最終部3章「悪魔の親子」2話 「戦場の経過」
「ここは絶対に通さないんだからぁ!」
そう今もまだ隠れている使い魔たちに私は叫ぶ。でも、そんな私に
「ママナ、やる気は良いけれど無理をしては駄目よ? リュウトさんとも約束をしたでしょう? それにもう彼らにアシュラ様たちに追いつく術は無いでしょう」
集団で動く場合は一番移動速度が遅い人の速度に合わされることになる・・・私やお母さんがその一番遅いなわけではなくて、一番遅いのはアイだけどアイはリュウトに背負われて移動しているからリュウトたちの移動速度は上がっていると思う
そして、ここにいる使い魔たちは私と同じように戦闘にはあまり向いていない。隠れて情報を得ることに特化しているタイプだから
「・・・私たちの目的ってもう達成されてた?」
「最低限はね。だから自分の身の安全が最優先よ・・・でも、追いかけれらると他の皆の戦いの邪魔になるかも知れないから通さないようにするのは良いことだわ」
あ、うん、リュウトは最後まで駆け抜けるから追いつけないだろうけど、他の皆はこうやって途中で残って戦っていくのだから、そんなところに乱入者なんていない方が良いよね、このぐらいの相手でも
「キサマラ、スキカッテニ」
そううごめく声が聞こえるけど、私もお母さんも特に何も思わない。敵に煽られて怒りをあらわにする時点で三流。だって
「ママナちゃんパンチ!」
声を出すためには実体化するしかない。だからそんなオマヌケには全力のパンチをお見舞いだよぉ・・・名前はアイと訓練していたときにアイが名付けたんだけど、やっぱり恥ずかしい。アイ自身はアイスーパーキックとか言うのを使っていたけど。お母さん、その聞かなかった振りは止めて欲しいよぉ
「実体化しなければ安全とも思って欲しくありませんが」
そう言ってお母さんは一見なにも存在しない場所に鎌を振る。そして数瞬遅れてその空間から大きく切り裂かれた使い魔が数匹現れる・・・うわっ~、お母さんのあの鎌って隠密状態でも攻撃できるけど、逆に隠密状態の敵を攻撃することも出来るんだね
「キキッ、カクレテイルノハムダダ。イッキニカカレ」
そう言って現れる無数の使い魔たち。間違いなく上級の使い魔だけど、判断は良くないみたいだね
「グランドバルカンだよぉ!!」
連射できるだけのロックショットって言う基本魔法だけど、使い魔たちぐらいならばそれなりのダメージにはなるよぉ。攻撃回数だけは多いし、実体化していれば攻撃は普通に通る。お母さんの鎌とかアシュラの爪とかリュウトの剣は例外だけど、基本的に隠密中は攻撃は出来ない・・・お互いに
「ギギギッ!」
どの使い魔も同じような見た目に同じような声。どれがリーダーなのか、そもそもそんな物が存在するのかも分らないけれど・・・ね
「私たちを攻撃してくるならば、このまま私が打ち落としていくよぉ」
「ずっと隠れているおつもりでしたら、私が切り刻んで差し上げますわ」
シュシュと拳を振るう私とヒュンヒュンと鎌を鳴らすお母さん、私たちの最後になるだろう戦場は現状私たちの圧倒的な有利で進んでいる・・・はずだよぉ
リュウト、私、ちゃんとリュウトの役に立ってみせるよ
と言うわけで今回は少し短めの話ですが
ママナ「私の大活躍だよぉ!」
ママナというかコーリンさんの鎌というか・・・あの鎌、地味に優秀な武器なんですよね
ママナ「特に名前とか無い武器なんだけどねぇ」
名前持ちの武器ってうちの小説だと存在の剣の眷属か本当の伝説級の武器ばっかりですからね
ママナ「・・・本当にあれって名無しなの?」
・・・コーリンさんが名前を知らないだけですね。一応『魂食いの鎌』と言う名称が・・・
ママナ「こ、怖い名前がついていた!?」
とママナが驚愕したところで今回はお開きです。次回もよろしくお願いいたしますね~




