14/63
いつの間にか仲良くなっていました。
息子は王子に興味津々で、機会を見つけては話し掛けています。
「これ、庭に生えてる果物なんだ。良かったら食べて」
「………。」
「近くに温泉があるんだ。卵と野菜を煮てきたから味見しない? 美味しいでしょう?」
「…うん」
「今日は山の頂上に行ってきたよ。綺麗な花があったから摘んできた。はい、あげる」
「ありがとう。良い匂い」
「ただいまー。ごめんね、今日は何にも持って来れなかったよ…」
「そんなに気を使わな …っ。怪我してるじゃないか!」
「えへへ。ちょっとドジっちゃって。でも、放っておけば治る。大丈夫だよ」
「何を言ってるんだ! 大丈夫じゃない!!」
はいはい落ち着いて。魔女が治療しますからねー。
息子が帰ってきた時から煎じていた薬を、2人ともの口に突っ込む。傷薬と混乱解除の効果があります。
そして、苦味に涙目になってぷるぷるする2人。
これが嫌だからって、息子は毎回怪我を隠そうとするんだよね。




