最終部4章「人間として」3話 「贈り物」
アイちゃんが吠えて魔物たちが少しだけひるむ。私が今まで見てきたこのキメラ型の魔物たちはそう言う判断をする知能も無かったみたいだから、これは知識を得たことの代償って奴ね!
でも気合いを入れているのはアイちゃんだけじゃないわ。敵への間違い指摘に自分たちは漫才なんてやっていないなんて言ったときはどうしようかと思ったけど、続く言葉は私たちの心に響いたもの! そう、オルトが走り、私が強化し、アイちゃんが殴る! 私たちは三人ではなくて1組・・・ある意味三人揃って一匹と言うべきだったのかも知れないわね。なんとなく自分で匹とか言うのは嫌だし、人って言うのもちょっと違う気がしちゃうけど
「ライカ! もっとお願い!」
「うん、遠慮無しにいっくよ~!」
通常、私が契約者であるアイちゃんに送る力はアイちゃんの中に収まりきれる分だけ。でも、これは最後の戦い・・・次の事なんて考えなくて良い! だから私はアイちゃんの中から溢れるほどの力を送る。それがアイちゃん自身に痛みを与えていると知っていても
「ガァ!」
「オルト! ありがとう!」
自分は足だけじゃないと言うようにオルトは攻撃をかわしながら噛みつき、ひっかき、そして尾ではたく
オルトはアイちゃんたちが言うにはゲームから出てきたとか言う不思議な狼。人間、一応人間なはずのアイちゃんに恋をしていたり狼なのに数千年は楽に生きていたりと変わっているけど頼れる仲間だと思う・・・アイちゃんも人間だけどもっと生きているから似たもの同士なのかも知れない
「くっ! 雑魚共の分際で!」
「確かにリュウトに比べたらボクたちは弱いよ」
オルトが少しだけ抗議するようにアイちゃんを見る。リュウトさんを恋敵だと思っているオルトにとってはそうかもだけど、現実問題として私たち三人が協力してもリュウトさんには軽くたたきのめされるのは間違いないんだろうね
「それでも! 君たちに負けるつもりはないよ! 当然、馬鹿にされる覚えもない!」
ギュって握った拳を魔物たちに突きつけるアイちゃん。その拳はリュウトさんから貰ったというガントレットで覆われている・・・アイちゃんが成長したり壊したりするたびにリュウトさんが新しい物をくれるというガントレットはアイちゃんの部屋に一杯古い物が並んでいる。今使っているあれはもう神話の武器と言うべき品物だけど、きっとアイちゃんにとってはそれ以上の価値があると思う・・・でも、リュウトさんから物を貰っているのはアイちゃんだけじゃないのよ
「アイちゃん、本気で行くよ」
「当然! ライカの力はこんなものじゃないよね?」
ニヤって笑うアイちゃん。その言葉は挑発なんかではなくて信頼。だからこそ私はその信頼に応えないといけない。リュウトさんが私にくれたのは結界を強化する魔道具・・・強力であればあるほど副作用もある魔道具だけど、リュウトさんがくれたこのアイテムはそのギリギリのバランスを保っているような物
「・・・っ!」
私がその宝玉に力を込めると私の体の中から雷の力が吸い取られていく感覚を覚える。暴走する雷を含んだ結界はオルトもアイちゃんも傷つけていく。それでも
「うん、ありがとう、ライカ」
「ははっ、お礼はリュウトさんにね」
「そうだね、だから勝たないと」
この結界は雷以外の力を大きく下げて、私とアイちゃんの雷の力を増幅する力を持っている。それがあまりにも強すぎてこうやって副作用もあるんだけど、増幅率から見れば相当に抑えられているのがリュウトさんの優しさだと思う
「ガルゥ!」
「・・・えっ?」
なに今の? オルトが?
「お、オルトの口から雷!? オルトも雷属性だったの!!?」
もう結構な時間一緒にいて初めて知った衝撃の事実もセットで
アイと一緒に戦うのはこの二人だけじゃないと言うことです
ライカ「皆の力があるから私たちもアイちゃんと一緒に戦えるんだよ」
そもそもリュウトと一緒にいたくてアイと契約したライカですしね
ライカ「それは言っちゃ駄目~~」
ぐぼっ!? ぽ、ポカポカパンチが危ないのはママナだけではないのね・・・こ、こんなに小さいのにガクッ
ライカ「えっ? えっと作者が気絶したから今回はここまでね。それじゃあ次回もまた遊びに来てね~・・・これどうしよう? 雷とか流したら気がつくかな?」




