最終部4章「人間として」4話 「誇りのありか」
オルトが雷を吐き出したことでアイもライカも驚いているらしい。確かに今までオルトはこの力を使ってこなかった。アイたちが使っているのを見て存在は知っていても十分な威力の技として使用することが出来なかったから。その弱点を克服するきっかけになったのは
『オルト、おれが見たところお前も雷の力を持っていると思うんだ。アイやライカとのコンビネーションを上げる意味でもこれを使ってみないか?』
そう言ってオルトの首輪に宝玉を付けていったのはライバルであるリュウトだった。本当だったらアイから貰った首輪にこんな物を付けられるのは気に入らないところだが、アイの役に立つ物だというのであれば貰っておくべきだろう
「ガル!」
そう答えたことにアイとライカがどう判断をしたのかは分らない。だが、ニッコリとアイが笑ったのだからそれでいいのだろう。使用したことで少しだけ熱を持った宝玉、これはオルトの中にある雷の力を放出しやすくする物なのだという
「よ~し、オルト! 一気に行こう!」
「そ、そうだね、アイちゃん。うん、オルトにも力を送るからここで一掃しちゃいましょう!」
まだ口以外から放出することは苦手だけれど、尻尾からもなんとか雷を出しながら走る。その上ではオルトにまたがったアイも殴ったりラインボルトを放ったりしながら敵の数をドンドン減らしていく
「ば、馬鹿な? 何故、たかが人間や狼などに・・・」
「そう言う君は一体何なのかな?」
現実が受け入れられないのか、そう呟く魔物たちのリーダーに対してアイが問いかける
「アイちゃん・・・」
「ガルゥ」
そんなアイの問いかけにオルトたちは名前を呼びかけるが、アイはオルトたちにニッコリと笑いかけて
「ボクは人間だよ。リュウトのためならば人間なんて立場を捨てられる・・・そう思ってここまで来たけど、それでもボクは人間を超えられない。ライカは精霊だし、オルトも色々凄いところはあるし狼を超えているんじゃないかって思うところもあるけど、それほどやっぱり狼なんだ。それで? 君の種族は何なのさ。自分はこう言う存在だって胸を張って言える何かがあるのか!」
「わ、我らは・・・」
個を示す名前どころか種を示す名前さえもあるのか分らない存在たち
「君たちにそれがないのは確かに君たちのせいじゃないよ。君たちを作り出した物の傲慢の犠牲者かも知れない。でもね、ボクたちの誇りを傷つけることも、同情でこの場の勝利を譲ってあげるほどボクたちは優しくもないんだ」
オルトは最強の狼だ。それはオルトの自負である誇り、同時に責務だ。アイはどうなのだろう? 最強の人であるという誇りを胸に戦っているのか? オルトにはそうは思えなかった。アイは人であることは捨てられる。だったらアイの誇りは
「ボクはどこまで行ってもリュウトの隣にいる! 皆と一緒にね!」
・・・わかっている。アイが好きなのはあのリュウトだって事は。それでもオルトは何時までもアイの隣にいる。それだけはけして変わらないオルトの誇りだ・・・だからこそオルトはアイが好きなのだとも
「ウォ~ン!」
「アイちゃん! 私たちもずっと一緒だよ!」
「うん、行こう! ボクたちは何時でもチームだよ!」
オルトたちの気持ちは決まっている。この場は絶対に後ろに通さない・・・そしてアイは必ず守り通すって
と言うわけで珍しいオルト視点です
オルト「ガルゥ」
だからってオルトにここに来られてもなぁ
オルト「ガル?」
とりあえず、アイが何を一番気にしているのかって言うとリュウトのそばに居続けることなんですよね。依存と言うよりはそれが当然な関係なのです
オルト「・・・ガルガルガル!」
って気に入らないからって噛みに来るな~~~!! こ、今回はここまでです! 次回もまたよろしくお願い致します~




