然投げられたそれに攻撃を加えた者たちも当然いるが、あの程度の数がそれぞれ数回攻撃した程度で崩されるほど俺の作った壁は柔ではない

 だが、そうして敵の包囲網を抜けたはずの土の塊を追いかけようとする者たちもいる。いや、こいつらの目的から考えれば、追いかけようとしている者は優秀と評するべきなのだろうが俺にとっては歓迎できるものではない


「ぐぎゃ!?」


 それがただ壁に激突した悲鳴なのか、それとも言葉を発する能力がないのかはわからんしどうでも良いが、ともかく追いかけようとしている連中を防ぐように土壁を作る。これで壁を壊すことが出来ないようならば閉じ込めて放置という手段もあるのだが、この数で無制限に攻撃が出来る状況で壊されないと思うほどには俺もうぬぼれていないからな


「この先に行きたければ俺を殺してからにして貰おう」


 壁を壊そうとする者、回り込もうとする者、上空を飛び越えようとする者、様々だがその行き先を封じるように壁を作り厚くしていく。そうして俺の声とこの先に進み自分たちの目的を果たすためには壁を作り出している術者の俺を無力化する必要があると悟った連中が一斉にこちらを見る。ああ、それでいい


「ならば貴様を先に食い殺す」


「出来るものならばやってみろ」


 とりあえず言葉を話せる奴はいたらしい。もっとも、そんなことはどうでも良いことだ。俺が生きている間はリュウトたちの後を一匹たりとも追わせない。まだ諦めきれずに壁を壊そうとしている奴らもいるが、どんな乱戦の中にあろうともどさくさに壁を壊されるような無様は見せない


「グランドバルカン!!」


 土の技は攻撃力に乏しい物が多いが、数を相手にする技はないわけではない。俺にとっての必殺に当る「グランスラッシュ」や「グランインパクト」は消費が大きすぎてこう言う場面では使いがたいが


「ちっ、堅い」


 防御をすり抜けて一撃を食らわせてきた怪物の1匹がそうわめく。それはそうだ、なにせ


「それが取り柄だからな!」


 俺にはレミーのように多くの敵を一掃する技はない。アキさんのように強力な攻撃魔法を連発も出来なければ、アシュラのように延々と戦い続けるスタミナも無い。美鬼のような怪力も無ければ、リュウトのような不死身の再生力があるわけでもない。そしてメイさんのような頭脳もレーチェル様のような技術があるわけでもない。俺の取り柄はただ堅い、頑丈であると言うことそれのみなのだから


「さっさと・・・死ねぇ!」


「それは御免被る。例え、俺を殺したとしても貴様らの目的は果たさせん!」


 俺はこいつらをここに封じ込めていればそれでいい。倒しきるのに100年かかろうが、他の仲間たちが集まってきてからでも何も問題ない・・・リュウトの、他の連中の戦場には一匹たりとも行かせないのが俺の役目だ!


「さぁ、時間はお前たちの味方ではないぞ? 殺す気ならもっと本気を出すことだな」


 次の戦場で戦えぬほどに消耗したのならばそれはそれで俺の勝ちだ

コクトだけ、と言うわけではありませんが、コクトにとっては特に守り抜くことが戦いです


コクト「騎士の戦いは守ることだからな」


そこらへんが戦士や狩人などと違う所なのでしょうね。自分と主を守り抜くことが主体になってます


コクト「リュウトやアシュラ、美鬼のように死んでも攻め潰してしまえば良いというわけではない」


まぁそうですね、影と光の差はありますが、忍者なんかと同じで死んでは果たせない使命があるという所でしょうか


コクト「アレと一緒にされるのは気にいらないが・・・奴らは知った情報を伝えるため、俺は最後まで守り抜くため、使命のためには死ねないという点では同じか」


コクトだけリュウトの仲間内で少し毛色が違うという感じですね。まぁ、死なれると誰かしらが悲しむから死ねないって言うのは全員共通ですが・・・と言ったところで今回はここでお開きです。次回もまたよろしくお願い致します。では~

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