1話 「再会」
「もう、リューくんもあーちゃんもわたしたちのこと目に入っていなかったでしょ?」
例の変な空間(アーくんは夢魔の閉鎖空間? とか言ってたけど)から出てきたわたしたちは魔王の城を目指して歩いているの。
「あ、いや・・・そのな、私は忘れていたわけではないぞ。」
「お、俺だってそうだ。」
ム~、いくらわたしだってそんな簡単にはごまかされないんだからね~!
「だって・・・だってリューくん私の無事確認してくれなかったよ~! うう、わたしお兄ちゃんの妹じゃなかったの?」
「え、えっと・・・それはだなぁ・・・」
リューくんがこれ以上ないぐらい焦ってる! こんなリューくん見るのはじめてかも・・・レーチェル様本当にこの方法よく効きます! 理由はわからないけど。
「すまん! 本当にすまん! いろんな意味ですまん!!」
りゅ、リューくんがしばらくほっといたら土下座でもしそうな勢いで謝りだした!?
「そ、そこまで謝らなくてもよいのではないか? そなたというやつは・・・。」
なんていいながらも、あーちゃんはそれ以上関わりたくないって感じ?
「ねーねー、アーくん・・・これどう思う?」
「オレに振るんじゃない・・・。」
ム~、だってアーくんずっとブスッって黙り込んでるんだもん! なんか仲間はずれにしてるみたいで嫌なんだもん!
「アーくんも楽しくお喋りしようよ~!」
「・・・貴様らが騒ぐのは勝手だが、オレを巻き込むな!」
なんていう風に楽しく(?)お喋りしながら進んでいたんだ。うん、この時までは・・・
「まさかここまでこれるとはな・・・だが、俺としてもこの先に行かせる訳にはいかん!」
立ちふさがったのは全身黒ずくめの騎士。・・・暗黒騎士ヘルって今は名乗っているみたい。
「っ!?・・・ヘル!」
真っ先に反応したのはリューくん・・・そうだよね、リューくんはこの人に恨みがあるんだもんね。
「いや・・・落ち着け。ヘル、俺たちにお前と戦う理由はない。むしろ、お互いに戦えない理由があるんじゃないのか? 協力等とはいわない、黙ってここを通してくれ。」
りゅ、リューくん! きっと、きっとリューくんが自分の恨みを飲み込んでまでこんな話をするのはわたしの為。リューくんは恨みではもう戦わないなんていっていたけど、戦闘体制に入っている相手を前に交渉をする必要もまたないもん。
「戦う理由がない? 貴様らはこの先に行きたい。俺はいかせるわけには行かない。争わない理由があるまい。」
でも、ヘルは・・・ううん、もうこう言うべきだろう・・・お兄ちゃんはリューくんの言葉を真っ向から否定した。
「お願い! もうやめて!! なんで・・・なんでこんなことになっちゃったの? なんでわたしたち戦わないといけないの?」
「くっ・・・き、貴様などお、俺は知らん!」
嘘だよ! わたしまだ小さかったけど・・・でもお兄ちゃんのことを忘れたことなんてなかった。その顔も声も覚えている。全身そんな鎧で隠したって僅かに見える目元は隠せないよ? その声は隠せていないんだよ?
「わたし・・・わたしレミーだよ? 泣き虫でよく虐められて・・・お兄ちゃんに助けてもらっていたレミーだよ?」
とうとう言っちゃった。この人がわたしのお兄ちゃんだって・・・それにこの人は見た目は悪魔。だからわたしにも半分悪魔の血が混じっていることもばれちゃった。・・・なのに
「やっぱりそうか。・・・なぁヘル、レミーはずっと待っていたんだ。帰ってやってくれないか?」
リューくんは少しも驚かなかった。
「まったく、そなたは私たちを見くびりすぎだ。そなたが天使でも悪魔でも・・・ハーフでも私たちには関係ない。もっと早く知っていれば別の対処法だってあったかも知れぬのだぞ?」
ちょっと怖い顔で諭しながらもあーちゃんの声はとても優しかった。
「貴様が何であるかなどどうでもいい。・・・欲しいものがあるのならその意志を示してみろ。」
わたし・・・お兄ちゃんを求めていいの? アーくんにも皆にも迷惑を・・・
「いまさら少々の迷惑をかけられたからってどうも思わないさ。」
ちょっと引っかかるものがあるけど・・・ありがとう、リューくん。ううん、もう一人のお兄ちゃん。
「お願い・・・わたしが悪いことしたなら謝るから・・・帰ってきて! コクトお兄ちゃん!」
再び登場の暗黒騎士ヘル。その正体が明かされる日がとうとう来ました!
アキ「とはいっても本人はまだ認めていないようだが?」
レミー「あ~! あーちゃん、わたしのこと疑うの? わたしがお兄ちゃんって言ってるんだからお兄ちゃんだよ!」
アキ(嘘を言うとは思えないけど・・・レミーのことだから勘違いはありそうなのよね。)
まぁまぁ、その答えは次回以降のお楽しみで・・・では次回も読んでくださいね~!




