最終部3章「悪魔の親子」7話 「穏やかに、けれど急いで」
「・・・ナ!」
声が聞こえるよぉ
「・・・マナ!」
真っ暗な中に誰かの声。えっと、この声は・・・
「ママナ!!」
ハッと目が覚めたその先にいたのはお母さんとお父さん。そして、無数の悪魔たち
「よかった。あなたはあの怪物を倒した後に倒れてしまったのよ」
ぼやけていた視界と記憶の霧が晴れていく。そうだった、私はなんとかここであいつを倒さない取って全力を振り絞って
「あはは、私、リュウトと同じようなことをやっていた」
「ええ、そうよ。まったく、娘にこんな危険なことを教えるような人とあっては交際を考え直さないといけないかも知れませんね」
お母さんのそんな言葉に私は慌てて飛び起きる
「お、お母さん!? ほ、ほら! 私は元気だから問題ないよ!?」
「・・・冗談よ、交際に反対なんてしないからもう少し休んでいなさい・・・落ちるわよ」
落ちると言われてよく見てみれば私が横になっていたのは地面ではなくて空を飛ぶ悪魔たちが集団になって下で支えてくれているみたい
「ご、ごめんなさい! でも、どうして?」
悪魔たちの力から言って私ぐらいの重さを運ぶなんて負担にならないレベルだろうけど、それでも自分で空を飛びながら私は謝っておく
「リュウトさんのところへ向かうのでしょう? ここで頑張らなければ世界に未来はない・・・それは彼らもよく分っているの。だからこのまま協力してくれるって」
それで私も一緒に運んで・・・お母さんはあなただけをあそこに置いていくわけには行かないでしょう? 一人になったらどんな無茶をするか分らないのだしって笑うけど、私はすでにこの世の者ではない悪魔たちまでこうやって最後まで協力してくれることが嬉しかった。リュウトがやってきたことも、私がやってきたことも間違いじゃないってそう言ってもらえたみたいで
「ありがとう、皆。それにお父さんも」
「ははっ、父親らしいこと何てほとんど出来なかった情けない父親だ。けれど、ここでぐらい娘を守ってやらねばな」
お父さんはそう言って笑ってくれる。確かに私はお父さんと暮らしていた記憶は全くない。それでも、この人は間違いなく父なんだって言えるよ。たぶんだけど、こういう所もリュウトと同じなのかな? リュウトも記憶は無いけど会えたらそう言うのだろうし、リデアを妹だって大切にしているのだから
「ところで、その交際しているというリュウト君かい? お父さんに紹介してくれるかな? ほら、父として娘を預けられる男かどうか試さないと・・・」
「・・・お父さん、リュウトと喧嘩したら消滅させられるよ?」
「想像していた受け答えと違う!? お父さん、これでも一応悪魔なんだけどなぁ」
だって下級悪魔じゃない。リュウトは並の上級悪魔だってデコピンの衝撃波1つで消滅させるよ? リュウトには幽霊だとか関係ないし
「ほらほら、敵わない勝負をしようとしていないで真面目に飛んでください」
「お前~、だって娘をめとりたかったら俺に勝ってから言えって言うのは夢なんだよ~」
リュウトが絶対に困る奴だから辞めて欲しいよぉ。その、どのぐらい手加減すれば消滅させないで戦えるかってレベルで
「と、とにかくリュウト! には無理かも知れないけど、次の場所で戦っている人のところに追いついて協力しよう!」
私がそう言うと、お母さんとお父さんが頷き、そして周囲から了承の大きな返事が来た。リュウト、私はまだまだリュウトの役に立てるみたいだよ
これでママナ編は終了です。次は誰になるのか
アイ「ボクが呼ばれた時点でお察しじゃないのかな?」
・・・そう言わないで下さい。中々最終部のゲストは難しいのです
アイ「同じ人ばっかり呼ぶのも関係の無い人呼ぶのもって?」
そういうことです。まぁ、最後の話は次章予告がメインなので良いのですが・・・と言うことで
アイ「はいはい『さらなる先に向かって進むリュウトたち。次なる敵の群れと対峙することを選んだのは彼女たち。次章竜神伝説最終部4章「人間として」』数少ない人間の意地、ちゃんと見せてみせるからね!」




