13部6章「最後のデート」2話 「最後のために」
こんな姿をメイが俺に見せてくれるのは初めてではないが珍しいことではある。だからだろうな、こんなことが嬉しいなんて思ってしまうのは
「リュウト君?」
「いや、俺はメイの泣き場所として合格かなって思ってな」
たったこれだけの言葉に目を潤ませてくれるんだ、少なくても不合格ではないと胸を張っても良いだろう?
「元々は私がアキに言った言葉よ」
「あいつも泣き場所作りは下手だからな」
二人して笑う、俺たちの大切な泣き虫なのに泣けない女王様を思って。しっかし、俺の周りには泣き場所作りが下手なの多すぎないか? レミーとかはアシュラのところで泣けば良いんだろうが、カーミラとか美鬼あたりはどこで泣けるんだろうな?
「っ!? だから、メイにつねられると俺も痛いんだが」
「彼女と一緒の時に別の女のことを考える子には当然のバツよ? それが例え公認の別の彼女でもね・・・これだけたくさんの魅力的な子と付き合っている義務と思っておきなさい」
あはは、それは俺が望んでなったわけではないと思うのだが、むしろメイがこの状況を作り出した元凶ナ気がするんだが、それを言い出すと余計とんでもないことになるってことはわかっているから口はつぐむ。もっとも、そんなことを考えていることもきっとメイには筒抜けなんだろうけどな
「まぁ良いわ。あなたの1番がアキから動いていないのならば・・・2番が私ならば」
おおう、1番を妹であるアキに譲るのは姉として良い?のかも知れないし、俺としてもそのポジションをアキ以外に譲るつもりもないんだが・・・後半の笑顔が凄い怖いぞ。正直2番なんて誰にもつけていなかったんだが、当たり前のように自分がその位置にいると宣言するメイがな。いや、どっちかというとそこに自分を入れなかったらどうなるかわかっているわね? っていう威圧に感じる
「なぁメイ?」
「何かしら、リュウト君?」
うん、これに関してこれ以上言及するのをやめよう。誰にとっても良くないことが起きる予感しかしない。特に俺の身に
「・・・色々と言いたいことはあるけれど、リュウト君」
「ああ」
「皆と最後の思い出を作ってあげて欲しいわ」
最後、その言葉が重くのしかかる。今までだって生き残れる保証なんてどこにもない戦いばかり。いや、全滅する確率の方が生存率を遙かに上回る戦いばかりだった。だが、その中でも次の戦いがとびきりだ。全滅しないことがすでに砂漠の中から1粒の砂金を見つけることよりも難しい。俺が知っている者の誰と最後になってもおかしくない。無論、俺にとって最後・・・俺が死ぬ確率だって100%近いんだからな
「そうだな、後で提案してみるよ」
「ええ、きっと皆喜ぶわ」
そうであってくれたら嬉しい。そしてメイは言わないが、これは俺の強化のためでもあるんだろうな。そんなことを意識していたら強化にならんが、俺の場合は絆が深まるほどにその力が還元されて強くなる性質がある・・・メイなりの勝率をほんのわずかでも上げるための施策なんだろう
「あと、わかっているとは思うけど・・・私ともよ?」
「・・・あ、ああ、わかっているよ」
メイの珍しいジト目から逃れるように俺は視線を外す。絶対にばれているとは思うが、メイとのデートは全く想定外だった。そう言えば、俺ってメイとどこか外に出かけたことなかったような
「え、えっと、どこの酒場にお連れすれば・・・」
「リュウト君? 私を怒らせたいかしら?」
だ、駄目だったらしい。メイならば酒があるところに連れて行くのが一番かと思ったんだが。み、美鬼だったらそれでいいんだよ
「デートコースはリュウト君にお任せするわ」
「は、はは、それはずいぶん大役を・・・」
なんていうか最終決戦の前に命日が見えている気がするぞ? そ、そこまで奇をてらったことはしなくても良いとは思うんだが、こっそりアキに相談とかしちゃ・・・駄目だよな、きっと
「それと最初の一人はリュウト君から誘わないと大変なことになるわよ? 一番狙っている子はいっぱいいるんだから」
・・・なんでそんなところで争うんだろうなぁ。とは思うが、何人か牙をむきそうなのも知っているから否定できない。とりあえずメイは一番を狙っていないらしいのが救い・・・なのだろうか?
と言うわけでこうして最後のデート編が始まるのです
リデア「ねぇ、この感じだとメイ編はまた別にある?」
・・・そういうことですね
リデア「なんでメイばっかり!」
まぁ、メイが言うように今まで彼女とデートってレオンのご褒美タイム?以外は無いですからね。描写という意味ではやっていない子は他にもいますが
リデア「こ、今回は全員と何処かにお出かけデート?」
はい。と言うわけで次回から誰が出てくるのかお楽しみに~。と言うあたりで今回はお開きになります。次回もよろしくお願いいたします




