表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
10部11章~ラストまで
1235/1378

13部6章「最後のデート」20話 「死んだ君に」

 少しだけ風が強い高台。ここはボクにとって忘れることの出来ない場所。きっと、これから先もずっと


「アイはここを選ぶってそう思っていたよ」


 リュウトがそう苦笑する。普段のデートだったらエルファリアでも他の町でも良いんだ。でも、これが最後のデートになるかも知れない。次の戦いはどっちかがどころか全員が死んでも何もおかしくない。むしろ、そうなる確率の方がずっと高い戦い・・・ところでリュウトの周りに浮かんでいる綺麗な箱とティーポットはなんなのかな?


「この場所もずいぶんと・・・その寂れてしまったな」


 人のいない部屋や家は荒れ果てる。だったら人が住んでいない都市は? 国は? そう、あっという間に崩壊して原形を残さずに崩れ去る。あの日、ボクが姫でなくなったあの日から無情に流れた時間はこの国を廃墟としても残してはくれない。今では遺跡と言えるほどにも残っていない。それでも


「何も残っていないって言っても良いんだよ? ボクにとっては関係ないんだ」


 知らない人から見ればただの平地かも知れないけど、あの石は宿屋の残骸。あの木は何世代か生え替わっているかも知れないけど、宝飾屋の隣に植わっていた木・・・とっくに死んだ都市で国だけど、ボクの中ではまだ生きている


「リュウト、少し歩こう」


 ここがまだ生きていた頃ならばリュウトに案内したい場所はいっぱいあったんだ。あそこには美味しいパン屋さんがあって、向こうの通りには量が多いって事が売りの食堂があって・・・ボクにはちょっと足りなかったけどね


「ここは?」


 その頃の町をリュウトとデートしているつもりで何度となく足を止めたボクを楽しそうに見ていたリュウトだったけど足を止めている時間が他よりも長かったからか、それともボクの気持ちが表面に出ていたのか、そんなことを聞いてくる


「うん、ここは・・・ヒジリの家だよ」


 リュウトはヒジリのことを憶えているかな? 直接会ったことはなかったかも知れないけど、ボクが彼を解放したときの話も彼がボクを助けに来てくれた話もリュウトにはいっぱいいっぱいしたんだ


「そうか・・・ここが」


 ジッと目を閉じたリュウトは何を考えているのかな? そ、その自分の恋人の前の男?に文句でも言いたいのか・・・ううん、リュウトはそう言うタイプじゃないよね


「リュウト?」


「あ、いやな、届いているとは思わないが、少しばかり礼を言いたかった。アイを守ってくれてありがとうってな」


 その言葉はきっと前にあの世から助けに来てくれたときだけでなくて、ヒジリが生きていた頃のことも含んでいるんだと思う


「きっとヒジリは聞こえているよ、笑っている」


 今のヒジリはボクの初恋の人って言うのは変わらないけど、どっちにとっても大切な友達ってところで落ち着いていると思うんだ。ボクのかってな思い込みかも知れないけど、ヒジリは笑って・・・リュウトにボクを頼むって言っているような気がする。ははっ、結構リュウトとヒジリって似ているかも知れないね。流石、どっちもボクが好きになった人だよ


「そうか・・・」


 そう笑うリュウトはボクの言葉を信じてくれたのかな? ボクだってきっとそうとしか言えない言葉なのに


「ヒジリ! 俺たちはもうすぐ助かる目の限りなく低い戦いに赴く。また助けてくれ何て言う気は無いが、見守っていてくれ。そして安心してくれ・・・俺の命に代えてもアイは絶対に守り抜く」


 うん、これはだね、嬉しいけどちょっと怒らないと駄目だよね?


「リュウト」


「ん?」


 どうしたって顔でこっちを見たリュウトはボクにビンタされて目を白黒させている


「何分らないって顔をしているのさ! リュウトの命と引き換えに助けて貰っても嬉しくない! そんなことになったら少なくてもボクはリュウトの後を追うからね! むしろボクがリュウトを命がけで守るんだよ! リュウトがいなかったら絶対に勝てないんだから!」


 この戦いの主役は間違いなくリュウトで、延々と続いてきた竜神たちの戦いの最終章なんだ。ボクはそんな過去の竜神たちも、その戦いの意味も興味は無いけれど、その最後を飾ることになるリュウトを全力で守りたい。今ならば言えるよ、ボクはそのためにこの国で待っていたんだって


「アイ・・・」


「リュウトは前だけを見ていて。ボクたちが後ろを守る。この戦いは『負けられないし、逃げられない戦い』だよ」


 そう言う戦いはどうするのか、それはもうボクたちの合い言葉


「そうだな、だったら勝つしかないな」


「うん! 全員無事でね」


 ヒジリ、見ている? これがリュウトでボクたちだよ? リュウトが言ったように助けてくれ何て言わないけど、ボクたちが打ち勝つところを見ていて欲しいんだ

と言うことで今回はアイ編でした


ママナ「やっぱりアイのデートコースは食べ物関連だったよ」


滅びた故郷を歩いているようで、その故郷の食べ物関連の所回ってますからね


ママナ「実際に食べられなくても行く場所はそうだって言うのは徹底しているよぉ」


そうでなくちゃアイでないと思いますが。そして、もう一つアイは他のメンバーにない特別があります


ママナ「えっ? 故郷が滅びているのは他にもいるよね?」


そこではなくて、初恋はリュウトではない・・・と言うところです。思われていたならばアランから好かれていたマリアや幼なじみがいるカーミラ、そしてご先祖様故に相手がいるのが当然のレーチェルはいますが


ママナ「ムムム・・・って一途な私たちの方がいい?」


そ、そこら辺は読まれる方にお任せするとして・・・アイが襲撃してくる前に終わらせておきましょう。では、次回はリュウト視点です! お楽しみに~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ