最終部2章「立ち塞がるものは」1話 「決戦の朝」
私事になりますが、家族に不幸がありましてドタバタしている状況です。
落ち着いて執筆の出来る環境に戻るまでしばらく連載の中断をさせて下さい。
度々の中断申し訳ありません
朝、鳥の鳴き声はまだ聞こえない時間であるが俺は目を覚ます。決戦の朝と言うことで少しでも万全にと普段よりも多くとった睡眠なのだが、あいにく健やかな目覚めとはいかなかったようだ
「で、お前たちは何をしているんだ?」
俺の部屋に入り込んで喧嘩なんてしていた面々、特に帰ったはずのルーンを半ば睨んでみるが
「あらん? 帰れとは言われたけど来るなとは言われていないわん」
・・・そりゃ戦いが始まる前までには来てもらわないと困るからな。まぁ、俺としては『俺が襲われるから帰れ』と言うのは警戒しすぎだろと思っていたからいる分には文句はないんだが、本当に寝込みを襲いに来るとは思わなかった・・・サキュバスって誰でもいいのか? そうかもしれないな、種族的に。食事のようなものだしな
「一度帰ってから夜に再訪問したのか。律儀と言うかなんというか・・・けどなぁ、これから決戦っていう時に無駄な体力を削るなよ。お互いに」
「「無駄じゃないわ!」」
そして両方から帰ってくる同じ答え。まぁ、消耗って言っても予告された時間までには充分に回復する程度だったのは自制が利いていたと褒めるべきなのか? アイにはたっぷり食わせなくちゃいけなくなったが、そっちは何もなくてもきっと食うだろうしな。決戦の朝でも気負いなくいつも通りは素晴らしいということにしておこう
「まったく、何をやっているさね? ・・・ルーンのこんな姿は初めて見るわ」
呆れたようにそう言ったリリィだったが、その後に続いたごく小さな声を聞く限り相当な年数を共に過ごしたはずのリリィですら見たことがない姿。最後の決戦を前に本当のルーンらしさが見えたそういう事なのかもしれない。なにせ、誰にも聞こえないように小さくつぶやいたその声は嬉しそうな声色を隠しきれていなかったからな
「さ、そろそろ時間だ。気合を入れて行こう!」
そんな俺の言葉に全員が頷き返す。通常だったらある程度作戦を考えておくべきなのだろうが、今回やるべきことは攻めてくるだろう敵からエルファリアを守りながら限りなく俺を消耗なしの状態でレーチェル神殿の地下にある入り口からレオン本体のもとにたどり着かせること・・・俺からすればそこからが本番なわけだが第一目標としてはそうなる。そしてレオンがどう妨害してくるか、どんな敵がどれほど攻めてくるかが不明なために指示はその都度メイが出していくことになるのだろう
「3,2,1、時間ね」
それがゲームの時間だからなのか時間きっちりにふわりとした浮遊感。それはたとえ俺たちが事前にレーチェル神殿にいたととしてもこの場所に転移させるためのものだろう。俺たちがここにいるにもかかわらず、その転移があったということは俺の居場所の完全把握はしていない? いずれにしても他のメンバーを配置していてもレオンの場所まで行けるのが俺だけならば意味はない。結局、まずはレオンの出方を見るしか・・・
「っ・・・!?」
「これはまた・・・さすがに予想外ですね」
メイを持って予想外と言わしめた光景。それは確かにエルファリアに向かって進軍してくる敵の大軍ではあったのだが
「なんだぁ、あれは? 見た目は異形の怪物って奴だけどよ」
「リュウトさんの、いえ他の皆さんの気配も感じる?」
それを見たことがない美鬼とククルちゃんがそう言う。ああ、そうだ。こいつらは俺たちは知っていて、2人は知らない存在だ
「トワメル、そう言えばいたね、そんなのが」
「人間ならばとっくに寿命で死んでいるはずなんだけど・・・異端って意外といるものね」
そこでチラリとリデアに見られたアイが少しムスッとしてはいたが、確かに普通ならばと思ってしまう相手だ。生きていたことも、俺以外に色んな奴らの細胞やらを取っていたことも・・・ここで敵として、レオン側として出てきたこともだ
「メイ、どう思う?」
「理由は色々考えられますが・・・必要ですか?」
「いや、そうだな、関係が無い・・・か」
トワメルがどんな理由でレオン側に付いたのか。レオンがどうしてトワメルを引き入れ、先鋒として送り出したのか。気にならないわけではないが、それが何であったとしても俺たちがやるべき事は何も変わらない
「みんな! エルファリアのために! そしてレオンへの道を切り開くために蹴散らすぞ!」
と全員の意思を合わせて・・・剣を持って走り出そうとしたところで笑顔のアキに肩を掴まれる
「リュウトは後方。いきなり消耗に走らないでね?」
うっ、そのな、理屈は分るんだが、やっぱり何もしないでついて行くだけって言うのはな? ああ、わかっているんだ。そんなことを言っても誰も聞いてくれないってことは
さぁ、ここからはシリアスな・・・あれ?
リデア「いきなりコメディやっているんじゃ無いわよ!!」
い、いや、コメディって言うか微々エロというかをやっていたのはルーンで
リデア「その責任は結局あんたに降りかかってくるのよ!」
そんな殺生な・・・一応僕の立ち位置は傍聴者なはずなんですが。と、それはともかくして意外な敵が再登場です!
リデア「それはたしかにそうね。てっきり忘れ去られて退場かと思っていたら」
そんなことは致しません。きっちりとここで表に出てきて貰いましょう! さぁ、最後の戦いの行く末、長くなるとは思いますが、最後までお付き合いください




