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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
10部11章~ラストまで
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13部6章「最後のデート」28話 「1人の女の子として」

 日も落ちて宵の口、お仕事も終えて部屋に戻ってきた私は笑顔になります。なぜならば


「お待たせしました、リュウト殿。いえ、リュウト君」


 我らエルフの恩人たる竜神様。そして我らが女王様の恋人としても民に周知されている彼を君付けで呼ぶなんて本来は許されないことでしょう。でも、この部屋の中は私のプライベート・・・彼は私の恋人でもあるのですから


「あ、ああ」


 少しばかり緊張しているのでしょうか? リュウト君は私の部屋に何度か来たことがあるのですが中々慣れてくれないあたりもリュウト君の好ましいところだと思ってしまうのは私も大分参っているということなのだけど


「そんなに緊張しないで欲しいわ。他の子のデートでは違ったって聞いているけど」


「いや、自室でデートをしようとしてきたのはメイだけだしな」


 そうね、確かに今まで聞いている話ではみんな外に出かけていたって聞いているわ。でも、私はあんまり外に出るわけにはいかないのよね。これでも結構忙しいのだから


「そういうのは私がこの役目を終えたとき・・・その時にとっておくわ」


 アキが女王を辞めようとしているのはリュウト君も知っている。それはまだまだ未来の話ではあるけれど、その時に一緒に私も今の仕事を辞めさせて貰うわ。そうしたならばもっと自由にリュウト君と遊ぶ時間も出来るでしょう


「そうだな、メイらしい。何時でも自信たっぷりに・・・」


 遙か未来の計画。勿論それはもう目前まで迫ってきている私たちの最後の戦いを生き残ることが出来たらの話。つまりそれは私がこの戦いを・・・少なくても自分とアキ、そしてリュウト君が生き残ることを当然と考えていることの証左


「・・・それが軍師よ。あなたのリーダーと同じね」


 私の実力は実のところそれほど優れてはいないわ。そして自分の役割が、役に立てることが知略・戦略であることも分っている。作戦を提示する者が自信がないそぶりを見せたら士気に直結する。士気が落ちたらただでさえ低い勝率は完全に0になってしまう・・・それはリーダーも同じだわ


「悪い、そうだったな」


 そう言う意味では私とリュウト君は仲間全員を騙している共犯者。その欺瞞がバレていようとも絶対に勝てると思わせて真実勝利に導かないといけない・・・だからこそ


「いいのよ、私はリュウト君の前だけは素直でいられるわ」


 妹であるアキの前だって見せるわけにはいかない素顔。自信がないところも、不安なところも、同じ境遇である彼の前だからこそさらすことが出来る・・・私の逃げ場所


「なるほど、じゃあこんなメイを見られるのも特権なわけだな」


 僅かに震えている私の体をギュッと抱きしめてくれるリュウト君。恋愛ごとにはこれ以上無いぐらいに鈍いのにこういうことはしっかりとやってくるからこの子はタチが悪くて『最高』なのよ。今の私は一体どんな顔色をしているのかしらね? 青いような気もするし、赤いような気もする。自分が今一番強く感じている感情さえも分らなくなりそうな不思議な感覚


「けどま、メイがらしくもなく酒の用意をしていない理由が分ったよ」


 リュウト君が少し緊張しているように見えたのはお酒の用意が無かったから? 緊張ではなくて疑問だったのかしら? 読みやすいリュウト君の感情を読み間違えるなんて私もまだまだね・・・でも仕方が無いでしょう? だって、リュウト君はお酒はあんまり強くないからデート中ぐらいはね


「それは最後にしましょう? 今はお酒じゃなくてあなたに酔わせて欲しいわ」


 お酒なんかでは酔えない女の唯一酔えるもの、何故かリュウト君が少し震えた気もするけれどもう少しだけあなたを堪能させて欲しい


「お望みのままに、メイド長」


「あら、こういう時は別に本当の役職でなくても良いものよ? お姫様は自分でも性に合わないって思うけれど」


 白馬の王子様の助けを待つお姫様は私には似合わない。それよりは私は王子様を勝利に運ぶ白馬がお似合いだわ・・・本当のお姫様なアイちゃんが助けを求める女の子ではないのは置いておいて


「そんなことないさ、メイだってお姫様でも良いんじゃないか?」


「・・・だったら、リュウト君がそう思っている証を見せて欲しいわ」


 普通の女の子なんてとても言えない私だけど、あなたの前だけはただの女の子でありたい。リュウト君から貰った優しい口への感触は愛の証であると共に勇気の証・・・

と言うわけで今回はメイの話でした


メイ「私も普通の女の子になれるのですよ」


この作品のキャラに本当の意味での普通は存在しませんので、そこら辺に無粋な突っ込みはしませんが


メイ「少しは学習したようで何よりです。ですが、女の子の部屋に入って緊張するとはリュウト殿も可愛らしいところがあるのですね」


・・・きっとリュウトの緊張はそれじゃ無いと思いますが、そこも言わないでおきましょう


メイ「何か言いましたか?」


いえ! なんでもないです! と言うことで次回はメイ編のリュウト視点、それが終わればいよいよ・・・


メイ「私の番を邪魔者のように言うなんて・・・やっぱりお仕置きですね」


あ、あと少しでお開きだったのに~。皆様、次回も生きていましたらまたお会い致しましょう・・・

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