最終部2章「立ち塞がるものは」7話 「混ぜて増やして」
カーミラさんの渾身の一撃、それは彼女が言うほど弱い一撃ではなく十分な成果をこの場においては遂げてくれた。師匠が言うには一撃で全てを放出できる最大攻撃力に長ける師匠や女王様のようなタイプもいれば、淡々と何時までも同じように戦い続けることが出来るアシュラさんのような方もいる
カーミラさんはどちらかと言えばアシュラさんに近いタイプなんだろうけど、この場においては継戦能力は非常に頼りになる
「このままいけば良いですね」
「うむ、じゃが・・・それでは温いな」
僕たちも目的は第一に師匠たちを先に進めること、第二にエルファリアを守ること、第三に僕らが生き残ること、この戦いは試合ではないのだから楽に勝てることに越したことはないしカーミラさんはそんなギリギリの戦いを好む人ではないことは分っている
「温いとは?」
「この戦いはレオンのゲームじゃ。我らがこうやって行動することぐらい奴とて読めておる」
そうか、『誰が』は読めなかったとしても、誰かがここを守るだろうと言うことは想定内であり、そうであるからこそレオンはここを襲ってきた。ならば、そのレオンにとって楽しいゲームに今の状態はなっているか?
「まだ何かを仕掛けてくる、そういうことですね」
「まず間違いなくの。あまりこいつら相手に使い果たす出ないぞ」
カーミラさんの言葉にこくんと頷き、同じ事を自分の部下たちにも伝える。何が起きるのかは分らないけど、僕も部下たちも戦いながらエネルギー量が回復していくなんて言う怪物ではない。アシュラさんとか師匠とかがそう言うタイプなんだけどね
そのまま順調に敵の数を減らしていく。この中に何か隠し球がいるのか、それとも何処かから援軍が来る予定なのか
「えっ? これって・・・」
「なるほどのぅ、そうくるか・・・これも実験と言うことなのじゃろうの」
この状況をなるほど程度で納得してしまうカーミラさんも怖いぐらいに凄い人だ。倒したはずの敵、全ての命を絶ったわけではないけどいくら回復速度に優れている敵であってもすぐに行動を開始できない程度に痛めつけて、順々にカーミラさんがとどめを刺して行っていた、そんな敵たちが融合を始めたのだから
「で、でも生きていない者もいるんですよ!?」
「アンデッドなど珍しくもなかろう? 我とて半アンデッドじゃぞ? それに体の部品としてならば部分部分が死んでいても関係ないのじゃろうの。いや、むしろ体が死んでいようとも平気で動く我が君を模倣する気か?」
師匠は竜族、その本質は概念で体は入れ物に過ぎない。だから、体がどんなに傷つこうと消滅しようと概念足るエネルギーが残っていれば死なないし再生も復活もするし、しない間も普通に動けたりする
そしてここにいる怪物たちは師匠たちの細胞とやらを使って生み出された怪物なんだと教えられた。こんな醜悪な怪物の元が師匠や他の皆さんだというのが腹が立つけど、それはおそらくカーミラさんの方がもっと業腹なのだろうと思う
「実験というのは・・・」
「奴、トワメルの目的は知らぬ。じゃが、その目的を達する方法として我が君と同じような存在、あるいはそれを超える存在を作ろうとしていることは分るのぅ」
師匠を超える存在? 本当にそんな物が作れると思って・・・いや、カーミラさんの顔を見れば分る。それは怒っているけど、それ以上に呆れの色が強い
「我が君の体を使っていようとも! 他のどんな強者の体を混ぜあわせようとも!! そこにどれだけの改良や増量を加えようとも!!! 我が君になるはずがない! まして我が君を越えることなど無い!! それを教えてやらねばならぬのじゃ!!」
ええ、僕もカーミラさんと同じ思いです。確かに師匠の竜に体は強いでしょう。他の混ぜあわされた体も強いのでしょう。でも、一番肝心なものがなければそれは何の力も発揮しないのだと・・・そう僕は師匠から教わっているのだから
と言うわけでただでさえキメラだった敵がさらに融合するようです
ヤマト「師匠の体をどれだけ増やしたところで師匠にはなりはしないのに」
そうですね、何が足りないのかは分っていただけるとは思いますが、そこは次回のお楽しみとしておきましょう
ヤマト「カーミラさんもすごく怒っていましたよ」
え、えっと、その怒りがトワメルだけに向かっているのならば別に良いのですが
???「それはまた随分と楽観的じゃとは思わぬかのぅ」
・・・どうやら久しぶりの拷問の時間が待っているようです。な、なんで何時もこんな目に・・・と、ともかく次回もまたよろしくお願い致しますね~




