最終部2章「立ち塞がるものは」6話 「勝利への一撃」
ヤマトが背後を守ってくれるのならば、私はただ前だけを攻撃し続ければ良い。私の眷属たちも周囲を攻撃して動ける敵を減らし続けているからここは1つ
「ヤマト、少しの間我に敵の攻撃が来ぬように頼む!」
「えっ!? わ、わかりました!」
今の数が減ってきた状態ならば出来るだろうと頼んだ頼みをヤマトは部下たちに指示することで私に対する攻撃を代わりに盾などを使って防いでくれる。その間に私は力を溜めながら見極める。この力を放つべき『穴』を
「レオンよ、これをゲームという主ならば見ておるのじゃろう? ならば見せてやろう、これが勝利というものじゃ!」
これは敵を全滅させるための手段ではない。数を減らすための手段でもない・・・私たちの勝利、絶対に達成しなければいけないことは!
「我が君!」
「ああ、分っている! みんな!」
私の意図が分らない我が君ではない。そして他の皆も・・・私は放つ、後先なんて考えない正真正銘の私の全力の一撃、放つ先は敵を全滅させれる場所でも敵の数が多い場所でもない。もっとも敵の層が薄い場所! 私の一撃が我が君たちが走る道を作れるその場所に!
「見るがよい、我が全力の・・・ブラッディー・ドラグーン!!」
血と闇と炎で作った巨大なドラゴン。それはアキのドラゴンソウルと同質のもの。ただし、これには詠唱はない・・・私の思いそのものが強い力を発揮すると信じているから
「行け! 喰らい・・・つくせぇ!!!」
私の全力と思いのこもった竜が突き進んだ道を我が君たちが走り行く。ただ、障害物としてあるだけならば飛んでいけば良いだけだけど、それでは集中攻撃を受ける。こうやって敵がいない、攻撃をしにくい瞬間を作ることが私の第一の目的。そして
「後は・・・守りきるだけじゃな」
「辛かったら後ろで休んでいて下さい」
「なんの、一撃だけで力尽きるほど強くはなくての」
そう、弱くないのではない。私には我が君のように自分の全エネルギーを一撃の下に放出しきるだけの素養がない。最大出力で放出しても7割はまだ残っておる・・・それだけのこと
「おぬしこそへばってはおらぬじゃろうな」
「当然です。師匠を送り出すのは最低限、ここを守り抜くのが私の・・・僕の勝利です。勝ちますよ、死んでも」
そういうヤマトの目はまっすぐに恐れなく敵へと注がれる。まだ勝ってはいないのは私も同じね。でも
「死んでは勝利とは我が君は認めてくれぬじゃろうのぅ。じゃが、安心せい。おぬしが死んだらアンデッドとして蘇生して我が眷属にしてやるのじゃ」
「そ、それは嫌ですね」
「じゃったら死んでも生き残るのじゃな」
言葉としては妙どころか矛盾しているけど、そのぐらいの意気込みで生き残れというのは伝わっているはず
「厳しいのですね」
「我が君ほど甘くはないのじゃ」
そう笑いながらヤマトに横から襲いかかってきた敵を殴り倒す。同時に私の後ろから襲ってきた敵をヤマトが斬り捨てる
「師匠はああみえて厳しいですよ」
「ほう? それは面白いことを聞いた。この戦いが終わったら我が君に寝物語として語って貰わねば」
その時のことを想像して少し顔が赤くなるのを感じるけど、その未来は絶対に来ると信じている。わ、私が我が君の寝所に行く勇気があるかどうかだけが問題だけど
「師匠も災難ですね。とばっちりをこっちに飛ばさないで下さいよ」
「知らぬのぅ。変なことを言われたくなければ自分で見張っておれ」
望む未来がある。そしてそれは必ずたぐり寄せられると信じている。だからこそ、私たちは何も臆せずに戦える! 敵の数はまだ多い、けれどそれがいなくなるのは最早時間の問題・・・そう思っていた
リュウトたちは次なる戦いの舞台へ! カーミラの勝利条件達成ですね
カーミラ「最後に不吉なものが見えねばな」
ま、まぁ、このまま簡単に終わってしまってはカーミラの見せ場としては面白くないでしょう?
カーミラ「我は圧倒的な力でむそうする様を描かれても良いのじゃが?」
そ、そういうのは別の機会に・・・
カーミラ「次などもう無いではないか!! くぅ、よいか! きちんと我をかっこ良く美しく完璧に勝たせるのじゃぞ! そうでなければ・・・」
あっ、この脅される感覚も久しぶり・・・ってそうじゃない。えっと、ひとまず今回はここまで! 次回も僕が無事だったらまたお会い致しましょう! ではまた~




