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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
2部7章『妹と兄』
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5話 「勝敗を分けるもの」

 再び距離を置き、にらみ合う俺とヘル。・・・先ずは小手調べといこうか!


「竜神流・・・竜昇撃!」


 さて、2度目のこの技。どう対処する?


「ふん、俺もなめられたものだ。」


 !? 耐えたわけでも避けたわけでもない。・・・そうかあいつの属性は。


 竜昇撃を撃って無防備になった俺にヘルの剣が迫る。・・・そして間一髪で横に逃げた俺に対し


「ロックショット」


 岩石の弾丸。地の基本技の一つだ。風のシールドではじいたものの・・・厄介だな。地と風は反属性。相性は風の方が悪い。

(作者注:反属性は基本的にはお互いに対消滅の関係にあります。風と地で風の相性が悪いのは、地は元々どんな属性にも攻撃は通りにくく、地の防御特化の特性の為に風の力が通らないということに起因してます。なお、火と氷、火と水、光と闇も反属性)


「竜神流・・・竜爪閃!」


 とっさに撃った竜爪閃も強固な土の壁に阻まれてしまう。・・・もっとも、無理な体勢からの横とびとシールドをはったことによるふらつきを立て直す程度の時間稼ぎは出来たのは幸いだったが。


 突撃してくるヘル。ぶつかり合う剣と剣。やはり、純粋な剣技では奴の方が上か・・・もっともだからと言って負けるつもりはない!


「ふん、あの時の小僧がここまで強くなっていたとは思わなかったぞ!」


「お褒めいただいて光栄とでも言って欲しいか? まだまだこんなものじゃないぞ!」


 無論、強がりだ。だが、声に出すこと自体が意味がある。・・・と俺は信じている。


「ならば・・・この技を受けて耐えられるかな?」


 ぞくっ! ・・・背中に走る悪寒。この手のものを無視するのは致命になりかねない。俺は慌てて後方に引く。そして


「グランスラッシュ!」


 突然襲い掛かる衝撃。俺にわかったのは地属性の爆発技ということとモーションから剣技、魔法剣なのではないかという憶測だけだ。


「何!? 俺の必殺剣を本当に生き延びるとは!?」


 はは、とっさに竜神剣を盾に変化させたおかげだけどな。本当に助かったよ・・・リュム。


「だが・・・その傷ではもう戦えまい?」


 確かに効く。なにせアシュラと違って本気で殺しにかかってきてるからな。だが!


「まだだ! まだ負けられない!」


「何故だ!? 何故そこまで戦う必要がある!?」


 戦う意味など決まっている。・・・俺が戦う理由は何時だって一つだった!


「もう見たくないんだよ・・・俺が知っている人たちが流す悲しい涙は!」


「お、俺が勝ったらレミーが悲しい涙を流すって言うのか!?」


「そうだ!!」


 本当はこいつだってわかっているはず。・・・武器とは戦う力だけじゃない。今の最大の武器は・・・この言葉と心だ!


「お前は何を守った? レミーの体を守って・・・心を殺してお前は満足なのか!?」


 チクリと心が痛む。そう、心を守ってやれなかった愚か者なのは・・・俺も同じだ。それでも言う!


「俺は貴様のように逃げない! もう二度と!! 心も! 体も! 全て俺が守る!!」


「くぅ! 俺は・・・俺は!?」


 ん? 気配が変った?


「ならば! 見せてみろ! お前の力を! 口先だけで守る? そんな言葉で守れるのならば・・・」


 もう気がついただろうに・・・。あんたも大概に馬鹿みたいだな、ヘル・・・いやコクト! 間違いに気づいても自分自身さえ止められない。ならば俺が止めてみせる! あんたが望んだように!


 静かなる闘気が静かなる風を生む。凪の中に秘められし真の風の力・・・見せてやる!


「竜神流・・・風竜斬!!」


「クッ、ロックショット!」


 そう、あんたもわかっているはずだ。そんな攻撃は全て剣が纏う風に散る。決めるは一撃、いかなる防御も攻撃もはじき・・・竜の牙よ、俺の敵を打ち倒せ!


 振り切った剣に確かな感触。そして一瞬の静寂の後・・・


「俺の・・・負けだ。」


 静かに草原に倒れるコクト。これで・・・終わったのか?


「どうした? 早く止めを・・・俺を憎んでいるんだろ?」


「憎んでいたのはヘルさ。あんたはコクトだろ? レミーの兄貴を憎む理由はない。それに・・・初めに言ったとおりさ。俺が勝ったんだ、あんたにはレミーの元に返ってもらわないとな。」


「だが俺は・・・」


「お前が戻らないとやっぱり泣くだろ、あいつは? ほら、兄らしく受け止めてやってくれ。」

リュウトVSコクト、ひとまず決着です。


アキ「本当に馬鹿だな。・・・二人とも」


まさにそうですね~。リュウトは自覚があるだけマシなのかタチが余計悪いのか・・・。


アキ「そうだな。コクトが帰らねばレミーが傷つく、リュウトが倒れれば私の心が傷つく。・・・わかっていても両方を救おうとするのがリュウトなのだな。」


細い道と知りつつ・・・一歩間違えれば両方泣かせることになるとわかってなおどっちも切り捨てられない。優しい馬鹿ですね。


アキ「確かにそうなのだが・・・そなたに馬鹿馬鹿言われるのは気に入らんな。」


えっ!? ちょっと、アキ・・・さん? た、タンマ・・・・ひっぎゃぁぁぁあああ!

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