最終部4章「人間として」2話 「牙を見せろ」
「・・・来るよ」
そうボクが言うとオルトもライカも頷き返してくれる。そうして出てきた魔物たちは・・・やっぱりリュウトを元にしたキメラ?
「1人と2匹で我らを止める気か」
「! こんなにしゃべるのは初めてだね」
知恵に特化したタイプとかそう言うのかな? どうも相手は色んな実験をしているみたいだしね
「ねーねーアイちゃん? アイちゃんが匹扱いされているよ」
「・・・匹扱いなのはライカじゃないかなぁ」
「え~!? こんなに可愛い精霊を匹扱いはないわ」
ライカは確かに妖精よりは大きいけど、小さいし羽も生えているから匹でも良いんじゃ無いかな? 少なくてもボクは匹じゃ呼ばれないと思うよ!?
「はっはっは! この場で漫才を見せてくれるとは竜神とやらの人材は豊富なようだな」
ムッ、明らかにボクたちを馬鹿にしているよね? 百歩譲ってボクたちを馬鹿にするのは許すけど、リュウトを馬鹿にするのは許さないよ!
「2つ・・・」
「何?」
「君たちは2つ間違えている」
「ほう? ならばこの愚か者に教えてもらえるだろうか?」
ニヤニヤと馬鹿にするように言う魔物たちのリーダーだろう存在を睨み付ける
「1つ! ボクたちは漫才なんてしていない!」
「・・・アイちゃん?」
「・・・ガル」
底を指摘するのかって感じでライカやオルトも言うし、魔物のリーダーもあきれ顔でこっちを見るけど、そこはやっぱり訂正しておかないと
「もう1つ! ボクたちは・・・ボクたちは1人と2匹でも3人でもない! ボクたちは・・・1組だ!!!」
「!?」
何に驚いたのかは知らないけれど、魔物たちのリーダーが驚いた隙にボクはオルトにまたがり、ライカがボクの肩に乗る
「行くよ! オルト! ライカ!」
「ガルウウウ!」
「まっかっせてよ」
そしてオルトは一気に敵の懐に飛び込んでそのまま通り過ぎる。勿論、逃げたわけじゃないよ
「なっ・・・ぐぅぅううう!?」
その瞬間にボクがお腹を思いっきり殴りつけている。それもボクの体を通して増幅したライカの雷とボク自身の雷のミックス付き! オルトの突撃だって実はリュウトやアシュラほどじゃないけど仲間内でも結構速い方だから効かないはずがないよね
「くっくっくっく、中々やるじゃないか。だが、その程度では・・・」
「アイちゃん! 三下ゼリフの魔物に見せてあげて!」
「分っているよ! ラインボルト、ラン!」
ライカの言うとおりにお決まりのセリフを言う魔物たちのリーダーに当然のようにボクは追い打ちをかける。殴るなんて言うわかりやすい攻撃をしているのにボクがそこをラインボルトの基点に設定しておかないはずがない
「くぅ!? 追跡する雷撃!? だ、だが! その技は単独の的にしか出来んようだな」
ぞろぞろと後ろから出てくる魔物たちには確かにボクの雷撃、と言うよりもラインボルトは当てられない。だって基点として登録できていないからね。でも、気になるのは
「そのキメラたち・・・皆の気配はそれぞれするのにボクたちのはないね」
リュウトだけでなくて他の皆の気配もする。単独のもいるし、複数が混ざっているのもいるけど、全員を見てもボクらの気配だけは感じない。他の場所に回っている?
「ふん、そこの妖精はともかくただの人間やましてや狼など使うわけがなかろう!」
「精霊!!」
下位種らしい妖精扱いされたライカが文句を言うけど、もっと文句を言いたいのはボクやオルトかな?
「人間や狼を甘く見ていると怪我をするのは君たちかもよ?」
「ガルルルルルゥ」
今までだってそうやってボクたちを甘く見てきた存在は一杯いた。でも、そう言う相手には必ず見せつけてきたんだ、人間や狼だって戦える! ボクたちにもリュウトの敵を貫く牙はあるってね
この物語はほとんど人間のいない物語。ですが
アイ「人間だって戦えるって事はボクが証明してみせるよ!」
他の人間はマリアやケンタにハナなんかがそうなのですが、この辺のメンバーはすでに幽霊ですしね
アイ「これだけ人がいない物語って結構珍しいよね?」
・・・たぶん。普通に人がいる世界観でこれだけ出てこない話は結構珍しい方かと
アイ「だけどボクがいるから人間の強さはしっかりと見せつけるんだ!」
・・・人間って言う区分にしていいのか分りませんけどね。あっ、その雷を纏って近寄ってくるのは!? こ、今回はここでお開きです。次回もまたよろしくおねギャ~~~~~~!!?




