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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
10部11章~ラストまで
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13部5章「最後の日常」1話 「姉妹の思い」

「本日のお仕事はここまでです、女王様」


 お姉ちゃんのそんな言葉が響けば少し緊張もほぐれる。この仕事、女王の仕事を初めてずいぶん経つけど、この緊張感だけはなくならない


「女王様、どうなさりましたか?」


「いや、何でもない」


 仕事中のお姉ちゃんは怖くない。そういう意味では怖いお姉ちゃんが復活したのはリュウトに会ってからなんだけど、私は怖くても温かいお姉ちゃんのほうが好きだってわかったからリュウトには感謝しかないよ


「じゃあ、次は鍛錬ね」


 にっこりと笑って鞭を私の首に巻き付けて引きづるお姉ちゃん。最近だんだん遠慮がなくなってきた気がする。私ね、冷たいお姉ちゃんよりも温かいお姉ちゃんが好きだけど、もう少し優しくしてほしいなとも思うよ?


「・・・っていうことなんだけど、リュウトはどう思う?」


「いや、それを俺に言われても困るんだが」


 思いきってリュウトに相談してみたんだけど、返ってきた答えは芳しくない。そりゃ生まれてからずっと一緒にいた私でもわからないお姉ちゃんの対処をリュウトに求めるのも間違いなのかもしれないけど、もう少し考えてくれてもいいじゃない! なんてプク~って膨れていると


「アキは近すぎて見えていないところがあるのかもしれないな」


「えっ? それって」


「その先は自分で気が付いたほうが良いさ。俺の時もそうだっただろ?」


 うん、そうだね。リュウトもいろいろ鈍くてやきもきさせられたけど、誰かに教えられて気が付くよりもリュウトが自分で気が付いたから今があるんだってそう思える


「後はメイと話し合ってみることかな」


 そう言いながら、手を振りながら部屋から出ていくリュウトを私は黙って見送ったの




「・・・ということなんだが、感想は?」


「と言いますと、どういうことでしょうか? リュウト殿」


 部屋を出て少しの場所に当たり前のようにいたメイに俺は話しかける。まったく妹が心配ならばもっと優しくしてやればいいと思うのだがな


「メイならばアキが考えていることぐらいわかっていると思うが」


「わかっていてもどうにもできないことと言うのはあるものです」


 そこが俺にはわからない。まぁ、リデアのツンデレみたいに本人にもどうにもできないらしい性格っていうのはあったりするものだが、メイはそこらへん器用そうではある。いや、ある意味不器用だからこそのこの態度なのかもしれないが、使い分けは得意だろう?


「リュウト殿が思っているほど、私は器用でも賢くもないのです」


 器用はともかくメイが賢くなかったら世の中のほぼ全員が馬鹿になってしまう気もするんだがな。その馬鹿筆頭な俺が言うのもなんだと思うが・・・ああ、馬鹿の殿堂入りな天使は勘定から抜いてあるぞ


「アキとの、妹との距離がわからないんです」


 メイにしては珍しく顔を下げて小さくつぶやく声はそれが謙遜でも演技でもない本音であることを伝えてくる。これでこれが演技だっていうならば本当に俺はメイには一生勝てないだろう


「適切な距離は取れている・・・とは言えないか」


 メイはちゃんとアキの考えていることは理解できている。そしてアキもメイの考えていることを察しているだろう。俺がアキよりもわかっているのは岡目八目ってやつだろうな


「はい、アキが小さいころから私は距離を測りかねていました。その後の女王とメイドの関係はさらに姉妹としての距離をわからなくしただけでした。普通の姉妹、そう言われるものがどんなものなのか、知識はあってもそれがわからないのです」


 ・・・なぁ、まさかとは思うがメイの言う『普通の姉妹』は今の関係じゃないだろうな? とりあえず普通の姉は妹に鞭をふるったりしないぞ? 間違っても姉さんは普通の姉じゃないからな?


「だが、メイはアキを誰よりも大切に思っている・・・そうだろ?」


「ええ、その気持ちならばリュウト殿にも負ける気はありません。ですが、それを表現できないのです。だから私は怖い姉でいいのだと・・・アキにとって悪者でいいのだとそう思っていたんですが」


「アキはそう思ってくれなかったか」


 言葉にせずにただうなずくだけで済ませたメイは本当に困惑しているんだな。まぁ、あれだ。メイは基本的にものすごく頭が良いが、妹に関してだけは馬鹿になるんだな。悪者になるには優しすぎだというか、根底にある妹好きの思いとアキのためになる結果が見えすぎだというか


「アキはメイを嫌ってなんかいない。それは分かっているんだろ?」


「・・・はい」


 まぁ、怖がってはいるけどな


「・・・これ以上は俺が何か言うことでもないかもな。けどな、アキとはもう一度しっかり話し合ってみたほうが良い」


 この先にゆっくりと話すことができる機会があるなんて保証はもうないのだから

メインヒロインのアキ、その姉のメイ、結構重要なポジションなのにこの二人の話は今まであまりありませんでした


アキ「わ、私としては結構知られたくない事もあるんだけど」


 というわけで今回はこの姉妹のことを丸裸に・・・


アキ「ねぇ、私の話ちゃんと聞いているよね? そ、それに丸裸って言い方ってものがあるでしょう!?」


 ・・・あ、あの、その前に話をするより先に燃やすのはやめてほしいと・・・ガクッ


アキ「話を聞かない作者のせいよ。こほん、本日はここまでだから、みんなは次回もまた見に来てほしいな。じゃあね」

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