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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
10部11章~ラストまで
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12部9章「魂、託して」15話 「後輩さんへ」

 俺の一振りは太陽神の肩から逆方向の腰まで綺麗に切り裂き、その服を真っ赤に染める。普通ならば即死してもおかしくない傷だが、俺たちを含めある程度のレベルに達すると外見上の怪我だけでは生死は計れない。とは言え、すでに多くのエネルギーを失った状態で俺のエネルギーを多分に含めた攻撃を受けたわけだから十分に決着には至るだろうと思われる


「何故・・・? 確かにその首を・・・」


 彼女の認識ではその剣は確かに俺の首を切り落としていただろう。もっとも首を落とされただけで死ぬ体では俺はないが、それが彼女の攻撃とあればダメージ量は大きく一時的な行動不能にも陥るだろうから、これも確かに決着にふさわしい一撃となったはずだ。俺は薄く切れた首筋から流れ落ちる血を拭いながらそう思う


「最近は使っていなかったが、こっちにも幻術が得意な奴がいてな」


 俺の説明にえっへんとばかりに胸を張るのはレミー。あの瞬間、ほんの半歩だけ俺の幻影を前に出して彼女の目測を狂わせた。最近使っていなかったのは俺にはすべての幻影を無効化する幻影破りの風があり、それは味方の幻影も無効化するから・・・じゃなくてたぶん忘れていただけなんだろうな。今回使ったのだって思い出したからではなく、本能的に使ったか堕天使の方が使うか指示したのだと思う。いくら俺の幻影破りの風が全ての幻影を無効化すると言っても発動と同時に消すわけじゃないから一瞬だけ幻影は見えるしな


「幻影・・・まさか私が引っかかるとは。それにそれを信じたと? 一瞬しか出すことのできない幻影をこのタイミングで使われると」


「やっぱり知らなかったか。お前の敗因は俺たちを知ろうとしなかったことだよ。ま、信じるのは俺にとっては当然のことでな。どの道、完全に避けることは可能でも後が続かなかった。勝つためにはあのタイミングしかなかった」


 おそらくは彼女の立場ならば知ろうと思えばいくらでも知れたはずだ。そして本来の彼女ならば確実に知ろうとしたであろう。そこらへんはやはりレオンに操られた人形なんだ


「負けるべくして負けたのですね、私は・・・でも、知らないのはそちらも同じでしょう? あなたたちだって私のことを知らないはず」


「そうだな。確かにほとんど知らない。だが、何もではない」


 わかっていることは少ない。それも多分に推測が混じっている。だが、けして知ろうとしなかったわけではない


「お前はレーチェルのさらにオリジナルなんだろう?」


 再びその目が僅かに見開かれる。見た目だけじゃない、戦い方だって技こそ違えぞ動きに近しいものがあった。それにあの鏡に残されたメッセージ・・・そう当たりをつけるのは難しいことではない。だが、その変化は流石に予想外だった


「っ!? また鏡が光って? いや、鏡だけではない?」


 光っているのは鏡だけではなく彼女が天叢雲剣と呼んだ剣も。いや、俺の見間違えでなければ一番最初に光ったのは


『まだ見ぬ私の後輩へ、見事にレオンに操られた私を倒してくれたのですね。感謝いたします。もしも私が、そして彼女が予想した未来が現実になっていた時のことに備え、私の最後の力をこの尺瓊勾玉やさかにのまがたまに託します。この力があなたの道を照らす光とならんことを』


 ますます強くなる光が収まった時、うつろな雰囲気だった太陽神の目が輝きを取り戻していた。もっともその瞳は悲しんでいるのか喜んでいるのか判断ができなかったが


「ようやく会えましたね、私の後輩さんの竜神さん。私たちの予想は当たったみたいですね、良い意味でも悪い意味でも」


「あなたが本来のあなたか?」


 いや、言葉として変なのはわかっているんだが、そこらへんはなんとなくのニュアンスで読み取ってほしい


「ええ、私もあなたの仲間に・・・と言えればよかったのですが、尺瓊勾玉に込めた力では正気を取り戻せる時間はごくわずかです。ですが、それでも出来ることはあります」


 そう言って彼女が見たのは死んだように気絶しているレーチェル。本当に死んでいないよな? アシュラ、信じているぞ


「彼女が私の写し身ですか。こうやって見ていると不思議なものですね」


 優し気にまるで我が子を見る母ような顔をした彼女だったが、次の瞬間には彼女の体内、胸元あたりから光る玉を放出していた。って、あれは!


「ちょっと待て。それは・・・」


「ええ、私の魂の一部です」


 やっぱりか!? っていうかそれ一部って量ではないだろう!? 俺も詳しいわけではないが、ざっと見た感じだと九割以上なんじゃないか? ただでさえ致命に近いほどのダメージを負っている彼女がそんな量の魂を外に出してしまったら


「後輩さんに私の始末を頼むのも酷でしょう? それに」


 立っているのも辛いはずなのに柔らかな笑顔を浮かべながら彼女は自身の魂をレーチェルへと押し付ける。普通ならば反発して押し返されるはずなんだが、それは当然のようにレーチェルの中へと吸い込まれていく


「彼女は写し身、魂の親和率も高いのです。二人分の魂ならばレオンの支配にもおそらくは抗えるでしょう」


 ・・・つまりなんだ? これでレーチェルを助けることが出来る・・・? 何故かレーチェルが着ていた黒いドレスがいつもの白いドレスに戻っているし・・・まるでレミーみたいだな

さて本当にレミーの大金星だった今回の話。あとは無事にレーチェルが帰ってくるかですね


コクト「レミーが活躍をするのは当然だが、レーチェル様は大丈夫なのか?」


本当にぶれないシスコン・・・コホンコホン、レーチェルが大丈夫かどうかは勿論次回までのお楽しみです


コクト「ふむ、仕方あるまい。だが、もしも何かあった時は・・・」


と、とりあえず当たり前のように剣を首筋につきつけないでください! どうしてうちのキャラはみな作者を脅すのか・・・


コクト「メイさんがやり方を詳しく教えてくれるのでな」


やっぱりあれが元凶か~~~!! ぐぴゃ!?


コクト「それだけ騒げば聞こえもしよう。さて、作者が気絶したうえで引っ張られていったので今回はここまでだ。次回もレミーの活躍を期待していてくれ。ではな」

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