最終部2章「立ち塞がるものは」2話 「仲間はまだいる」
明けましておめでとうございます
今週から連載を再開させていただきます。
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした
見渡す限りの敵の海。その1匹1匹から我が君や私たちの気配がしているというのは不快でしかない
「大したことはない敵だったけど、あれだけ数が多いとなると厄介ね」
「いえ、大したことが無かったのは私たちが知っている昔の話です。さすがにあの頃よりかは強化しているでしょう。仮にも研究者であるならば」
リデアの言葉に頷きかけて、メイの言葉に気を引き締める。確かにあの頃も大して苦戦した敵ではなかった。今の私たちならばなおのこと苦戦はしない。けれど、その敵がまったく変化していない・・・そう考えるのは早計だと
「それに数だけはいるって言うのも厄介だよ。戦いは数で決まるって言うのは個々の能力差はそれほど大きくはないのが前提ではあるけど、数を倒すのは消耗もするし後ろを守るのはもっと大変。少し強い少数よりもずっと厄介なんだ」
普段はアレでもかつては姫だったアイの考察も正しい。時折アイのような特級の例外も生まれるけど、人間というのは個々の能力差は他種族に比べて大きくなりにくいからそう言う教訓も生まれてくるのでしょう。そして、それは姫として時に軍を指示する事もある身としては必要な知識だった・・・様々な種族・境遇の者が集まる私たちだからこその知とも言えるかも知れませんね
「数に対抗するのは数か・・・」
そう我が君が呟くけど、だからと言って我が君が参戦するのは論外。そして、ここでこちらの人数を減らしておこうというのが向こうの狙い。そこに乗るのも悪手
「普通に防衛戦をして、休息後に攻める・・・と言うのじゃ駄目なの?」
「悪くはない手なのですが、レオンがそれを許すとは思えません。向こうの機嫌1つ、定めたルール1つで容易に全滅するのはこちら・・・私たちは彼が決めた盤上のルールに従い、彼が本気に、なりふりを構っているうちに勝たなければいけないのです」
ただ勝つという結果だけを求められたら確実にこちらが負ける。つまり、レオンにこのゲームは面白いくないと思われた瞬間にそもそも勝負が破綻する。それなのに負けは許されない・・・ふざけているにもほどがある状況ね
「一応教えてあげるわ。レオンが作れる分体の数は私以上よ」
そんな絶望的な情報を教えてくるのはルーン。ならばそれなりの数の分体を作れるルーンを個々の防衛に数として当てれば・・・というのはルーンがやりたがらないでしょう。何故なら彼女にとってここは守る必要性がない場所だから
どうすればここを守れるのか、どうするのがもっとも勝利へと近づける道なのか、メイですら判断が出来なかったその瞬間に起きた爆発に全員の視線が向かう。この中の誰かが何かをやったわけではない
「攻撃された・・・わけではないわね」
爆発は明らかに敵の中で起きている。誰かが、誰かが攻撃をした?
「・・・師匠、女王様、私たちは・・・僕たちは守られるだけの弱者ではありません!」
「・・・ヤマト!」
その声に、普通ならば聞こえない声に一番先に反応したのはやっぱり師匠であり風の力で音を拾える我が君で嬉しそうな我が君の顔も私の胸に来るものがあるが・・・そうね、私たちは忘れていた。戦うのは私たちばかりではないと言うことを
「これは驕りでしたね」
メイさえもそう苦笑する。確かに1人1人の力は強くは無い。それでも我が君が鍛えたヤマト=ルオール。そして彼が鍛えた剣士たち、そんな彼らを見てより強くなった魔法兵や弓兵、けして弱くはないエルファリアの防衛力。アシュラでさえも僅かに感心したという顔を覗かせる心強き我らが仲間だ
「我が君、メイ、そして他のものたちも」
私が発した声に外のヤマトたちに注目されていた視線がこちらに向く。だから
「皆は先に行くが良い。ここは・・・我が責任を持って守り切ってみせるのじゃ!」
リュウトたちばかりが戦う仲間ではない。今回はそんな話です
カーミラ「うむ、ここが我の見せ場という奴じゃのぅ・・・最後ではなかろう?」
さて、そこはまだ・・・と言うところですが、この部は前にも言いましたが少し他とは違う部です、なにせ最終部ですしね
カーミラ「つまり、全員で行動するのではなく」
そう、この部は1人また1人と戦場に仲間が残り、そして先に進んでいくのです!
カーミラ「ならばこの章は・・・」
ええ、カーミラとヤマトの章なのです! と言うことで彼らが率いるエルファリア防衛部隊とトワメルの実験体との戦いが繰り広げられる第2章、この先もお楽しみに~




