5話 「地の恐怖」
「竜神流剣術・・・刹那!」
風と光の融合。その超高速をほんの一瞬だけ自らの体のリミッターをはずすことでさらに越える。細かいことができる速度じゃない・・・ただすり抜け様に斬りつけていく。何の魔物なら、いや上位クラスでもまず何の防御も出来ないこの一撃を
「ロックウォール。」
たった一言の冷静な言葉。たとえ防御を行おうとも、いかなる防御をも切り裂くはずの鋭さと速度を持った刀はいともたやすく土の壁に阻まれた。さすがは魔王。そして最固の属性というわけか。これでも広域拡散すれば町の4~5個ぐらいは完全消滅させられる程度の力はこもっているんだが・・・。
「防御ならわたしにおまかせ! イリュージョンアローだよ~!」
っ!? 駄目だ! レミーそれでは・・・
「え~!? なんで~~!!?」
レミー必殺のイリュージョンアローはいとも容易くよけられる。それもそうだろう、イリュージョンアローは防がれることには強いが避けられる対策は出来てはいない。相手が避けれる状態ならば・・・そしてレミーのあのセリフを聞いたならばよけれる危険性は大だ。
「ふむ、防御不能の必殺の一撃か。たしかに我に有効打を与えられたかも知れんな。・・・だが、今となってはもはや我には効かん!」
奴がこれからもっとも注意をするのはレミーだろう。そうなればそう簡単には当たってはくれない。さぁ・・・どうする?
「ファイヤーバード!」
僅かな隙に詠唱を無視して発動されたアキのファイヤバード・・・だが、それさえも土の壁に阻まれる。だが、それがまた新たな隙を生む!
「リュウト! 手を貸せ!」
「! そうか! それは面白そうだ!」
アシュラの声に反応して俺はリュムを爪状に変え、両手にはめる。そして
「「修羅・・・W烈風斬!」」
マモンがアキのファイヤバードに気をとられている隙に壁の内側に潜り込んだ俺たちが攻撃を仕掛ける。
「ぐぬぅ!?」
攻撃は確かに効いた。だが、これはそう何度も撃てるものではないな。・・・俺の体にかかる負担が大きすぎる。これを常時何発も打っているアシュラの恐ろしさが改めてわかるな。
「我にダメージを与えるとは・・・その罪、万死に値する!」
ちっ!? もう少しぐらい効いてくれると思ったんだが、倒れてさえくれないとはな! いくらなんでもリュムの力で強化された一撃をまともに受けてあの程度とは思えない。なんらかの防御をあの状態でしたということか? だが、僅かでもダメージがあったこと、その怒りで平常心を失っているかもしれない今こそが最大のチャンス!
「覚・・・えっ!?」
体が思ったように動かない? いや、体が重いのか!?
「な、なんだこれは!?」
「ふえ~!? 体が動かないよ~!」
「ちっ! これはまさか!」
俺だけではなく皆もか。奴は一体何をやった? 奴の力は闇と地。その中でこんなことが出来そうなのは・・・まさか!?
「これぞ地の力の醍醐味という奴だ。動けぬ敵をなぶり殺す。なかなか快感だぞ。」
やはり地の力・・・これは重力制御か! これほどの重力下では動けるのは俺とアシュラぐらい。それも本来の動きには程遠い!
「動けぬとも攻撃方法はある! ファイヤーボール!」
アキの放ったお得意の8連ファイヤーボール。だが、これでは・・・
「くっくっく、いくら強力な技であろうと撃ってくる場所と方向がわかっておれば効かんものだ。すでに貴様らに勝機はない!」
最弱といえどもさすがは魔王! 一筋縄ではいきません。
アキ「体が重くて動けないなんて・・・ダイエットしとけばよかったかな?」
珍しい素の口調モードアキですが、今回のことはやせていたからって大して関係は・・・っていうかあなたは十分やせている(2部のデータだと151cm、40キロ)と思います。
アキ「えっ? そうかな~・・・リュウトに太ってるなんて思われない?」
・・・その言葉は世の多くの人に喧嘩を売っていると言う程度には・・・
アキ「うん、だったら・・・ちっともよくないではないか!!」
お! やっと元(?)に戻った! 魔王マモンの超重力をどうやって打ち破るかは次回のお楽しみです。




