13部6章「最後のデート」15話 「俺だけのカーミラ」
カーミラと教会、以外であるというのは間違いなく本音だ。カーミラ自身に言ったように教会や十字架なんかを恐れるとはみじんも思っていなかったが、同時に興味も無いと思っていたんだがな
「しまったのぅ」
そんな声が聞こえてカーミラを見る。言ったカーミラ本人は自分の呟きにすら気がついていないのか、俺の方をじっと見ているだけだったが
「どうした?」
「うぬ? どうしたとはどういうことじゃ、我が君?」
本当に無意識に言った言葉らしく今日のカーミラはずいぶん何時もと違うなと思いながらも俺は説明するとカーミラは途端に真っ赤になる
「わ、我が君が悪いのじゃ。我にあんなことを言うものじゃから、せっかく我が君とこの教会を楽しもうと思ったのに・・・我が君の顔しか見れぬではないか」
真っ赤な顔で普段よりも幾分早く話す彼女に当てられるように俺も自分の顔が赤くなるのを実感する。思えばこうもシンプルに自分の好意を示されることはそう多くはない。特にカーミラには
「か、カーミラがここに来た理由って・・・」
「美しいものを愛しいものとみれれば至高じゃろう!?」
もうほとんどやけくそという感じで叫ぶカーミラに今はもう夜だからとたしなめて・・・カーミラにとっては夜の方が賑やかなのが普通なのかも知れないが
「そのな、カーミラの気持ちは嬉しいよ」
「うう、我の気持ちなどほとんどわかっておらぬじゃろう」
カーミラの気持ちか。考えてみればカーミラとは最初は魔界で敵対して、次に会ったときは何故か味方で・・・こうやってしっかりとお互いの気持ちを語り合うことはほとんど無かったように思える
「そうだな。俺はまだまだカーミラを知らない。だからさ、教えて欲しい」
きっと遅いなんてことは無い。俺たちに寿命なんて無いなんて言う意味ではない。もうじきに迫っているらしい最後の戦いでどちらか、あるいは両方がいなくなる危険性がどんなに高くても今から知るのが遅いなんて誰にも言わせない
「つぅ~~~~!? ・・・・・・・!!」
「ん? 何か言ったか?」
カーミラがさらに顔を赤くして小さく何かを言ったように見えたがなんと言ったのかはわからない。仲間内にも勘違いされていそうだが、俺は聞こうと思えば風を使って遠くの声も聞けるというだけで普通にしている分には聴力は人並みだ・・・まぁ、何時どこで聞かれていてもおかしくはないというのは間違いではないのかも知れないが、俺も普段からそんなことをして周りの声を拾っているわけではない
「責任・・・取って欲しい」
いつもの『じゃ』でも『のぅ』でもなく、顔を真っ赤にしながら俺の服の袖をちょこんとつまんだこの子は誰だ? いや、勿論それがカーミラであるってことはわかっているんだが、あまりにも普段と異なる反応に一瞬認識障害を起こす。だからこそ返事が遅れて
「取って・・・くれないの?」
いや、本当に誰だ? 普段のカーミラは可愛いと言うよりはカッコいい枠だ。それが嫌なわけではなく、そう言うカーミラも仲間として、そしてそこから派生したものとは言え恋人として愛おしいと思っていることに間違いは無い。だが、目の前のこのカーミラはどう表現すればいいのだろうか?
「え、えっとな、そうやって普段は見せてくれないカーミラを見せてくれると嬉しい。俺にもっとカーミラを教えて欲しい」
「普段見せない・・・?」
コテンと首をかしげる仕草まで可愛らしく
「・・・!!? わ、忘れて欲しいのじゃ。い、今のはその我ではなくて・・・」
なんて言い出す。ちなみに口調は元に戻ったが、淡々とする仕草はあまり戻っていないように思える
「いいじゃないか。そんなカーミラも俺は好きだぞ? 普段のカーミラだって勿論好きだが、こういう姿・・・俺だけが知っているカーミラというのもな」
「~~~~~!!?」
完全に真っ赤になって口をパクパクと動かすことしか出来ないカーミラを見て、本当に俺はカーミラの表面部分しか見ていなかったんだなって思う。なぁ、表面だけで十分に愛おしかったんだ。誰にも見せていなかった少し奥のカーミラはきっともっと愛おしいと思うんだ
「我が君は意地悪じゃ・・・我が君だけならば・・・」
そう言うカーミラをもっと知りたい。そんな生き残る理由があっても良いのではないかとそう思う
と言うことでとうとう仮面が剥がれたカーミラでした
アキ「うう、なんというかあざとい?」
それをあなたが言いますか? 同じことをやっていたと思うですが
アキ「べ、別に意図的にやっていた・・・のかな?」
おそらく意図も全く同類だと思います。まぁ、それを外すきっかけを掴み損なったのはカーミラなのですが
アキ「お姉ちゃんとかも普段と私たちだけの時は違うけど」
・・・メイは口調だけだからなぁ。中身は全く変わらないからなぁ・・・クピィ!?
???「人のことを悪く言う悪人は鞭の餌食になると昔から相場が決まっています。さて、作者は嬉しさに悶絶して言葉がないようなので私から、今回はここまでですので次回もまた見に来て抱けると・・・私も嬉しくて鞭をお見舞いして差し上げるかも知れません。では」




