最終部3章「悪魔の親子」3話 「親子の思い」
「私だってリュウトの役に立ってみせるんだからぁ!」
そう叫ぶ我が娘を私は微笑ましく見ますが、同時に気を引き締めます。ママナのように叫ぶほど私は若くはあれませんが、私の娘婿であるリュウトさんのためにも、何よりも私が主と定めたアシュラ様のためにも私も役に立たなければいけませんからね・・・それにどんな敵が現れようとも自分の娘は守り抜かなくては、あの悲劇に2度目は必要ありません
「この程度の布陣でアシュラ様たちを監視しようなどと不敬にもほどがありますね」
そう言いながら私はなすすべもなく切り裂かれていく使い魔、おそらくは上級に分類されるはずのそれを切り裂いていきます
そして、だからこそ警戒しています。この者たちはあくまでも使い魔、レオンが直接使役しているのかまでは分りませんが戦闘に特化している者では消して無く、上級と名がついていようとも私たちに勝てないことなど向こうも先刻承知なはずです
「私だって、私だって戦える!」
「ママナ、油断しては駄目よ。これだけで終わるはずがないのですから」
きっと、こうやって自分が有利な戦いなどほとんど経験したことが無いはずの娘が勢いづくならば良いですが、増長して油断することの内容に声をかけます
本来ならば娘ほどの力ならば強者どころの話では無い実力なのですが、比較対象であるリュウトさんたちがあまりにも規格外で自信が持てなかった当たりが恨めしいですね。いえ、そのリュウトさんたちがいなければママナも私もこのような強さが得られなかったことは十分分っているのですが
「う、うん。ありがとう、お母さん」
「お礼を言うのはまだ早いわ」
娘が自分に自信がないのならば、私は母として自信がないのでしょうね。だからこそ、ただ母と呼ばれただけでこれほどに嬉しくなる。再会してから、母と打ち明けられてからも随分と時が流れたというのにまだこれなことに自分でも苦笑してしまうところはありますが
「・・・ママナ、来るわ」
「うん、私も分るよ。これ、隠そうともしていない」
どれだけの数の使い魔たちを葬ったか分らない私たちの前に近寄ってきた者・・・気に入らないというのはこういうことを言うのでしょうね
「リュウトだけじゃ無かったって事?」
「ええ、確かに長所と言う面ではリュウトさんだけが最強ではありませんから」
スタミナならばアシュラ様、魔法ならばアキさん、それぞれにこれならば最強というものがあります。ならば、隠密を使う使い魔たちを束ねる最強は?
「レオンじゃ無くてトワメルの方の使い魔かぁ」
「そして、率いるのはママナと私のキメラですか」
自分と娘の気配がその異形から感じる。娘と再会を夢見ていましたが一体化したかったわけではありません。そして何よりも! 私の可愛い娘の気配が子のような毛むくじゃらな可愛さのかけらも無い異形の怪物から感じるなど我慢が出来るはずがありません
「リュウトの時も嫌だったけど」
「アシュラ様の時も業腹でしたが」
「「ママナ(お母さん)の気配も許せません(ないよぉ)!」」
どれほど離れていた時間が長くても、やはり私たちは親子なのだとそう強く認識できました。だからこそ、このような偽物に負けるわけには断じていかないのです
ママナやコーリンさんは実は結構強いんです回・・・ですかね?
コーリン「いえ、それは初めから分っていたことかと」
そこでそう言える当たりはコーリンさんも中々ですね。ママナだとそうはいきません
コーリン「あの子にはまだまだ自信がありませんからね」
そこら辺は今回の話の中でも出ていましたが、となるとこの話は
コーリン「当然私たち親子が実は似ていると言うことです!」
・・・そこもですが、全体としてこの章は親子の絆を注目して下さればと思います。この2人ぐらいですからね、親子で生きているのって・・・と言う当たりで今回はお開きです。次回もよろしくお願いいたしますね~




