最終部5章「美しき者の戦い」6話 「鬼の戦い」
その存在は中々に楽しそうな奴だとは思った。リュウトじゃねぇが、戦場においてタブーを語るようなふぬけのつもりはない。つまりは俺の不意を突けたって事は十分な実力者だ。けどよ
「おい、俺の弟を誰の許可とって食おうとしているんだ?」
少々吹き飛ばされた先で下歴に埋まるわ雑魚共に囲まれているわで戻ってくるのが遅れたと言ってもその間に弟が食われようとしていたのはいただけねぇ。いろいろ情けねぇところがある奴だが、それでも俺の弟なんだ
『姉ちゃん、どうやったら姉ちゃんみたいに強くなれるんだ』
そう問いかけた幼かった弟に何て答えたのかはもう覚えていない。けど、ろくな答えをきっと返していないのだろう
「ギギ、赤い鬼の方がもっと美味い」
「チッ、少しは面白そうな奴だと思ったが、図体がでかいだけで中身は餓鬼か」
「ガキ? なんだ、それは」
「知らねぇんならどうでも良い。俺たちの関係はこいつだけだろ」
握りこぶしを前に出す。どっちのこぶしがより相手に効くか。どっちが相手を殺すか・・・むさぼり食うか何て言っても良い
「俺を食いたければ実力でもぎ取ってみろ、さっき見てぇにな」
ま、俺はこんな奴を食う趣味はねぇがな。リュウトの作った飯の方が億倍うめぇ
「食う! 食えばより強くなる」
「その手の口かよ、てめぇは」
食った物を取り込んで強くなっていくタイプか。だったら、その赤い腕はさっきもぎ取った俺の腕か? ・・・気に入らねぇな、俺はてめぇの物になった覚えはねぇ。例え腕一本分だったとしてもだ!
「おらぁ!」
まずは様子見とばかりに金棒で打ち付けてみる。並の相手ならばこれだけで十分に打ち倒せる自信はあるが、これだけ色々と取り込んでいるタイプだと
「問題ない。弱いところはいらない」
その巨体の10%程度はそぎ落とせたが、奴にとっては取り込んだ者の中の弱いところか。このまま削り取っていくのが正解か、それとも中にあるだろうコアのような物を叩き潰すのが正解か
「・・・ははは、くははははっ!」
「・・・?」
突然笑い出した俺に疑問を覚えているのだろうが関係ねぇな。俺としたことがリュウトたちといて小技を見過ぎちまったか? リュウトの戦い方ならば後者だろう。メイだったらもっと当然のようにコアを貫くだろう。あのレーチェルとかもだ! だが俺は鬼だ。鬼の戦い方は・・・全てを喰らい尽くすぐらいでちょうど良い
「あの程度のダメージがそれほど嬉しいか? それとも絶望的な差に狂ったか?」
「どっちも大外れだ!」
そう言いながら繰り出した一撃にカウンター気味に攻撃され相打ちになる。はははっ、中々いてぇじゃねぇか。そうじゃなくちゃ面白くねぇ。こう言う戦いを楽しんでこそ鬼って言うもんだ
「さっき、俺を食うって言ったな?」
「・・・?」
「だったら俺も宣言してやる。てめぇを喰らい尽くすのは俺の方だってな!!」
あのお人好し共が見たら呆れるようなことだろう。でも、リュウトだったら・・・生きて帰ってくればそれでいいって言ってくれるかな
あいつの側にいて、戦いというのは苦しい物だと知った。それは勝っても負けても苦しみもがいているあいつを見続けたからだ。だがよ、一緒になって苦しんでやることは俺にはやっぱ出来ねぇみたいだ。だからさ、俺がお前の分まで存分に楽しんで少しでもお前の苦しみ、拭い去ってやるよ・・・
バトルヒロイン・・・と言うよりは殺伐系ヒロインな美鬼でした
美鬼「鬼に安らぎなんて求めているやつはいねぇだろ? ってかアシュラだって同類だろうが」
あれはバトルヒーローとしてはそれなりにありな部類で
美鬼「・・・それはヒロインとしては俺は無しってか?」
う~ん、ヒロインとかヒーローとかって言うよりも恋愛が絡まなければ格好いい?
美鬼「アシュラにだってレミーがいるだろうが!!」
レミーが絡むと中々ポンコツ・・・というかレミーがギャグと恋愛に全振りしているから中和される感じですね。と美鬼が怒り出さないうちに今回はここまでにしておきましょう。では次回もよろしくお願い致します~




