13部6章「最後のデート」3話 「最初は誰」
「少しだけお手伝い致しましょう」
最後にそうメイドとして言って出て行ったメイに一抹の不安を感じながら広間に戻ってみれば、見事に揃っているな。普段はここにいないママナやレーチェルまでいるのにレミーはいないってことはまぁそういうことなんだろう
「つまり、ボクたち全員とデートしてくれるってことだよね」
俺の説明を端的に一言で要約してくれたアイ。まぁ、どんな風に言っても結論はそういうことで間違いない。そして、その理由がレオンとの戦いでこの中の誰がかけてもおかしくはないという理由であることに、後ろ向きな理由だと文句を言う者はいない。つまりは全員わかっているってことだ・・・それが悲観的な予想ではなくて十分にあり得る・・・もっと言えばこれでも楽観的な予想であると言うことを
「それでなくてもリュウト君とのデートを断る理由がないと言うことも付け加えていて欲しいわ」
何て言うのはレーチェルで、それに全員が頷く。まったく俺の内心なんて全員に読まれているってことか? レーチェルなんかは本来は恋人枠ではなくて俺のご先祖様枠だったはず何が・・・なんて思えば当然のようにレーチェルには睨まれて、他の皆は頷くんだよなぁ
「そ、それでね、最初にデートするのは誰なのかな?」
恐る恐ると、けれど何処かしら期待を込めてそう聞くのは本来唯一の恋人枠に収まるはずだったアキなんだが・・・そんなに最初って言うワードに価値がある物なのだろうか?
「そうだな・・・ママナ、俺とデートに行ってくれないか?」
「ひゃい!? わ、私!? な、なんで!?」
うん、それはこの中で唯一獲物を見る肉食獣のような目をしていなかったからだな。いずれ全員回ることはわかっているが、最初の1回ぐらいは無難に行きたいんだ。ユキも今出ている人格が表だったら別だったのだろうけど
「リュウト殿、安全策に走りましたね」
だからその目を止めてほしいんだけどなぁと思いながらも、自分たちが安全策にならない自覚はあるんだな
「ママナがママナだから・・・かな? それで駄目か?」
「だ、駄目なんて言うわけないよぉ。い、今更別の人にって言っても絶対に譲らないからね!」
勿論たぶん唯一わかっていないママナ本人にその理由を言うわけには行かないから適当にごまかしたんだが、本当にこれで良かったんだろうかという後悔は多少ある・・・後、変更を申し入れるのは俺ではなくて周りの連中だが絶対に引かないと宣言したのは良策だったかも知れないな
「リュウト殿、良心が痛みませんか?」
「少しな・・・あまり言わないでくれると助かる」
純粋に1番だ~って喜んでいるママナに選んだ理由が1番無難だったからというのは確かに酷いという自覚はあるんだ。だから本人には誰にも言わないで欲しいんだけど・・・とりあえずリデアだけ注意しておけば後はそこら辺の配慮はあるだろう。これを言うと自分が無難ではなかったと認めるのと同義だし
「えへへ~、リュウトとデート。私が1番! どこに行こうかな? お買い物? 演劇? 森の中はいつもだけど、それはそれで捨てがたいし」
「はぁ、あんたねぇ。なんか浮かれているけど兄さんがあんたを1番に選んだ理由は・・・」
「ちょ~っとリデアは向こうで私とお話ししようか?」
うん、やっぱりこういうことをやらかすのはリデアだと思っていたが、予想どおりだったか。まぁ、俺が止めに入る前にアキが連行していったから問題ないだろう
「ちょ、なんでワタシを連れて行くのよ!? あの勘違いっ子に本当のことを・・・」
「ええぃ! それを言うと我らが余計に惨めになると言うておるんじゃ。余計なことを言うでない」
・・・まぁ、カーミラも着いていったみたいだけど大丈夫だろう。カーミラはあれで結構調整美味いし優しいからな。リデアだって竜族なんだしメイはここに残っているから
「リデア、どうしたのかな?」
「さてな、今はあいつのことじゃなくてデートのことを考えておこう」
はぁ、だからこそこんな俺らしくもない言葉を言うことになったんだが、赤くなっているママナは良いとして、ここに残っているメンバーが期待しているような目をしているってことは言わないといけなくなるのなぁ
と言うわけで最初の1人目はママナでした
ママナ「えへへ~、私が1番だよ~」
その代わりこの後はずっとしばらくは出てこなくなるってことなんですが
ママナ「えっ!? で、でもたまには少しぐらいは・・・」
それをやると他の子たちも出さないといけなくなるので・・・まぁないとは言いませんが
ママナ「うう、でもきっと私の出番もあるはず! そして次回からは私のデート編!」
ということですね。ではリデアあたりに乗り込まれないうちにお開きにしておきましょう。次回もまたよろしくお願いいたしますね~




