最終部間話1
「・・・んん」
暗闇から意識が覚醒しつつあることを自覚し、最初に聞こえてきたのはこんな声。その声が自分自身のものであることさえも気がつくまでに時間がかかるほどで
「・・・さん! ・・・ミラさん!」
そう私を呼ぶ声は誰だったか。少なくても我が君ではない。どんなに意識が混濁していても我が君の声を聞き間違えることだけはけしてないと断言が出来る
「良かった気がついたんですね」
目が開き、眩しい光に視界が黒から白一色に塗り替えられて・・・
「・・・ヤマトか?」
「はい!」
そうだった。私はあの怪物を倒す直前に心臓を貫かれて・・・強がってはいたけれど、心臓がバンパイアの弱点であると言うことは覆せない。我が君のように何の問題も無いというわけにはどうしても行かない。でも、こうしてヤマトと会話が出来ていると言うことはしには至らなかったのでしょう。だったら我が君ならばこう言うはず、『死ななければ安い』と
「・・・気がついたか」
そんな安堵を打ち消すように聞こえた声。我が君とは別の意味で忘れるはずもない声に慌てて飛び起きようとして
「うぐっ!?」
胸の痛みにうめく。この声の主の前でこんな無様をさらすわけにはいかないのだけど
「駄目ですよ、まだ無理をしては」
そんな私を慌てて支えてくれた者。先ほどの声の主とは違うそれは
「エミリア! そなたが何故!?」
それはかつてレオンに操られた主と共に我が君たちの前にはばかり、そして私に倒された女バンパイア。もうこの世には存在しないはずの顔
「この騒動は地獄とて傍観者ではいられない、そういうことのようです」
そうか、つまり円が・・・
「それでその口調がそなたの本当の口調というわけか」
「うっ、良いじゃないですか。私にも見栄というものがあります。あなたと同じように」
・・・本来の口調と違った口調で話しているのは私も同じ。ここを下手に突っ込むと火傷を負うのは両方って事になりそうね。そして
「それであなたも我らに協力してくれると?」
私が聞いた相手、それはエミリアでは泣く彼女の主ルスヴン=ファルバトス
「無論だ、かつてレオンに挑み敗れた身であるがこそ、奴に挑みし新たな英雄の枝払い程度はさせて貰わねば」
口調こそ固いもののその笑顔は私がかつて戦ったときとは見違えるほど柔らかい。人のことは言えないけれど、バンパイアというのはどうにも見栄っ張りで格好付けが多いみたいね
「それに・・・助けに来たのは死したバンパイアだけではない。流石にファルトは来られなかったようだがな」
クククッと笑うルスヴン。お爺様はアキのように王を放り出してこちらには来られなかったよう・・・きっと悔しがっているでしょうね
「さて、カーミラも気がついたことだ。竜神を追うとしよう」
「あなたは私が背負っていきますので少しでも体を休めて下さい」
そう言ってエミリアが私を負ぶってくれるが
「じゃ、じゃが、それではエルファリアが・・・」
私はここを任された以上は、守り切らねば我が君たちに合わせる顔が・・・
「大丈夫です、ここの援軍も来ましたから」
そうヤマトが顔を向ける先を見れば、そこにいるのは獣人、ドワーフ、そしてダークエルフ・・・我が君やアキがその絆を紡いできた者たち。その信仰で我が君の力となるだけでなく直接助けに来てくれたのね。本当に全ては無駄ではなかった
「・・・いいのじゃな?」
「はい!」
力強く迷い無い返事、ならば
「待たせてしまったの。ならば、行こう。我が君の元へ!」
追いつけないことは分っている。それでも我が君の少しでも近くへ! 全員で我が君を迎えるために
と言うわけで最終部の間話・・・と言う名の書き忘れ回収です
カーミラ「やはり処罰しておきべきか」
ちゃ、ちゃんと書いたしカーミラも無事だったでしょう!?
カーミラ「それは最低限じゃ!! そもそも間話1と言うことは・・・」
・・・この先にもあるかも知れないじゃないですか、書き忘れ
カーミラ「妙な予防線を張っておく出ない。2を書く予定が現時点でないなら1など書かんでも良かろう」
それなりの確立でありそうですしね。なくても1つぐらいは追加しても良いですしね
カーミラ「はぁ、阿呆と思っておうたが・・・まぁよい、次章の予告じゃったな『先へと進んだリュウトたち、転位陣をぬけ展開へと入った先に当然待ち受けている敵の大群。次なる戦いの主役は最終部5章「美しき者の戦い」』ふむ、我が君の側におる者は皆美しいが、これはあやつのことじゃの。予想が当っておるかは次回確かめて欲しいぞ」




