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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
10部11章~ラストまで
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最終部2章「立ち塞がるものは」5話 「背中を預けて」

 私が前線にたどり着く前も懸命に戦っていたヤマトたちのところに着いたとき、彼らは少々危機に陥っていた。けれど私は前に出て彼らを守るわけではない。広域に攻撃をばらまいて彼らが回復をするための時間稼ぎはしたが、彼らは私が守る存在ではなく共に戦う仲間なのだから


「さぁ、楽しきパーティの始まりじゃ」


 アシュラや美鬼のような戦闘狂ではないつもりだけど、こう言う場面での言葉は戦場を鼓舞するには適しているのだと悟る。そして私はマントを翻す。そう、私は1人でここに駆けつけたわけではない


「たっぷりと蹂躙するがよい。ここに攻め入ろうとしている者ども全てそなたらの餌じゃ。思う存分喰らい尽くすのじゃ!」


 私のマントの中にいる眷属たち。全てが戦闘で強い存在なわけではないけれど、それでも並の兵士よりかは強いわ・・・我が君から直接教わったヤマトは私の眷属と比較しても相当強い方ではあるとは思うけど


「す、すごい・・・」


「呆けておる場合ではないのじゃ、ヤマトよ。我らは後ろに1匹たりとも通さず、そして我が君を先へと導かねばならぬ」


 例え数しかおらぬ敵であっても、これだけ揃えばそれは力となる。けれど、私たちの後ろにいる大切なものたちの思いはそんな物を優に超えていくだけの力がきっとある。思いが力を凌駕したのなぞ私は何度も見ている


「ええ、力及ばずともこの思いであなたに負けるわけにはいきませんからね」


「ほう? よくぞ言った。じゃが、我の思いを甘く見て貰っても困るの」


 エルファリアへの思いならば負けても、そのエルファリアにはヤマトの妻もいるのだからそこは譲っても、我が君を含めて全ての思いで負けるつもりはない。けれど、それは今はどうでも良い。ただ


「では、我は先に行かせて貰うぞ! 汝はしばし休んでから来ると良い」


  他のエルフたちよりも力があるが故に負担がかかっていたヤマトははずは休息を取るべき。ここで無理をされる方が先の長い戦いにおいて損失が大きいのだから


「さぁ、我とダンスをしたいものはどいつじゃ? もっとも我のダンスは激しいがの」


 手近にいたものを先ずは燃やし尽くす。耐久力と回復力だけのまがい物とはいえ我が君を元にしているから多少はある怪物たち、燃えるのには少々時間がかかったもののそれは逆に他のモンスターたちを集める目印となる


「いいのじゃ、もっと我に集まってこい。その不快な気配全て根絶やしにしてくれるのじゃ!」


 主に我が君を材料とした怪物の数々。そこに私や他の仲間たちも合成されたり単独でだったりといる。私が我が君たちとは別で戦う理由の1つはこの多数の気配が紛らわしいからと言うのもあるわ


「ブラッディサイズ! そうたやすく死なれては我が君たちにサボったと思われてしまうのぅ!」


 私の血と炎で作り出した鎌。普段のように爪のように飛ばすのではなく留めて斬る・・・我が君のような武器を持っていない私には有効な技だと思う。少しばかり大変ではあるのだけど

 その大鎌はバンパイアと言うよりも死神をイメージさせるものであるでしょうけど、剣のようなまっすぐなものよりも私にはあっている


「1つ、2つ、3つ・・・こんなものか? 汝らの敵はここにおるぞ!」


 落とした首を確実に踏み潰し、切り裂くことで再生を防ぐ。本物の我が君のように頭を落として潰された程度では何も問題がないなどと言う耐久性でなくて助かった。そして、それほど理性や戦略があるとも思えない敵の群れは当然私だけでなく私の眷属や多くのエルフ兵たちに分散している


「ぬっ!?」


 そんな周りを気にしていたせいか一瞬だけ自分の横から飛んできた流れ弾への反応が遅れて


「カーミラさん!」


 私が弾く前に飛び込んできたヤマトが切り払う。タイミング的に私の防御もおそらくは間に合ったと思うけど、そんな無粋なことを言う気は無いわ。それに私の防御が遅かったというのは紛れもない事実


「すまぬの、助かったのじゃヤマト」


「いえ、こちらこそ注意をそらしてしまってすみません」


 私の反応が遅れたのが他の兵や眷属たちの状況を気にしていたからと言うのに気がついているのだろう。けれど、それは私の失敗でありその原因を押しつけるものではない


「何を言うのじゃ。普段よりも見る対象が多かった程度で自分の周囲を疎かにしたのは我の失態。そなたに謝られる理由などないのじゃ」


 それが誰でもあっても仲間と敵の位置と状況を把握しておくなどというのは当たり前のこと。そうでなければ攻撃も防御も出来るはずがない。けれど、そこで


「ええ、ですから目が増えれば便利ですよね? 腕の代わりにはなれませんが」


 そんな言い回しにクスリとする。確かにヤマトの攻撃力はまだ低い。通常の敵ならばともかくこの耐久力と回復力を考えたら攻撃の手にはなれないと言うのは事実かも知れない。でも


「うむ、ならば私の背後を任せようかの」


 こう言う戦いも最後ぐらい良いかも知れないわ

引き続きカーミラ&ヤマトの戦いです


ヤマト「ぼ、僕も少しは役に立てているようでよかったです」


こう言う乱戦では強さも大事ですが数も大事ですからね


ヤマト「ならば他の皆も役に立っているんですね」


カーミラだけにあの数が集中したらそれなりに危険ですし、防御にしても攻撃にしても消耗しますからね・・・アシュラのような無尽蔵ではないのです


ヤマト「アシュラさんだったら必要ないのですね」


あいつだったら1人で全部たたきのめしそうですね。まぁ、奴が特殊中の特殊なだけです。と言う当たりで今回はお開きです。では次回もまたよろしくお願いいたしますね~

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