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その後。




■息子 【鷹司 晴馬 たかつかさ はるま】


リジア翠国の豊かな山の中腹に、家族と共に暮らす。

時折、女王が差し入れを持って訪ねてくる。彼の母の良い茶飲み友達になってくれたようで、嬉しく思っている。ただ、守りたい人がどんどん綺麗になっていくので、非常に焦る毎日。

修行に、より一層の精を出している。


■王子⇒少女 【アルアリア=イシルシュ】


第一王位継承者の位を放棄し、晴馬らと共に暮らす。

女性の立ち居振る舞い身につけ、今や完璧な淑女に。最近の悩みは、晴馬に近付くと何故か逃げられてしまうこと。何か気に障ることをした…?と悩むが、周りにはによによと笑まれていることに気づかない。

先日、15の成人を迎えた日に故郷の国から小包みが届く。


■乳母 【ステラ=シューミーシュ】


国王から、元王妃の日記と、王族が生涯身に付けるネームネックレスを渡され、リジア翠国のアルアリアの元へと使者に出た。

その幸せそうな姿を見て泣き、将来天に帰る時の王妃への良いお土産が出来たと嬉しそうに笑う。


■隊長


どうしても聖女への憧れが捨てられず、ステラの護衛に自ら志願する。

が、普通に男の姿で生活しているコウキを見て開いた口が塞がらない。その上、闇魔法を盛大に込めて「男です」と告げられて茫然自失。

便利な鏡で王宮に返されたが全く使い物にならず、国王から一年間の有給休暇を押し付けられ王城から放り出されて、現在、期間限定無職に。


■国王 【ヨアヒム=イルシアータ=ロンダリア】


相変わらず現在もロンダリア帝国を治めている。

ただ、時折仕事の手を止めて、西の方を見ることが増えたような気がする、と部下は言う。

王子時代からの側付きの宮廷魔術師は孫娘の自慢に煩いし、国一番の強者だったはずの近衛隊長は抜け殻のようだしで、最近は頭痛の種が増えてきたとか。





■魔女と聖女


「詩織さん、ちょっと良い?」

 髪を短く切り落とし、標準的な男性の服を着て、もはや聖女の面影をどこにも感じさせなくなった、元聖女が元魔女を呼ぶ。

 そして震える手が差し出したのは、入れ物に入れられた、少し歪な銀の指輪だった。

 黒髪を肩口で一つにまとめた女性は戸惑ったように瞳を揺らすが、元聖女の指を見て驚く。

「傷だらけじゃない」

 大きな手には大小無数の傷があり、気付かれた彼は慌てて隠す。

「どうしても魔法を使わないで作りたかったから…歪んでてごめんなさい」

 手当をしなくちゃ、と元魔女は焦るが、元聖女はそれを止める。

 すっ。と息を吸って、がばりと勢い良く頭を下げた。

「受け取ってくれるだけで良いんです。プロポーズにはもっと完璧なの作ります!

 あの、絶対!! 絶対、幸せにしますから!!」

 九十度に腰を曲げた視界に、さらりと差し出された白い左手が映り込む。


「あのねえ。もう、十分幸せにして貰ってるよ」


 聞いた言葉が信じられなくて、がばりと勢い良く頭を上げる。

 そこには綺麗な笑顔が、一つ。

 たった一つを目の前に差し出されて、端正な顔をした青年は、真っ赤に赤面したのでした。


【鷹司 詩織】【五十嵐 光貴】





 そして皆、幸せになりましたとさ。おしまい。

ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。

これにて、『異世界召喚されたけど嫌なことばかりだったので引きこもったら魔女と呼ばれるようになりました。』というやたら長い題名のお話は、一旦終わりです。

一週間に満たないくらいの集中連載でしたが、沢山の方に見て頂き、本当に嬉しく、楽しい時間を過ごさせて頂きました。

評価を付けて下さった方も、コメントを下さった方も、こうして今見て下さっている方も。本当に、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[一言] ありがとうございました( ≧∀≦)ノ楽しいお話を読めて((o(^∇^)o))ハッピーでした( *´艸)
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