最終部3章「悪魔の親子」6話 「悪魔の希望」
ゴシゴシと涙でにじむ目をこする。お父さん、もう2度と会えないと思っていたその人にまた会えたことは嬉しくて、ついニヤけてしまいそうにもなるけれど、今は敵をキッと睨み付ける時だよぉ
「もう逃げろなんて言わないよね、お母さん?」
「ええ、この戦いは私たちの戦いから悪魔族の戦いに変わったわ・・・逃げる場所はないのね」
そう言われて私は思う。今まではリュウトのために戦おうと思っていた。でも、この戦いは世界が滅びるかどうかの戦い。私たちが自分の幸せのために戦いでも、自分が欲しい世界を守り・作る戦いでもあるけど、もっと大きな面をいつの間にか持っていた戦い
「行きなさい、ママナ。きっと、これから先の悪魔族の未来を作っていくのはアシュラ様と・・・キミになるのだから」
そんな物はいらないって言いたいけど、お父さんの言うことは間違ってもいないんだよね。私はもう1人の小悪魔ではいられないのかも知れない。でも、きっと私の仲間たちが助けてくれる。アイとかカーミラとかが
『僕はこういうのもう卒業したはずなんだけど』
『我にこのような事をさせるとはのぅ』
なんて感じで表面上は文句を言いながら助けてくれるんじゃないかな
「うん、でもそれも・・・目の前のあいつを倒してからだよ!」
リュウトは必ず勝つ、それは私は心から信頼している。だから、そこは心配する必要は無い。だからこそ、私たちは絶対に目の前のあの敵を打ち破らないといけない
「皆お願い! 力を貸して!」
そんなことを言わなくても悪魔なんて言うのは血気盛んで好戦的な人が多いから、我先にと突っかかっていって消滅しちゃっている人たちさえもいるぐらいだけど
「うぉぉおおおおお!!」
私の声に呼応するように響く轟音。きっとリュウトが背負ってきた物はこう言う物なんだって、そのほんの少しだけかも知れないけど私が背負ってリュウトに送ったら・・・これもリュウトの役に立てるのかな? ってそう思ったら自然と笑顔になれて
「この状況下でその顔が出来るならば立派な悪魔だ」
どこの誰かは知らないけれど、閻魔様が・・・あの円さんが開けた門からやって来てくれたのだろう人たちが私にそう笑いかける
「悪魔らしいかどうか何て知らないよぉ。でも、この状況は・・・嬉しい!」
「ふははははは、何を楽しむかなど些細な事。血に酔う者もいる! 戦いの高揚に踊る者もいる!! 自身にかかる期待に震える者も未来の栄光に紅顔するものもいるだろう!! だが、戦いを前に笑えるのならばそれが悪魔だ! さぁ、汝のために我らが戦おう! 我らに命を下せ! 若き悪魔の希望よ!! 我らが命を使い果たして見せろ!!」
後ろを見れば、多くの悪魔たち。今、目の前の敵に飛びかかって動きを防いでくれている人たちを除いた他の悪魔たちが私の言葉を待っている。前を見ればお母さんとお父さんが頷いている
「みんな、いっくよぉ!!」
私のかけ声に世界を響かせるように古の悪魔たちの歓声が響き渡った。リュウト、ここは任せて・・・私たちは絶対に勝つから
その時に、リュウトの力が大きく上昇した・・・そんなことは知りもせずに私は戦っていく
ママナは意外と女王様が似合うのかも知れませんね
メイ「・・・確かに鞭は似合いそうですが」
違う! その女王様じゃない!! そりゃ着ている服はボンテージだけど!
メイ「女王様よりは上手くやるかも知れませんね」
・・・分っていてからかったな。まぁ、率いる相手がエルフと悪魔の差もありますけどね
メイ「悪魔たちは楽しいことがあれば簡単に命を放り投げる単細胞が多いですから」
言い方って言うものが・・・あながち間違っていない当たりがなぁ。鬼とかもそんな感じですけどね、この世界。と言った当たりで今回はおしまいです。次回でママナ編は終わりになる、のかなぁ




