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【書籍化&コミカライズ】転生した私は幼い女伯爵 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです  作者: もーりんもも
第一章 伯爵家の当主になりました

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16 馬車を改造

100ブクマ超えました。ありがとうございます。


 リエーフが帰ってくるまでの間に、私は馬車の中で、持ってきていたブラウスシャツとパンツに着替えた。

 抜かりなく厚手のソックスも作っておいたから、ローファーの履き心地もいい。


 ローラは馬車から降りた私を見て、予想通り悶絶した。

 「マルティーヌ様。そ、そのお召し物はいったい……?」と、崩れ落ちそうになっている。

 理想のお嬢様じゃなくて、ほんと、ごめんなさいね。もう慣れてもらうしかないから諦めてね。

 





 リエーフは使える男だった。

 どこの家にあったのか、大きな寸胴鍋に、大小の鍋や火かき棒に文鎮と、とにかく木と紙以外の材質の物を入れて戻ってきた。

 でかした!

 口数が多い方じゃ無いのに、コミュ力はあるんだ……。


「ありがとうリエーフ。これだけあれば十分よ」


 元の材料の何割り増しの成形ができるかは、まだよくわかんないんだよね。材質によって違うのかもしれないし。

 まあ、そんなことは将来考えればいいこと。今は、サクッと馬車を改造して出発しなくっちゃね。


「ローラ。リエーフ。あのね――。実は私が使える魔法なんだけど。これがちょっと変わっていてね――」


 口で説明するよりも、やっぱり――。


「リエーフ。もうちょっと側に来てちょうだい」

「はい」


 リエーフは、「ん?」と疑問を浮かべたまま私の前まで歩み寄ってきた。

 彼が着ている騎士服(?)って、どこの家でも一緒なのかな? それとも家ごとに違うのかな? まあいいや。


 袖口をつまんでアメリカの将校をイメージすると、彼の服のデザインが一瞬で変わった。

 リエーフとローラが目を見開いている。さすがにお口あんぐりとまではいかないか。よく教育されている二人だもんね。


「見た? 私、物の形や大きさを変えることができるの」


 ……あ! 無意識でやったけど色も変えられるんだ! そっか。そうだよね。赤、青、黄、の三原色で、どんな色でも作れるんだもの。

 真っ白なコットンは無理でも、既に染められた布なら、材料となる色素が含まれている訳だから、私がイメージさえすれば、その色になるんだ!

 これは使える! 素敵な発見だわ!


「うーん? あなたには、こっちの方がいいかもね」


 もうちょっとイケメンに似合うデザインにしたいな。

 どこぞの国の皇太子が着ていたような、肩から胸にかけて金色のモールで飾った上着に変えてみよう。


 そう、これっ。いいっ! すごくいい。

 かの方は赤色だったけど、リエーフには白で正解だったみたい。


「うっふっふ。移動中にこれは少し仰々しいかもしれないけれど、私の代からは、このデザインをモンテンセン伯爵家の護衛の正装にしたいわ」 


 そう宣言して拳を突き上げようとしたところで、置き去りにしていた二人が視界に入った。

 おっと。


「ま、マルティーヌ様。いったい……」


 あ、ごめん、ローラ。説明不足だったね。一人で盛り上がっちゃって悪い。


「マルティーヌ様。これは――この服は、その。私はずっとこの格好なのでしょうか?」


 やだ、リエーフったら。顔が真っ赤じゃないの。もう、可愛いわ。

 でも、ちょっと袖口をつままれたくらいで頬を染めてちゃ駄目よ。相手にちょろいって思われるからね。


「そうよ。とっても素敵よ。よく似合っているわ」

「あ、ありがとうございます。マルティーヌ様は本当に私のこの顔を見ても何とも……。あ、いえ……。あの、これは――なんというか、その。王族の正装よりも派手――いえ、立派で。あまりに立派過ぎる気がするのですが」

「いいじゃない。もう王都は離れたのだし。これから田舎に向かって進むのでしょう? 『ああ、王都から来た貴族様御一行は違うなあ』って、それくらいにしか思われないわよ」

「ですが、領地に帰ったときにこの姿では――」


 何がそんなに心配なの?


「レイモンへは私が説明するわ。それでいいでしょう?」


 ローラは言葉を失っているみたいだけど、ほとんど反射でこくこくとうなずく。

 リエーフはまだ納得していないのか、心配そうに尋ねた。


「かしこまりました。でも、その――レイモンさんはご存知なのでしょうか?」


 あーやっぱり? レイモンは全てを知っておかなければならない人なんだね。


「もちろん、レイモンにも打ち明けるわ。王都では話す機会がなくてね」

「そうでしたか。安心しました」

「よかった。じゃあ、もうちょっとだけ見ていてね。馬車を少し改造したいの」

「改造――ですか?」

「そう。終わるまで手出し無用よ。口出しもね!」


 二人は声を揃えて、「かしこまりました」と言ったけど、理解に苦しむって顔に書いてある。

 

「あのね。ええと。形が変えられるのは布地だけじゃないの。たとえば、ほら。これ。この鉄鍋なんかも、元の形とは全然違う物に変えることができるの」


 ふっふーん。

 本当は軽いプラスチックが手に入れば言うことないんだけどね。

 確か、3Dプリンターも樹脂で造形していたよね……?


「こうやって、材料には手を触れるだけでいいの」


 そう。だから、たとえばこの鉄鍋を左手に持って、右手で馬車に触れる。これだけで準備オッケー。

 あとは、前世で見たことのある馬車の車輪周りをイメージする。

 ふふふ。何を隠そう私は前世で皇室が使用していた馬車を、日本橋のデパートでも見たし、明治村でも見ている。

 その時にちゃんと説明を聞いたからね。もちろんネットでも調べた。


 ホテルウーマンたるもの、あらゆる業界にアンテナを張っていないといけないからね。美術館や博物館だけじゃなく、それこそ変わり種のミュージアムにも小劇場にも足を運んだ。

 とにかく見聞を広めるために相当自己投資をしていたのだ。今こそ、その元を取ってやる!


 車体をばねで支えることによって衝撃を吸収させるのだ。確か、ピンセットみたいな形でたゆませていたはず。車軸が下側のカーブの真ん中あたりにきていたっけ。そこだけ太くなっていたような……。



 はいっ。

 本当に、手をパンって叩くような感じで出来上がる。


「マルティーヌ様! 鍋が――鍋が消えました」


 消えた鍋をつかもうとするかのように、ローラの体がつんのめった。

 驚かせてごめんね。

 ああ、でもそうか。結構、大きめな成形をしたんだけど、いかんせん、車体の下なんだよね。


 でも、なんか――。なんというか。

 街歩きのときのローラは、それはもう雄々しくて格好いいくらいだったのに。

 理解できない現象を前にすると、こんなにも少女らしく目を白黒させちゃうんだね。


「ええとね。鍋は形を変えて馬車の車体を支える物に変わったの。なんというか、うーん。乗り心地を良くするために部品を一つ追加してみたのよ。そうだ! ローラ! ほら! 試乗してみましょう! リエーフ。悪いんだけど、ちょっとだけ馬車を走らせてくれない?」

「かしこまりました」


 さてさて。どんな感じかな? ここまで大きな物って初めてだから、緊張しちゃうなー。

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追放された悪辣幼女の辺境生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜
第二部の連載を再開しました!

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― 新着の感想 ―
博物館で、アメリカのアーミッシュが使っているという馬車を拝見した事があります ほぼ鉄製、1頭引きの1人乗り、現在も使われているという タイヤではなく、鉄のリムにゴムの板が貼り付けてありました
明治村って全国的に通用する程知名度あるのかな?
馬車の改造 板バネ、スプリング、サスペンション アメリカのアーミッシュの小型馬車(一頭引き)を拝見しましたが、板バネなんですね 構造を簡易化して、軽量化を考えた結果だそうです ホイールはオール鉄 鉄の…
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