13部3章「魔神の願い」3話 「竜神らしく?」
「さぁ、気張って行くぜ!」
相手の力は未知数。こちらの方が人数は多いとは言え、相手も二人。だが、そんなことは関係ないとばかりに、むしろそうであるからこそ面白いとばかりに美鬼が先駆ける
「我が防壁、甘く見ないでもらおう」
「へっ、やるじゃねぇか!」
それをあっさりと防いで見せるオメガも凄まじいが。二人で俺たち全員を相手取るのを俺たちの試練と言う、ライオスの仲間のうちの最強とその配下。そりゃ、一筋縄でいくわけがないよな
「だが、空いたぜ?」
そう笑う美鬼の言葉を裏付けるようにアシュラがオルクランに突っ込んでいる。そして俺もだ
「囮をもちい余を狙う。初手の狙いとしては悪くない」
そして、それを楽しげに両手を使って防いで見せたオルクラン。ま、そりゃそのぐらいのことはしてくるよな
「小手調べと言えど」
「ただ防がせはせん!」
防がれた突進をそのまま回転の力に変えて腕に負担をかける。カウンターもしっかりもらうことになったがお互いに大したダメージとは言えないだろう
「レーチェル、お前は来ないのか?」
そう試すように聞くオルクランにレーチェルはにっこりと笑って
「効かないとわかっている攻撃をするほど暇じゃないわ。リュウトくん、教えておくわ・・・オルクランはレオン分体よりも強いわよ」
なるほど、つまり様子見なんてしている余裕はないわけだ。ならばやることは同じ!
「行くぞリュム! フルパワーだ! そして回れ! ドラゴニック・キー! そして開け! 竜の扉よ!!」
相手が二人であっても、余裕がないのならば俺たちにはこれしか手はない
「確かに速くなった。だが我を来れるにはまだ遅い!」
その速度にもオメガは反応してオルクランを守ろうとするが、そこに
「リデア! 併せて! 『星の子の祈りを受けて、大いなる光よ、万の敵を打ち倒す戦輪となれ!』 スターループ!」
「しょうがないわね、やってあげるわ! 『それは竜が意思で万物を貫く戦輪なり』ドラゴンループ!」
二人の放った無数のループがオメガの行動を阻害する。ダメージにはあまりなっていないが、効いていないというわけでもなく一気に行きたいところだな
「竜神流、風竜斬!」
先ず倒すべきはオメガの方だ。どっちも強敵には違いないが、先に倒せるほうを倒しておかねば勝てるものも勝てなくなる
「・・・ライオス様はこんなものではなかったぞ」
オメガは結界を手に集中して俺の風竜斬を払ってくる。瞬間的にバチバチと音を立て、結界斬りの力で結界自体は斬られたがその時にはすでに風竜斬の力は失われている
「リューくん! わたしだって! ファントムアロー!」
神魔弓アルステート、無数の矢を生み出し、そしてその矢を自由にコントロールできるその力はファントムアローにも適用されるらしい。縦横無尽に走る防御を無効化する幻影の矢はオメガとて無傷ではいられない
「今回は俺も攻めに回らせてもらおう!」
それをコクトが迫撃する。幻影の矢は例え当たったところでコクトにはダメージを与えない。そして大きく弾き飛ばされたコクトの兜が壊れる
「なるほど、コザルトスとレリューナの子か。面影がある」
その言葉にコクトが止まる。レミーが止まっていないのはわかっていないのだろう・・・お前、自分の両親の名前さえもおぼられなかったのか
「何故、その名を?」
「簡単なこと、コザルトスは我の部下だ」
・・・なるほど、どうやらここら辺が色々と絡み合っているわけか。だが、そうであっても
「悪いが、だからと言って加減してやる義理はない!」
「無論だ、さぁ、お前の親を超えて見せろ!」
にやりと笑うコクトと楽し気にするオメガ。なんだかんだ言ってこいつらも戦うことは好きなのかもしれないな
「ほう? なかなかやる。二人だけで余を押さえるとは」
その間にアシュラや美鬼がオルクランを押さえてくれているが、だいぶダメージが蓄積しているという感じだ。対してオルクランはそこまでのダメージになっていない。俺からするとあの二人を相手にして余裕のあるオルクランが恐ろしいのだがな
「アシュラ、美鬼! いったん下がれ! レーチェル頼む!」
少しばかり不満そうにしたが二人は大人しく下がってレーチェルの回復を受ける
「我も共に!」
そしてカーミラが俺の横に移動してくる。確かに俺一人でこいつを抑えるのは難しいな
「ククッ、やはりお前はライオスに似ている。だが、ライオスはここまで弱くはなかったぞ?」
「だろうな? だから何だというんだ・・・俺はリュウト=アルブレス。ライオス=アルバードではない!」
ライオスのように強くあれる方が良いのかもしれない。だが、俺は俺としての戦いがある。竜神らしくでもライオスらしくでもなく俺らしく勝利をもぎ取らせてもらうぞ!
レーチェル、オルクラン、オメガ、コザルトス、レリューナ、この辺の関係は結構入り組んでいます
メイ「オルクランの配下がオメガ、オメガの部下がコザルトスとレリューナで二人はレミー殿とコクト殿の両親」
そして、レーチェルを鍛えた先輩でもあるわけですね
メイ「そのレーチェル殿がレミー殿を親代わりを務め、レミー殿コクト殿の両方を鍛えている」
まさに因果は回るですね。リュウトの力は心の力、故に絆を結べば結ぶほどに強くなる
メイ「そんな打算で動いているわけでもありませんけどね。特にリュウト殿は」
だからこそ強い。そう言うこともあるのでしょう。メイとは対極をなす強さとも言えます。おっと、不機嫌になったメイの鞭を食らう前に終わりと致しましょう。では、次回もよろしくお願いします




