13部4章「鬼族の誇り」2話 「捜索隊は待機中」
「美鬼がいなくなったのが確認されて1日か」
美鬼のことだから無茶・・・は大いにしている危険性はあるが、あの頑丈さを考えればアイの時よりはやや安心できるところは確かにある。また、ふらっと何処かに出て行きそうな性格でもある
「リュウトくんが一日他の人がいなくなった程度で心配する資格がない気もするわね」
姉さんの言葉に俺は言葉に詰まる。俺は良く一週間ほどいなくなっていたような記憶があるな
「ちなみに最大は一か月半よ」
他の皆の視線も冷たく俺に注がれるが、そんな場合じゃない
「い、今は俺のことじゃなくて美鬼のことだ。このタイミングだと強くなろうと無茶をしているかもしれない」
「かもではなく確定だとは思いますが、どこにいるのか何をしているのかまでは・・・地獄にいることは間違いないでしょうが」
言葉だけで言えばメイの言葉は辛らつだが、美鬼は元々地獄出身の鬼だから故郷のどこかで何かやっているのだろうという言葉は説得力はある。だが、メイの力はあくまでも予想。情報がないとなれば精度は当然落ちる・・・だったら、情報が手にはいる奴のところに行くまでだ
「という訳で美鬼はどこにいる? レーチェル?」
「・・・私のところに来ればなんでもわかると思っていないかしら?」
思っているも何も過去にあった出来事に関してはここ以上に正確な情報が得られる場所はないだろうが
「レーチェルに分からなかったら、誰にもわからないだろう?」
「・・・調べることはするけどね」
とレーチェルが少しの間集中していたが
「いる場所はメイちゃんが予想したように地獄で間違いないわ。どうやらふらふらと戻ってみたところ閻魔王に呼ばれたみたいね」
円ちゃんか? 彼女が関わっているのならば悪いことではないと思うが、彼女の元にいくならばそれなりに時間がかかるな
「今回は全員集合させておいて何かあったら動くぐらいで良いかもしれないわね」
要するに何かある確率が高いってことだろう? レーチェルほど過酷な試練はしないとは信じているが、場合によっては俺たちが来ることを前提にしているかもしれんしな。レーチェルはその詳細を知っているようだが俺たちに教えはしないだろうな
「メイ、アシュラは来ると思うか?」
「来なかったら槍が降ってくると思うぐらいには」
まぁ、そうだろうなぁ。レーチェルがこんな言い方をしたときいて動かないアシュラじゃないな。何もなかったらなかったで俺たちと特訓でもすればいいとでも言いそうだしな
「お母さんも同意見みたいだよ」
と俺たちに伝えたのはママナ。つまり既にコーリンさんが聞き付けていてアシュラに伝えにいっているということか
「となると私たちがすることはここでレーチェルさんの報告を待つってことだね」
「いいえ、私たちがすることは公務をしながら空き時間にここで鍛練をしながら待つことです」
そんなメイの返答にアキは青ざめたけど、他のメンバーは笑っている。ま、大笑いしているリデアはきっと『二人』から制裁があることは間違いないだろなぁ
「美鬼もこうなるって思わなかったかな?」
ってアイが首を捻るがそれを君が言うのかって言うのが当時を知らないククルちゃん・・・とレミー以外だな
「無茶ばっかりする奴だからなぁ」
「専売特許にしている我が君が言ってものぅ」
・・・なんでさっきのアイの言葉よりも今の俺の言葉の方が突っ込まれるんだ? 専売特許にした覚えはないんだが
「だけど、兄さん・・・」
「ああ、わかっている。仲間を見捨てるのは絶対に駄目だ。だが、同じように仲間のしたいことを妨害するのもな。美鬼は強く成ろうとしている・・・だったら俺たちは最大限それを応援するだけだ」
こっちは全員が頷く。美鬼が何のために強くなろうと思っているかなんて聞かずともわかること。俺にそれを取っめる権利などあるはずもないし、必要とあればどんな協力でもする。それもまたきっと全員の共通の思いだ
「美鬼、頑張れよ。俺たちはここにいる」
届きはしない声。けれどそれでも送ろう。お前は決して一人なんかではないのだから
美鬼が悩んでいる間にリュウトたちはこんなことをやっていました
リデア「あの、ひっそりとワタシの死亡フラグが立っているような」
・・・そこは知りません。きっと死ぬまでは行かないと思います
リデア「死ななくても直前まで行きそうじゃないの!?」
ですから知りません。きっと書かれもしません! あの二人ならば絶妙な力加減をしてくれるでしょう
リデア「いや~~~~!?」
と、未来を悲観している人もいますが、今回はここまででです。次回もまたよろしくお願いいたします。




