13部5章「最後の日常」10話 「小悪魔の戦慄」
「ママナちゃん、助かったわ」
「ううん、お祖母ちゃんも元気でね」
今日は珍しく? そうじゃないよね、最近はそれなりの頻度でやってくるエルファリア。私は種族的には悪魔なのは間違いないから最初は遠巻きにされていたけど、今ではこうやって仲がいい人もできてきたんだ。きっと、リュウトやアキの仲間だっていうのが大きいんだろうけど、こんなところでもリュウト達に感謝しないとね
「マ~マ~ナ~? 今日はどうしたのかな?」
後ろからぴょんと飛びついて私の目を塞いだ子。少しばかり口調を変えて気配を殺してみても声が変わっていなければ意味はないよ?
「もう! 驚かせないでよね、アイ!」
「驚いたぐらいじゃ死なないでしょママナは」
「リュウトと一緒にしないでよ!? っていうか死ななければいいわけじゃないよ!? 私、普通の悪魔!」
私、これでも一般人じゃなくて一般悪魔のつもりなんだよ。心臓が止まっても全く問題がないリュウトとかと一緒にしないでもらいたいよぉ
「ボクたち人間の感覚だとね、悪魔は普通の生物じゃないんだけど」
「・・・人間?」
「ボク! 人間!!」
・・・そう言えばそうだったかも? でも私以上に普通の生物からかけ離れているよね、アイって
「人間ってなんだったっけ?」
「そ、そんなにボクが人間ってことがショックなわけ!?」
「だってアイだよぉ?」
「ボクの名前を人外の代名詞みたいにしないでね?」
代名詞ではないかな? 人外の代名詞は・・・誰だろう? あまりにも普通の生物とかけ離れたのが多すぎてわからないよぉ
「一番離れているのは・・・メイかな? いろんな意味で」
「あ~、それはなんとなくわかるよ。力とかそう言うんじゃないんだってよくわかるよね」
うん、メイは心臓止まったら死ぬだろうし、腕とか生えてこないし、頭をなくしても動けるとかないけど、怖いの代名詞では間違いなくあるし、一番普通から遠い場所にいる気がするんだよぉ
「で、アイは何の用だったの?」
「用がなくちゃ親友に話しかけちゃいけないわけじゃないないんだよ!」
ドヤッって顔でない胸を張ってそうアイは言うけど、話しかけてはいけない理由はなくても脅かしていい理由にはならないと思うな
「でも、そんなところもアイらしいか」
「そうそう、ボクらしく楽しくいこうよ」
意外と頭は回るアイだから、きっと私が何を考えているのかは分かったうえでこうやって笑っている。アイじゃなかったら私は戦友はいても親友なんて作れなかったかもしれないし、こうやってエルファリアに遊びに来ることもなかったかもしれない・・・リュウト? リュウトは弟で恋人。親友じゃないよぉ
「つまりアイはいつもの買い食いの途中で私を見つけて・・・えっ? 食べ物を持っていない!? どうしたの、アイ!? どこかおかしいの! お、お腹痛い!!?」
「どういう意味かな~、それ? ボクがいつでも何か食べているとでも思っている?」
「違うの!?」
私はてっきり戦闘中以外は何かを食べているのかと思っていたよぉ。でも、それだったらオルトはなんでいないんだろう
「・・・オルトはどこ?」
「ボク、いつでもオルトと一緒にいるわけでもないんだよ?」
「そうなの!?」
な、なんかアイの笑顔が引きつっているよぉ。だ、だって意外なことだらけだよ? 確かに私に会いに来るときはオルトはいないことが多かったけど
「オルトはね、ママナと会う時には遠慮してついてこないんだよ」
「・・・っていうことは今日は私に会うために?」
「そう!」
私、別に今日エルファリアに来るなんて伝えていなかったのに
「ねぇ・・・」
「そこはそういうの全部読んでくる怖い人がいるから」
うん、それだけで全部わかっちゃったよぉ。ねぇ、すごく怖いこと言っていいかな?
「ひょっとして私を待っていたのってアイじゃなくて」
「後で知るか今知るかだけど・・・どうする?」
「あ、後ででお願い・・・します」
がっくりと地面に手をついてそれだけ絞り出した私にアイもも気の毒そうな顔をする。私、メイさんに睨まれるようなことやっていないよ? そもそも特訓の気晴らしに気まぐれに出てきただけなのに・・・なんでこうなるのぉ~~~!!
この作品の恐怖の根源は彼女なのではないでしょうか?
ママナ「レオンよりもよっぽど怖いよぉ」
・・・レオンはこの世界において生物として絶対的な恐怖のはずなんですけどね。それを超えてくるかメイ
ママナ「訳が分からない恐怖より、理由がわかるけど訳が分からない恐怖の方が強いよ」
なんとなくわかるけど、訳の分からないことを言っているという。まぁ、レオンの恐怖は全生物がレオンを恐怖するように作られているという理由のない恐怖ですからね
ママナ「メイのはいろんな理由があるけど。そのどれもがなんでできるのか説明できないんだよぉ!!?」
ある意味作中で一番謎なキャラかもしれない。っていうかこのあとがきメイのことしか言っていないな・・・とりあえず乗り込まれる前に終わっておきましょう。最近、某所の某2次創作のコメ返しの中にまで乗り込まれたし・・・では皆さま、まだまだこの章は続きますので次回もよろしくお願いいたします!




