13部5章「最後の日常」12話 「いらない奇跡」
「大体お姉ちゃんはおーぼーすぎるのよ!」
「アキちゃん、お姉ちゃんは横暴じゃないわよ?」
「マリアさんじゃな~く~て私のお姉ちゃん~!」
え、えっと私の前で繰り広げられているこの光景は何なんだろう? マリアはいつもどうりだけど、アキはそんなタイプじゃないでしょう? これがお酒の魔力ってやつなのぉ!? だとしたらお酒おそるべしだよぉ
「ママナ、騙されたらダメだよ。あれはお酒に酔っているんじゃなくて酔ったふりして不満をぶちまけているだけだから。ついでに自分は酔うことができるんだ~って形でメイとは違うアピールかな?」
「・・・アイ、冷静な解説は人を傷つけるんだよ」
あっ、本当だ。あっさり普段のアキに戻ったよ。でも、ちょっと機嫌が悪そうにしているアキを前にしてキャハハと笑っていられるアイが実は酔っているでしょう?
「アキもやっぱりお酒強いんだ。やっぱりメイの妹だね」
パキンと軽い音がしてアキの手の中のコップが砕け散る。うん、オリハルコン製とはいえコップを握りつぶ力があることには今更驚かないよぉ? ただ、今の私の言葉がアキにそう言う行動をさせたってことが少し怖い・・・かな
「あ、アキ? 冷静に、冷静ね?」
「そうよぉ。お酒は美味しく飲む物よ」
普通にお酒を飲んでいる幽霊もマリアぐらいなものだけど、私たちの周りに変わりものが多いことはそれこそ今更だよね。なにせリーダーがとびきり変わっているんだから取り巻きだって変人になるでしょう? リーダー? そんなのリュウトに決まっているよぉ
「と・に・か・く! 私はお姉ちゃんとは違うの!」
「や、やっぱり普段と違う気がするよぉ。本当は酔っているの?」
「んー、だからそれは違うわよ。アキちゃんが酔っているのはお酒じゃなくて空気よ。友達との自由な飲み会っていう空気ね」
「ですから冷静に解説されると辛いんですよ」
アキってマリアの子と少し苦手としているものね。同じお姉ちゃんの肩書とリュウトの姉っていう立場のせいかな? ん~、だとすると
「ねー、アキ?」
「えっ? なに、ママナ」
「私もリュウトのお姉ちゃん」
「? だから何?」
・・・あれ~? これでマリアに気を使う必要なんてなかったになるか私にも少し気を遣うかになるかしないのぉ~~!?
「ママナ、あれはねお姉ちゃんとかそう言うのじゃなくてマリア自身の雰囲気のせい。本質部分でメイと似ているからね、あれほどじゃないけど」
「・・・じゃあ私は?」
「ママナの雰囲気は表のユキとかと同じかな? ほら、小動物的な」
「ブ~! どういうことなの~~~!!」
私もユキのことは嫌いではもちろんないけど、ユキって思いっきり妹体質じゃない! 私はお姉ちゃんなの!
「フッ、お姉ちゃん勝負は私の勝ちね」
「ムムム! マリアさん! ここはお姉ちゃんとして引けない勝負なの! 勝負を挑むよぉ」
「いいわ、つまり」
マリアが不敵にほほ笑む。私はそれにちょっと恐怖を覚えながらも引くことはできないよぉ。リュウト、私に力を貸して!
「そうだよぉ! お姉ちゃんバトルだよ!」
「いいわ、受けてあげるわ! お姉ちゃんのお姉ちゃんによるお姉ちゃんと認められるための戦いを!」
大丈夫、私だってずっとリュウトのお姉ちゃんをしていたんだもの。私がNO1お姉ちゃんになる!
「えっと、どういうこと?」
「アイちゃんにはわからない境地よ」
「アイ、ごめんね。これはお姉ちゃんならば誰でも知っている。でもお姉ちゃん以外にはわからない話なの」
でも! それでも! 私のお姉ちゃん魂のすべてをかけて!
「アキ、なんだかわかる?」
「私に言わないでよ、私は妹」
ブ~! なによ~、アキがはっちゃけたんだから私だってこういうことやっていもでしょう? でもマリアもよく乗ってきてくれたよぉ。このよくわからない流れに
「で、ママナちゃん? バトルはいつやるのかしら」
「えっ? あ、あのマリアさん?」
「審査員はリュウト君かしらね、やっぱり? 細かいことも私に任せてもらっていいかしら?」
「え、えっと・・・」
つい勢いに押されて首を振っちゃったけど・・・まさかマリア、本気で言っている? 何か妙なものを奇跡的な確率で引いちゃったっぽい!? なんかアキとアイの目が哀れんだものになってきているよぉ
「こういう奇跡もあるんだね」
「ボクは今、ちっとも羨ましくない奇跡を目撃したよ」
わ、私だってこんな奇跡なんていらないよぉぉぉぉ~~~!!? わ、私、どうなっちゃうの!?
ちょっと悪乗りしてみたらとんでもないトラップにはまったというママナでした・・・相変わらず運がない。数字的には一番運がないのはアイのはずなんですが
ママナ「私からしてみたら笑えないんだよぉ。なんでこうなるわけ~~!?」
それが宿命だから・・・ですかね?
ママナ「納得いかな~~い! もとはと言えばアキが悪いのに」
まぁ、アキも少し悪ふざけしただけで直接ママナに何かしたわけではないですし・・・アキもアキで結構運悪いんだよなぁ。真面目な人は不幸なのか
ママナ「・・・リュウトは?」
運の値がぶっ飛んでいる割に不幸だと思うのですが、あの主人公
ママナ「確かにそうかも。うう、リュウトと同じでもこれは嫌~~~!」
とまぁ、こんな不幸がありつつも次回はどこに向かうのか、それは誰にもわかりません。と言ったところで今回はお開きです。ではでは~




