最終部4章「人間として」8話 「1つの合流」
そうしてみんなで戦って、誰も犠牲にならずに勝てて・・・
「みんな、ありがとう」
本当は言いたいことは一杯あったんだ。でも言葉に出来たのはそれだけで、それだけで良いって言ってくれるみんなの優しさが嬉しくて
「ボクたちは先に行くよ」
この先ではきっとまた別の誰かが戦っている。ひょっとしたらもうそっちの戦いは終わっているなんて事も考えられるけど、それでも助けに行かないって言う選択肢はボクにもオルトやライカにも無いと思うんだ。だからボクはみんなにさよならを
「ちょっと待ってくれないか? それじゃあ僕たちがついて行かないみたいじゃないか?」
えっ? 確かにみんながボクを助けに来てくれたのは分っているし、それは凄く嬉しいことで・・・でも
「まだ、助けてくれるの?」
「当然。みんなアイを助けたいってここに来たんだ。それにここでなんとかしないと世界が消えてしまうかも知れないって事も分っている。僕たちがいた証はもうこの世界にはほとんど無いかも知れないけど、確かに僕たちが生きたこの世界が消えて無くなっても良いなんて思っている人は誰もいないよ」
ホロリとこぼれた涙にヒジリが慌てるからボクも慌てて笑顔になるんだ。ボクたちがいた国にはもう無い。ボクたちが外との交流を断ってまで封じていた怪物はリュウトが倒してくれた。だから
「みんなが確かにここにいた証はボクが何時までもここに持っているから」
そう言ってボク自身の胸を指す。もうボクがみんなのためにしてあげられることはそのぐらいしかないって分っているから
安心したってボクの頭を撫でるヒジリとお父様の手にボク自身が安心させられて
「あ、ア~~~イ~~~!」
へっ? しんみりした空気に突然響いたボクの名前? あ、当たり前だけどヒジリでもお父様でもボク自身でもないよ!?
と驚いて周囲を見渡してみれば
「ママナ! それにコーリンさんも・・・よかった無事だったんだね」
ボクたちがやって来た方から大量の悪魔たちが押し寄せてきたときはもう一戦!? とかって警戒したけど、その中にママナとコーリンさんがいたことに安心する。たぶん、この悪魔たちはボクにとってのヒジリたちと同じような感じなんだと思う。ママナたちも急に人間の軍に会って吃驚したかも知れない・・・悪魔の群れよりかは驚き度は低いだろうけど
「アイたちも無事で良かったよぉ」
そう言って涙ぐむママナはやっぱりボクの親友だと思う。他の仲間も大切だし、リュウトは比べることも出来ないけど、そのリュウトを除いた仲間たちの中では一番・・・
「うん、ボクたちは大丈夫・・・行くんだよね?」
ここに来たって事はこの先の援軍に間に合うのならばってつもりでやって来たって事だと思う。ボクたちの所には少しだけ間に合わなかった。だけど
「勿論! アイも・・・だよね?」
その琴絵にボクは力強く頷いた。随分と大所帯になって先に進むことになるね。これならばまだボクたちは役に立てる? もしも間に合わなくても、ボクたちは少しでもリュウトの側に近寄りたいんだ・・・その姿は見えず、声は聞こえなくてもね
さて、ここでアイとママナが合流致しました
カーミラ「・・・我はどうなったのじゃ?」
え、えっとカーミラは生死不明ですし・・・
カーミラ「よほど冥土を見に行きたいようじゃな」
そ、これは遠慮させて下さい。だ、大丈夫です! 次は間話というかたちですがカーミラたちの話を予定しています! さらにこの章の最後の話です!
カーミラ「ふむ、ならば裁定は次回まで預けておくとしよう。よいか、生きるも死ぬも汝次第じゃぞ?」
・・・なんでうちの連中は作者を平然と脅していくのだろう? ぼ、僕が無事にすむように次回もまた見に来て下さいね~




