最終部5章「美しき者の戦い」2話 「鬼の戦場」
「オラオラオラ! 腰引いているんじゃねぇぞ!」
見渡す限り敵また敵。リュウトたちの所には行かせねぇと俺が壁になっている状況だからよ、囲まれているわけじゃねぇが前には大量の敵がうじゃうじゃいやがる。1匹1匹が大した相手じゃねぇ言うのが残念なところだが、この数はよだれが出るじゃねぇか
「よ~し、良い一撃だ。多少は効いたぜ? 礼に真っ先に地獄へ招待してやらぁ」
これだけの数がいればその中にはまぁ多少はマシレベルの奴もいなくはねぇ。この大群全体が1つの敵と考えればそう悪い敵でもねぇな
「おい、どうした? 地獄に行くのは一生に1回だけだぜ? その1回、何も出来ずに震えていくんじゃもったいねぇだろ? 俺に1撃でも喰らわせた名誉をもって行ったらどうだい?」
弱い奴をいたぶるのは趣味じゃねぇんだ。せっかく俺に多少なりともダメージを与えられる奴の群れなんだからもっと攻めてきてくれねぇと面白くねぇだろ? この人数で連続的にダメージを受けたらそれなりにピンチにもなるってもんなんだけどよぉ。まぁ、蜂の群れみてぇなもんだな。こいつらには蜂みたいな毒はねぇけど
「ははっ、噛みつきか。いや、構わねぇよ? ここは戦場だ、何をしようと自由だ。だがな」
俺の胸に噛みついてきた一匹の・・・なんだろうな? まぁ種族は分らねぇが敵を俺は睨んで逆にその首筋を噛みちぎる
「噛むんだったらこう言う場所をこのぐらいやらねぇと意味ねぇだろうが」
そこを噛んだりするのはリュウトだけで良い・・・いや、何を考えているんだ俺は
「と、とにかくだ! 地獄送りの名誉を受けてぇ奴からかかってこい! 料金は俺を楽しませることだ!」
少しばかり上がっただろう体温を誤魔化すようにそう宣言する。いや、楽しませるって言うのは俺にダメージを与えるって事だぞ? こ、こんな奴らと妙なことをやる気はねぇからな!? ちっ、本当に俺らしくもねぇ事が頭に浮かぶのはやっぱりリュウトとアキが・・・そんなことが頭に浮かんで慌てて首を振る。おれの体は元々赤いからこんな奴らにバレねぇって事だけは救いか。そして
「へっへへ、楽しくなってきやがったじゃねぇか」
どのぐらい戦っただろうか? まぁ、時間的には大したことはねぇ。俺たちの戦いは光速越え、単純な時間にしたら1秒も経っていねぇって言うのが正しいだろう。だが、その間に倒した敵の数は優に万を超え、そしてそれ以上の数がワンサカ沸いて出てくる。どこから出現しているんだとも思うが、黒幕があのレオンの本体なんだから何が出来てもおかしくねぇって事だろう。ははっ、構う物か。ここに敵が集まればリュウトが楽になるって事だ。それに何よりも俺が楽しめるってことでもある!
「さぁ、もっと遊ぼうぜ!」
ぎろりと睨み付けて、ドシンと足を鳴らすと
「まったく、竜神様のところに嫁に行って少しは大人しくなってくれることを期待していたのに益々戦闘狂になるって言うのはどういうことだい、姉さん」
こんなところで聞こえるはずのない声と気配に後ろを振り向けば・・・なんで居やがるんだよ、覇鬼
と言うわけで美鬼のところにかけ付けてくる人物と言えばこの人でしょう
美鬼「な、なんで覇鬼が来るんだよ!?」
そりゃ来るでしょう、弟ですし
美鬼「あ、あいつは地獄の門の番人だろうが!!」
円ちゃんこと閻魔様が今回は全面的に味方ですからね。地獄の門の門番ぐらい動かすでしょう
美鬼「え、閻魔様、なんで俺の所によこすんですかぁ。あ、姉としてみられたくない姿というのも」
美鬼らしくなく動揺しているのは何故か? その答えは次回確かめて下さい。では~




