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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
10部11章~ラストまで
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13部6章「最後のデート」14話 「汚れなど無く」

「キーキー」


 と鳴くコウモリを指に乗せ、私は微笑む。誰にも言えない秘密ではあるけれど、私は可愛いらしい生物は大好き。だからこそ眷属たちも強さよりもかわいらしさが優先


「済まぬの、そなたは我の眷属には出来ぬ」


 とは言っても流石にただのコウモリを眷属にするわけには行かない。偵察ぐらいならば出来るかも知れないけど、そういうことにもっと特化している眷属だってそれなりにいる。そして私も


「遅かったのぅ、我が君」


 ざっと聞こえた小さな音に優しい風が運んでくれる温かい香り。欲目と言ってしまえばその通りでも、私にとっては何もかもが愛おしい。ここまで惚れぬく相手が出来るなんて昔の私に言っても絶対に信じなかったと思う


「待たせてしまったか?」


 そう申し訳なさそうに言うそんな姿さえも。別に我が君が約束の時間に遅れたわけではない。今は約束をした時間の2時間前・・・


「いや、我も今来たばかりじゃの」


 この言葉を言いたいがためにこれでもかと早く来たのだと。それなのに来て10分と経たずに我が君が来て内心ギリギリだったと焦っていること何て知られたくないとも


「我がここを待ち合わせ場所にしたのが気になるかの」


 中に入るなり少し周りを見渡した我が君。我が君とてエルファリアには長く住んでいるのだからこの中に入ったことぐらいあるでしょう。それなのにそんな行動をするのは


「そうだな、今更カーミラが教会や十字架を恐れるとは思っていないが、わざわざそこを待ち合わせに擦るとはな」


 そういうことでしょうね。もっともこんな深夜に侵入するバンパイアがいたら普通の場所は教会でなくても大騒ぎなのでしょうけど、そこは私も英雄の1人として周知されているエルファリア。流石に多くの人が見ることが出来ないマリアに関してはアキが苦手としていることもあるのか知っている人は少ないけど、基本夜行性の私が夜にここにいても騒ぎになることはないわ


「うむ、我もらしくはないと思っておるのじゃ。じゃが、こういう美的感覚は我が君と変わらぬと思っておるのじゃがのぅ」


 綺麗なものは綺麗。そう思う気持ちに人もエルフもバンパイアも変わらない・・・はず。勿論、本当にそうかなんて確かめる手段はないけれども、少なくても竜である我が君とさほど変わらぬのであれば問題はないわ


「そうだな、それでこの後どうするのかって候補はあるのか?」


「我が君も性急じゃのぅ。そういうのも嫌いではないが、待ち合わせの場所が目的地でも良いのではないかの」


 そう笑う私に我が君はきょとんとしている。教会で会いたかった、そんな私の考えはどうやら行動派だけどデートや女の子の心理には疎い我が君にはピンとこないものだったみたい


「ここってデートをするところなのか?」


「普通はせぬだろうの。じゃが、神たる我が君と不浄の民であるバンパイアである我ならば良いのではないのかの? 聖域を侵すのも神である我が君がおれば許されるかも知れぬ」


 それにエルフの教会が奉っているのは歴代の竜神。つまり我が君も奉られているようなもの。迷いの森の外にある元マリアの孤児院な神殿とは人間が作った我が君だけを奉っているもの故に少々違うけど、ここも我が君の教会と言っても悪くはないわ


「それは気に入らないぞ」


 そういう我が君にドキリとする。最初に頭に浮かんでしまったのは自分が奉られている教会が私という不浄に汚されるのが嫌なのかと


「あっ・・・」


 唇に感じる温かい感触。血ではないけど、もっとと欲しくなる


「カーミラは俺の恋人だろ? かってに不浄扱いして欲しくないな。我が儘だろうと関係ないさ。ここが俺の教会だって言うのならばここでは俺のルールを押し通させて貰うさ。先代たちにも文句は言わせない」


 ポロリとこぼれる涙。光と闇、どんなに言いつくろってもそれは違うもの。我がそう思われるのは仕方がないと諦める以前のものだったこびりついた『当たり前』。そんなものを簡単に壊してくれる我が君だから私はきっとここにいるのだと


「そ、そんなに泣かれることだったか!?」


 と焦る我が君はきっとさっきの私と同じ種類の勘違い。流れる涙はキスのせいでも言葉のせいでもある。でも、それはけして悲しみの涙ではないのに


「泣くほどのことに決まっているじゃろう!」


 返すキスは私の精一杯の答え。これがこの聖域を汚すものでないというのならば、ここに奉られている神自らに精一杯の祝福を


「我が君はこれ以上我を惚れさせてどうする気かのぅ」


 体はまだあなたは受け取ってくれないけど、心はもうとっくに渡しきっている。これ以上、私はあなたに何を渡せば良いのかしら? 少なくても、きっとこの先にあるだろう幸せな未来のために死ぬわけには行かない・・・そう、決まっていたはずの心がさらに強くなった

と言うわけでユキからバトンを受けたのはカーミラでした。ユキ元々の知り合いで師匠でもありますから当然かもですね


カーミラ「こ、こうしてみると恥ずかしいのぅ」


カーミラは内面は中々恥ずかしがり屋ですしね。皆様も存分に乙女なカーミラを楽しんでいただければ!


カーミラ「やめい! 我は誇り高きバンパイアの王族にて・・・」


ずっとその仮面が剥がれないのがある意味流石ですよね。アキなんてとっくの昔に剥がれているのに


カーミラ「わ、我はそんなに軽率ではないのじゃ・・・今更どの顔で素の自分を見せろと」


と色々複雑なカーミラ編でした! 次回は当然リュウト視点ですのでお楽しみに~

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