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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
10部11章~ラストまで
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13部5章「最後の日常」17話 「それは誰のために」

 私は一瞬言葉を失いました。地獄で騒動が起きることを知っていたかと言われたら当然知っていました。そうでなければ私が地獄でリュウトさんを待つわけがありません。いえ、正確に言えば知っていたと言うよりも聞いたですし、教えてくれたレーチェル様も予想しただけで未来予知が出来るわけではありませんが


「はい、確かに私は地獄で異変が起きることを知っていました。ですからリュウトさんがあそこによる可能性が高いことは容易にわかるではないですか?」


「それだ」


「えっ?」


 確かにリュウトさんが美鬼さんたちの村に夜かどうかはわかりませんでしたが、人が多く集まっている場所に情報を求めて立ち寄る可能性が高いって言うのはそんなに難しい話ではないはずです


「その感じだとわかっていねぇみたいだな。確かにリュウトのやつはあの時点で原因がわかっていなかった。だったら俺たちの村へ立ち寄る可能性は高ぇだろうさ」


「そうですよ」


「・・・それな、リュウトが事態を解決するために地獄へ行くって言う前提があっての話だぜ?」


 えっ? その言葉に今度こそ私は言葉に詰まります


「俺も勿論そうだったけどよ、ククルだって戦うリュウトを見たのはあの時が初めてだろう? 閉じ込められている100年近くの間にリュウトから色々話は聞いていたんだろうがよ、リュウトが本当に何をしていたのククルは断言できるのか」


 出来ます。出来るはずです・・・でも言えません。だって、それはリュウトさんの言葉だからです。もしもこれがリュウトさんでなかったら? きっと私は断定なんて出来なかったでしょう。だって、その言葉が本当なんて言う証拠は全くなかった。レーチェル様に確認をすることさえもしなかった


「美鬼さんは何が言いたいのですか?」


「ククルはな、リュウトを通して世界を見てきたんだよ。趣味がない? そんな時間を過ごせなかったから? 違うだろ、お前は全部リュウトに振っているんだろ? 昔の俺が戦いに全てを振っていたようにな」


 全部リュウトさんのためか、確かにそうなのでしょうね


「そうですね。リュウトさんに怒られちゃいますね。いえ、あの人はきっと怒るんじゃなくて自分のせいだって自分を責めるんですよね」


「別に良いんじゃねぇか? リュウトのせいって言うのもまんざら間違いじゃねぇしな。だがよ、ククルは趣味がねぇんじゃなくてリュウトが趣味なんじゃねぇか? 俺は戦いが趣味だって断言できるぜ? まぁ、最近はリュウトも趣味みてぇなもんかも知れねぇが」


 ふふ、そうですね。リュウトさんが趣味か。それはとても素敵な趣味ですね。もっとも私たちは全員がリュウトさんを趣味としていると思いますが


「そうですね、美鬼さんも最近はお料理なんて頑張っていますものね」


「なっ!? な、なんでそんなことを知っているんだよ!」


「ふふ、何ででしょうね?」


 ただでさえ真っ赤な顔をしている美鬼さんがさらに顔を真っ赤にして慌てます。美鬼さんって確かに言葉遣いも行動も粗暴ですがこうやってすごく可愛らしいところもあるんですよね


「りゅ、リュウトだってたまには他のやつが作った料理食いてぇんじゃねぇかって・・・ああ、もう! 笑うならば笑えよ! 似合わねぇし、無理だって!」


「何でですか? きっとそれは私がリュウトさんのために頑張って戦おうって言うのと同じですよ?」


 美鬼さんはもう今にも湯気が出そうなほど赤くなっていますが、私は本当はすごいって思っているんですよ。お料理はリュウトさんが本当に得意ですから出来る人たちでもめったに作ったりしません。それって要するにリュウトさんに甘えているってことなんだって・・・リュウトさんのお料理を食べたいって言うのもありますが


「あ、アキ!?」


「ん? 何かなリュウト? あっ、もうじき私の特製ご飯できるから楽しみにしていてね」


 ・・・遠くから聞こえた悲鳴じみた声と楽しげな声に私たちは顔を見合わせます


「俺、まともな料理を作れるようになってからにするからな」


「そうですね。作られるのが迷惑な料理って言うのもあるんですよね」


 メイさんとかママナさんとかそれなりに作れる人はあんまり作ろうとしないのになんで作ったらいけない人が積極的に作ろうとするんでしょうね。普段はメイさんかリュウトさんが気がついて止めるんですが、今回は奇跡的な確率で二人の警戒網をすり抜けてしまったようですね


「大丈夫よ、ちゃんとリデアたちみんなの分もあるから」


「・・・逃げましょうか?」


「だな」


 ごめんなさい、リュウトさん。私にも立ち向かいたくない戦いもあるんです

再開後3回目、メインヒロインも出てきましたね


リデア「わ、ワタシたちの心配もしなさいよ」


 ・・・結局食べたんですか?


リデア「食べたわよ! それもみ~んな薄情にも逃げたからワタシと兄さんだけで食べたのよ!」


 動物は命の危機には敏感に逃げますからね。アイさえも危機を感じて逃げ出すアキの料理がすごいのかリデアがあまりにも鈍感なのか


リデア「な、なんで久々の登場でそこまで言われなくちゃいけないのよ!! 被害者はワタシよ!」


 うん、ちょっとだけ前の仕返しが出来た気分です。と言うところで今回はお開きです。次回もよろしくお願いいたします

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