最終部5章「美しき者の戦い」4話 「戦いに求めるもの」
「へっ、なかなか良い面になってきたじゃねぇか。そろそろ体は温まってきたか?」
「これを良い面と呼ぶのは姉さんぐらいな者だよ」
ペッっと血を吐き捨てながら覇鬼はそう言うがよ、その無数の殴られ後がありながら笑っていられるのは俺たち鬼にとっては十分いい顔って奴だ
「んなことねぇ。ほら、あいつらだって笑ってやがるぜ」
この数がいれば元からこの天界の入り口に張っていた奴らを一掃するのは文字通り時間の問題。とは言ってもこっちのこの後やってくる奴らのために早めにに一掃をしておきたいところではあるが
「これで終わりってわけじゃねぇだろうな」
「そうだね、姉さんや俺たちがここの相手をするとは読めなくてもこのレベルならばどうにでも出来る相手は結構いる」
ああ、そうだろうな。リュウトは戦わねぇにしろアシュラを筆頭に単独でどうにか出来る連中は多い。俺だって少しばかり時間はかかるだろうが、全滅させるのはこいつらが来なくても問題ねぇ
「ああ、この程度で終わるのならば」
「この程度の敵ですむのならば」
「面白くねぇ」「楽で良いんだけどね」
・・・・・・はっ?
「おい、覇鬼? こんな中途半端に燃え上がった状態で放置されることのどこが楽なんだ? それこそ拷問だろ!」
「そんなものは滝にでも打たれて勝手に冷やせば良いだろ! 戦いなんて楽に終わった方が良いに決まっている!」
わかっていねぇ! そりゃ、敵の全軍が楽だったらリュウトにとってはそれが良いんだろうな。俺もそれならば敵のふがいなさに涙して我慢もするさ。だがな、ここに戦力が集まれば集まるほどリュウトたちが楽になるんだよ! ま、アシュラ当たりからは恨まれるかも知れねぇけどよ
「ゴルルルルゥゥ」
そんな会話の間に響いたうなり声。はぁ、まったくよぉ
「よええのにしゃしゃり出てくるな! どうせならば不意を突いてきやがれ!」
「会話を邪魔するんじゃない!」
俺と覇鬼の振った金棒が当って大人しくなりたかったか。ったく、この程度で死ぬならばうなり声なんて上げてどうするんだか
「話している間に数が減っちまったじゃねぇか。俺は向こうをかたづけてくるぜ」
「まずは邪魔な奴らをかたづけないとね・・・姉さんに説教をするのは後にして」
おい、なんで後にそんなもんが待っているんだよ。ああ、全部終わった後ならば殴り合いの喧嘩だったら歓迎するんだけどよ
「さて、本命がいつ来るかわらねぇが、その間にてめえらを片付けねぇとな。できるだけ楽しませてくれよ?」
あの馬鹿と話している間に随分と回復しちまったからなぁ。せっかく腹の中身が出る程度にはダメージ喰らっていたのによ。ま、本命が来たらまたその程度のダメージは軽く与えてくれるんだろう。ガンガンきてくれよ? そうしたらよ・・・リュウトならば確実にレオンに勝ってきてくれるだろうからさ
美鬼もただ楽しいか戦いだけを求めているわけではありません
美鬼「そ、そりゃ俺だって状況は見ているぞ」
美鬼が戦闘狂で苦しい戦いを望んでいるというのも間違ってはいませんが
美鬼「おい、上げた後に落とすのは止めろ」
ま、まぁ、どっちの要素も美鬼だって事ですね。乙女でリュウトのことが心から好きな美鬼もまた美鬼であるように・・・え、えっと、その金棒が振り下ろされる前に退散します! で、では次回もよろしくお願いしますね~
美鬼「こら~! ま、待ちやがれ!!」




